「リアル・タイムで聞いた『想い出の渚』【動画】と言えば、ザ・ハンダースが歌った『ハンダースの想い出の渚』【歌】という世代の自分。」だけれど、オリジナルで在るザ・ワイルドワンズの「想い出の渚」も、勿論知っている。「其のザ・ワイルドワンズのリーダー・加瀬邦彦氏が、20日に亡くなっていた。」と、昨日報じられた。自殺による死だと言う。
昨年、「1994年に食道癌の手術をしましたが、今度は下咽頭癌を発症し、手術を受けました。ザ・ワイルドワンズは、メンバー全員が癌に罹患した経験を持つ、非常に珍しいバンドなんですよ。」と、加瀬氏自身がインタヴューに答えている記事を目にした。「大変だなあ。」と思っていたが、「今月に入り体調が優れず、精神的に不安定になっていた事からの自殺。」と言う。加瀬氏の御冥福を御祈りしたい。
過去に何度か書いているけれど、「病により、生きたくても生きられず、生を終えなければならなかった近しい人々。」を何人も見送って来た経験から、自分は「自ら命を絶つ。」という行為を、“原則的に”肯定出来ない。でも、今回の加瀬氏もそうだと思うが、「病等によって、心身共に追い詰められた結果の自殺。」というのには同情を覚える。
数年前、近しい人間が自殺した。身の回りでは、初めての自殺者だった。死後、彼が心身共に可成り追い込まれていたのを知った。彼が愚直に生きて来た人間だっただけに、気の毒で唯々滂沱。
「自殺は遺伝する。」と言う人が居る。確かに、「自殺した人の身近に、自殺者が居る。」というケースが、多い様にも感じる。でも、個人的には「自殺は遺伝する。」というので無く、「身近に自殺者が居る事で、『自殺』のハードルが、他の人よりも低くなってしまう。」という傾向が在るのではないかと思う。
身近に自殺者が居ないと、概して「自殺」のハードルが高くなるのではないだろうか。未知の選択肢を選ぶには、相当の踏ん切りが要る事だろう。でも、身近に自殺者が居る場合、心身共に追い込まれてしまうと、「『自殺』という選択肢が、頭に思い浮かび易くなる。」という気がする。勿論、例外は在るだろうし、飽く迄も私見だが。
どういう理由が在るにせよ、可能な限り自殺を踏み止まって欲しい。近しい人間を初めて自殺という形で失い、未だに遣り切れない思いを抱えている自分だからこそ、強くそう思う。