10月21日付けの東京新聞(朝刊)に、「モザイクを『消す』? AI技術『TecoGAN』って?」という記事が載っていた。京都府警は兵庫県の男・A(43歳)を、著作権法違反等の容疑で逮捕したが、彼は「AI(人工知能)を使い、AV(アダルト・ヴィデオ)のモザイク部分を編集して、『無修正の“様な”動画を作った。」という疑いが在るのだとか。彼が使っていたのは、「TecoGAN(テコガン)」なるAI技術を使った動画編集ソフト。
京都府警サイバー犯罪対策課によると、自称・画像クリエーターのAは「120分の動画処理&編集の依頼を、1件につき2,300円程度で請け負い、昨年12月から今年の8月迄に約1万2千件の動画を販売。合計約1,100万円を売り上げた。」との事。彼が使ったのは、TecoGANが入った1,200円のソフトだったと言う。
「モザイクが掛かった部分を、AIの仕組み(アルゴリズム)に当て嵌めて、新たに画像を作る。」というTecoGAN。ドイツのミュンヘン工科大が2018年、データを推測して新たに生成する技術を基に開発したそうだ。
「モザイクで見え難い部分を、AIが『こんな画像だろう。』と推測して、判り易く見せる。」という事で在り、「モザイク処理前の画像を、“完全に”再現する物では無い。」のだ。従って、実物通りでは無く、似ている人や物の画像になる可能性は在るが、ネット上では“モザイク破壊”と呼ばれ、結構出回っている。
今回はAVのモザイク破壊に用いられたTecoGANだが、如何わしい目的の為に開発された訳では無い。防犯カメラの画像を鮮明化して事件の解決に繋げたり、古い写真を蘇らせたりする事にも使われているそうだ。
TecoGANを使用するには、或る程度のコンピューター知識が必要になる様だ。又、「モザイクを消す事は出来るが、画像が正しく再現されるかは別問題。(AI等で使われる)機械学習では、モザイクを消しても、個人を特定する迄の画像には到らないだろう。」、「(モザイクを消した動画は)とても本物とは思えない。」という専門家の声も紹介されていた。だが、「本物の画像と見比べない限り、一見すると改竄された物か、無加工かを判断する事が難しくなっている。」とも。