「名は体を表す」という諺が在る。「名前は、其の物や人の性質や実体を良く表す物。」という意味だけれど、人名でそう思わせるケースが結構在ったりする。今は可成り痩せられてしまったが、昔の中西太氏なんぞは、見た目からも「太」という感じで、豪放磊落さを漂わせていたし。(実際には、結構繊細な方の様だが。)
勿論、名前の持つイメージと実体とが乖離しているケースも在る。幼少期の或るクラスメートなんかも、そんなケースだった。具体的には書かないが、「此の上無い才能の高さ。」を意味する名前を付けられた彼は、申し訳無いけれど非常に出来が悪かった。親御さんは愛する息子に、大きな期待を込めて名付けたのだろうが、名前とのギャップから彼は良くからかわれており、「気の毒だなあ。」と思った物。
先月行われた「アメリカ大統領選挙」で過半数を超える選挙人を獲得し、来年、アメリカ大統領に就任する事が“実質的に”決まったドナルド・トランプ氏。彼の事を最初に知った際には、其の風変わりな髪型や言動も然る事乍ら、彼の名前自体に興味を持った。「ドナルド」と言えば「ドナルドダック」や「ドナルド・マクドナルド」がイメージされ、彼等との雰囲気の違いが面白かったし、何よりも「トランプ」というのはゲームの「トランプ」がイメージされ、「面白い名前だなあ。」と感じたので。
12月4日付けの東京新聞(朝刊)のコラム欄「時代を読む」で、エコノミストの浜矩子さんが、トランプ氏の名前に付いて書かれていた。トランプ氏の名前を英語で書けば「Trump」で、此れはゲームの「トランプ」と綴りが全く一緒。「trump card」は「切り札」を、そして「come up trumps」は「事を首尾良く成し遂げる。」とか「最終的に勝利を博する。」と意味するそうで、概して言えば“良いイメージ”で在り、トランプ氏を支持する人達は「アメリカを再び偉大な国にする為の“切り札”。」として期待したのだろう。
一方、「trump」の後ろに「ery」を付けた「trumpery」には、「取るに足りない物。」や「無価値な物。」、「ガラクタ」の意味が在り、又、「trumped-up」という表現になると、「捏ち上げ」とか「捏造された」の意味になるそうだ。