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「倒れていた猿之助の傍に遺書の様な物が見付かる、両親は死亡 本人は意識朦朧状態で病院搬送」(5月18日、中日スポーツ)
歌舞伎俳優の市川猿之助(47歳)が18日午前10時20分頃、東京都目黒区内の自宅で両親と倒れているのをマネジャーが発見、119番通報した。母親と父親は死亡が確認され、猿之助は意識が朦朧としている状態で搬送された。警視庁目黒署の調べでは、遺書の様な物が倒れていた猿之助の傍で見付かっており、現場の状況から猿之助が両親を巻き込み、自殺を図ったと見て、死因等詳しく調べている。
亡くなった父親は、歌舞伎俳優の市川段四郎さん(本名・喜熨斗宏之、76歳)。警視庁によると、3人は自宅2階のリヴィングで倒れていた。母親は現場で死亡が確認され、父親は救急搬送先の病院で午前11時22分、死亡が確認された。
同庁は両親の死因等に加え、猿之助が書いたと見られる遺書らしい物の内容を確認。解明を進める物と見られる。薬物や一酸化炭素(CO)中毒を招く練炭の存在に付いては、明らかにされていない。
猿之助を巡っては18日発売の「女性セブン」が一門の弟子筋、劇場スタッフ等に対する性加害を報じていた。歌舞伎の「澤瀉屋」で力を持つ猿之助からキスをされたり、地方興行の宿泊先で体を触られる等の性被害の関係者による告白が掲載されている。*1
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衝撃的な事件だ。一報に触れた際、「女性セブン」の報道に付いて全く知らなかったので、「強盗にでも襲われたのか?」と思ったが、続報により「両親を巻き込んでの、4代目・市川猿之助(以降、市川猿之助と記す。)氏の自殺未遂らしい。」という事が判明。真偽の程は不明なれど、猿之助氏によるセクハラ&パワハラ疑惑が報じられた事を苦にしての自殺未遂と思われる。
猿之助氏に対する自分の印象は、「頭が良さそうだし、芝居も上手い。唯、其の言動から想像するに、可成りプライドが高い人なんだろうな。」という物。今回のセクハラ&パワハラ疑惑を苦にしての自殺未遂だとしたら、事の真偽以前に、其れが“同性に対する行為”だったというのが大きいのではなかろうか?プライドの高そうな彼の事を思うと、「絶対に知られたくなかった。」という思いが強かった様に感じる。
はっきり言う。「性的指向なんて、当事者間で同意がされていて、尚且つ違法行為で無い限りは、他者がどうこう言う筋合いでは無い。」と思っている。だから、仮に猿之助氏が同性にしか興味が無くても、其の事を面白おかしく取り上げるべきでは絶対に無い。
唯、問題なのは「猿之助氏が自身の強大な権力を利用(悪用)して、相手の男性が嫌がっているのに性的行為を迫ったり、又、受け容れなかった場合は“干す”等の行為に及んでいたかどうか?」で在る。今回の報道を受け「雑誌社がこんな疑惑を報じたから、猿之助氏は追い込まれてしまったのだ。両親も亡くなる等、猿之助氏が気の毒。彼に対して追及すべきでは無い!」といった擁護論が出そうな気もするが、此れは全くおかしい。“同性愛”の部分を面白おかしく取り上げる事は大反対だが、「セクハラ&パワハラの有無や、両親の死に猿之助氏が関わっていたのかどうか?(犯罪性の有無)」はきちんと追及すべき。「問われるべき事は問わないと駄目。」だ。
ジャニーズ事務所創業者・ジャニ―喜多川氏による所属男性タレントへの性加害問題。マス・メディアは“漸く”、此の問題を取り上げ始めた。「漸く」と書いたのは、此の問題は1965年から一部メディアが報じて来たし、所属していた男性タレントが何度も告白している。だが、ジャニーズ事務所の影響力の強さを恐れたマス・メディアは、此の問題を“黙殺”し続けて来た。民事訴訟で「ジャニー氏による所属タレントへの性的加害が認定された。」のにだ。
ジャニー氏が亡くなり、海外メディアが此の問題を大きく取り上げた事で、漸く日本のマス・メディアも取り上げざるを得なくなった訳だ。「今も昔も、“外圧”に弱い日本。」というのを感じさせられる。
で、日本のマス・メディアが大きく取り上げ始めた為、ジャニー氏の姪で在り、ジャニーズ事務所の現社長の藤島ジュリー景子さんが“公に”謝罪した。と言っても、「ジャニー氏が亡くなった今、真相は判らない。でも、そういう事実が在れば、本当に許されない事だ。唯、私はそういう事が在ったとは全く知らなかった。」という趣旨の発言で、要するに「私は全く知らなかった!」という事を宣言したかっただけ。将来の社長として、若くから同事務所の中枢部にずっと居た彼女が、ジャニー氏の件(被害者は2千人を超えるという話も。)を全く知らなかったというのは、非常に無理が在ると思うが・・・。
ジャニーズの所属タレントには、報道番組でキャスターを務めている者も何人か居る。そんな彼等が、此の問題に揃って黙りを決め込んでいる事に、批判が集まっている様だ。「そういうスタンスを許している放送局も、相変わらずジャニーズ事務所に“忖度”し続けているのではないか?」とも。
一方で「黙りを決め込んでいる彼等も、性加害の被害者だったのでは?其れならば、何も言いたくない気持ちも判る。」といった擁護論が出ているとか。彼等が、性加害の被害者かどうかは判らない。でも、被害者で在ろうが無かろうが、彼等はキャスターという職に就いている訳で、此の問題と確り向き合い、きちんとコメントすべきで在る。そうで無ければ、「腰掛け気分で、“何ちゃってキャスター”を遣っているだけ。」と言われても仕方無いだろう。あんなにもジャニー氏の言動を面白おかしく話し、結果としてジャニーズ事務所の“闇の部分”を隠蔽する一助となっていた“ジャニタレ達”なのだから、不都合な事から目を逸らしてはいけない。マス・メディアも「問われるべき事は問わない。」と、単なる″提灯持ち集団”に成り下がってしまう。
*1 結構知られている事実では在るが、俳優・香川照之氏と市川猿之助氏は従兄弟関係に在る。昨年、「女性に対する性加害」が明らかとなり、謹慎処分に追い込まれた香川氏。復帰はしたものの、マイナス・イメージは完全払拭出来たとは言い難い。そして、今回の猿之助氏のセクハラ&パワハラ疑惑。従兄弟の不祥事を、“他山の石”と出来なかったのだろうか?能力の在る人だけに、本当に勿体無いと思う。