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記憶を失くした少女が流れ着いたのは、“ノロ”と呼ばれる指導者達が統治し、男女が違う言葉、“ニホン語”と“女語”を学ぶ島だった。
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第165回(2021年上半期)芥川賞を受賞した小説「彼岸花が咲く島」(著者:李琴峰さん)は、「大海原にぽつんと浮かび、東西に長く、南北に狭い島。」が舞台。此の島には東集落、西集落、そして南集落と3つの集落が存在し、男はニホン語、女は女語と呼ばれる言葉を使用。女性しか成る事が出来ないノロ、そして其のトップで在る大ノロが、指導者として島を仕切っている。そんな架空の世界の話だ。
記憶を失くした少女は、“宇実(うみ)”という仮の名前を与えられる。ストーリーが進んで行く中で明らかになるのは、彼女が過去に使っていたのは“ひのもとことば”と呼ばれる言葉で、其れは“女語”と非常に似ているのだが、其の理由が作品の大きなポイント。
兎に角、非常に読み辛い。「来(ライ)しろラー、リーのために取る。」や「ワーは加油(ジャヨウ)するダー!」等、パッと見て理解し辛い“ニホン語”が多用されているから。沖縄方言と中国語、そして時には英語がごちゃ混ぜになった様な言葉で、読んでいて意味が判らず、但し書きが無かったりする事も在るので、苛々してしまう。第148回(2012年下半期)芥川賞を受賞した小説「abさんご」も本当に読み辛い作品だったが、似た様な感じだ。
ネット上の書評を見ると、評価は極端に分かれている。非常に低評価が付けられている場合、「日本を見下している様な内容だから。」とか「安倍晋三前首相を批判した人物が書いた作品だから。」という事“だけ”が理由という物が多く、「何だかなあ・・・。」と思ってしまう。
唯、そうは思うものの、自分も此の作品には高い評価が付けられない。単純に「読み辛いし、ストーリーが魅力的で無い。」からだ。総合評価は、星3つとする。
つい最近読んだばかりです。
確かに最初は読みづらかったですが、読み進めるうちに言語体系の約束事がなんとなくわかり、あまり気にならなくなりました。むしろ島の歴史が明らかになると、それぞれの言語としてよく考えているなと納得してしまう事も(笑)。
「ひのもとくに」にも「台湾」にも存在を知られ、外貨を稼げる麻薬「彼岸花」が特産物としてあり、軍事力も持たないのに、どちらからも侵略を受けていないというおとぎ話的な島、という違和感はありますが、寓話として読むことはできました。
悠々遊様も、此の作品を読まれたんですね。仰る様に“御伽噺的な島”ですよね。寓話的な要素も在りますが、残念乍らぴんと来ない内容でした。