過去に何度か書いた様に、「漫画家・手塚治虫氏は、自分が敬愛する人物の1人。」だ。漫画家と書いたけれど、自分は彼の事を思想家と捉えており、彼の作品から学んだ事は余りに多い。「自分の血肉を作り上げた多くは、手塚作品によってで在る。」と言っても過言では無い。
14年前、「手塚治虫作品ベスト10」という記事を書いた。好きな手塚作品は枚挙に遑が無いけれど、敢えて1位を選ぶならば「ブラック・ジャック」。「『天才的な手術の腕を持つ無免許医師。』というブラック・ジャックが、法外な手術費と引き換えに、様々な難病や怪我を治療する。」というストーリーで、「此の作品を読んで外科医を志した。」という外科医も、結構居るそうだ。
法外な手術費を要求するブラック・ジャック。「そんな彼は、総額で幾ら稼いだのだろうか?」という疑問に答える記事が、マグミクスに載っていた。9月9日の「『ブラック・ジャック』が稼いだ総額は約274億円? 最高・最低・平均額を出すと?」という記事がそうだ。
「ブラック・ジャック」は全242話在るが、“御蔵入り”となった話等も在る事から、「秋田書店から現在出版されている全25巻、合計234話を対象にしたデータ。」との事。中には、請求額が不明なケースも在る。
で、請求最高額は「第21巻・第107話の『こっぱみじん』で、其の額は150億円。」。「戦争中の独裁国の大統領夫人がブラック・ジャックに、『命を狙われている夫の御抱え医師として、一緒に居て欲しい。」と依頼して来て、ブラック・ジャック本人も危険という事から、其の保険料も含めた請求額。」との事。
又、個人との遣り取りによる「手術料」としての最高額は「約14億円(記載は5百万ドルで、当時の換算レート「1ドル=約280円」で算出。)」で、「第16巻・第146話の『あるスターの死』」と「第19巻・第177話の『失われた青春』」の2話が、其れ其れ当該。
逆に最低請求額は「第15巻・第142話の『がめつい同士』で、其の額は30円。」となっている。強者に対しては法外な手術費をふんだくる一方で、弱者に対しては優しい目を向けるブラック・ジャックの面目躍如。
そして、ブラック・ジャックが稼いだ手術費の総額だが、元記事では「274億2,350万6、068円以上」と算出している。「報酬が発生しているけれど、金額は不明の手術が約50回在る。」等、請求額不明のケースは省き、請求額が外国の通貨の場合は、当時の換算レートで算出した結果だと言う。
因みに自分が一番好きな「ブラック・ジャック」のエピソードは、16年前の記事「人間が生き物の生き死にを自由にしようなんて、おこがましいとは思わんかね。」で記した様に、「第29話『ときには真珠のように』」で在る。