「ミウラ・カズヨシ」という名前を見聞してパッと脳裏に思い浮かぶ人物は、或る年代を境に異なるのではないだろうか?或る年代より下は、サッカーの三浦知良氏を思い浮かべる人が殆どだろう。そして或る年代より上、自分なぞがそうだが、は「ロス疑惑」の三浦和義氏を思い浮かべる人が少なくないと思う。*1
1981年8月31日、三浦和義氏と妻・一美さんがロサンゼルスを旅行中、宿泊先のホテルで一美さんが鈍器にて頭部を殴打。それから3ヵ月後の11月18日、ロサンゼルス市内の駐車場で2人組の男に三浦夫妻が銃撃され、一美さんは頭を撃たれて意識不明の重体に。結局、一美さんは意識が戻る事無く、12日後の11月30日に死亡。当初は“愛妻を亡くした悲劇の夫”と報道されていた三浦氏だったが、その後になって妻に1億を超える保険金が掛けられていて、それを受け取っていた事実が判明。「三浦氏が保険金目当てに、全てを仕組んでいたのでないか?」と、“悲劇の夫”から一転して“疑惑の夫”になり、当時は連日の様に彼の動向が報道されていたものだった。やがて三浦氏は逮捕され、一美さん殴打事件に関しては懲役6年が確定し服役するも、銃撃事件に関しては証拠不十分として無罪が確定する。
昨日、「三浦氏がサイパン島の空港で逮捕。」というニュースを目にした時、「又、万引きで逮捕されたのか?」と思った。ところが「一美さんに対する殺害等の容疑で逮捕。」と知ってビックリ。27年も前の事件で在り、尚且つ銃撃事件に関しては最高裁で無罪が確定してから5年が経とうとしている。「本当に銃撃事件での逮捕なのか?それに、何故今なのか?」と疑問を感じた人も多かったろう。
三浦氏が逮捕されたというニュースを受けて、「アメリカの法律では、殺人事件の公訴時効が無い。」という話を思い出した。法律を学んでいた大昔に聞いた話なので、アメリカ全土でそうなのか、又は州毎の法律(今回の場合はカリフォルニア州法。)によって異なるのかは良く判らないが、「死刑に当該する罪の公訴時効は25年。(銃撃事件発生当時は15年)」という我が国とは異なる。ロサンゼルス市警は「長期未解決事件」として銃撃事件を追っていたという話も在り、今後の動向が注目される。
「『自国民で在る容疑者が日本に居るのに、国外で処罰を受けさせる訳にはいかない。』と日本の捜査当局がアメリカの捜査当局に主張し、結果的に日本で逮捕&裁判した経緯が在るのに、日本では裁判的に全てが終結した今、アメリカで逮捕というのはおかしい。」とか、「日本政府は自国民の人権を守る為、アメリカ政府に毅然と抗議すべき。」といった声も在るが、今回の記事ではそういった部分は抜きにして、純粋に「公訴時効」に付いて考えてみたい。
そもそも、「公訴時効」は何故存在するのか?その理由に付いて、次の4つの説が在る。
****************************
① 実体法説
時を経るにつれ犯罪の社会的影響が無くなって行き、国家の刑罰権が消滅する(刑罰を加える必要性が低下する)から。しかし、それならば無罪判決を言い渡さずに何故免訴判決になるのかという批判が在る。
② 訴訟法説
時の経過と共に証拠が散逸し、事実認定が困難になる為、適正な審理が困難になる可能性が在るから。しかし、それならば証拠が充分在る場合はどう説明するのかという批判が在る。
③ 競合説
実体法説+訴訟法説。
④ 新訴訟法説
犯人と思われている者が一定期間訴追されない事で、その状態を尊重し、個人の地位の安定を図る制度。最近の通説。
****************************
昔は「競合説」が通説だった様に思うが、今は“加害者側に優しい判断”と言えようか。「死刑に当たる罪に公訴時効が必要なのか?」という議論は昔から在る。公訴時効を維持している理由は上記の他に、「公訴時効が無いと捜査当局は捜査を延々と行わなければならず、人員・時間・予算の確保が難しい。」というのも在るだろう。だが遺族の“感情”を思うと、犯人の“逃げ得”が許されるというのも納得出来ない所。
こちらの記事で紹介されている様に「公訴時効を無くしたからといって、殺人事件の検挙率が上がるという訳では無い。」(統計)のかもしれないし、「否、国情が異なるのだから、日本で公訴時効を無くせば検挙率はもっと上がるかもしれない。」という考え方も在るだろう。こればかりは実際に施行してみないと何とも言えないが、個人的には「死刑に当該する罪に付いては、公訴時効をもっと伸ばしても良いのではないか。」と考えている。死刑に当該する罪を為した者が犯行当時20歳だった場合、今の公訴時効では45歳で罪を逃れられる事になる。死刑に当該する犯罪を為しても官憲から逃げ通せば、働き盛りの45歳で大手を振って生活出来るというのはどうなのだろうか。死刑に当該する罪の公訴時効は、50年位でも良い様に思うが・・・。
*1 「フルハム三浦」こと景山民夫氏が亡くなってから、3日後(1月27日)で丁度10年になる。
1981年8月31日、三浦和義氏と妻・一美さんがロサンゼルスを旅行中、宿泊先のホテルで一美さんが鈍器にて頭部を殴打。それから3ヵ月後の11月18日、ロサンゼルス市内の駐車場で2人組の男に三浦夫妻が銃撃され、一美さんは頭を撃たれて意識不明の重体に。結局、一美さんは意識が戻る事無く、12日後の11月30日に死亡。当初は“愛妻を亡くした悲劇の夫”と報道されていた三浦氏だったが、その後になって妻に1億を超える保険金が掛けられていて、それを受け取っていた事実が判明。「三浦氏が保険金目当てに、全てを仕組んでいたのでないか?」と、“悲劇の夫”から一転して“疑惑の夫”になり、当時は連日の様に彼の動向が報道されていたものだった。やがて三浦氏は逮捕され、一美さん殴打事件に関しては懲役6年が確定し服役するも、銃撃事件に関しては証拠不十分として無罪が確定する。
昨日、「三浦氏がサイパン島の空港で逮捕。」というニュースを目にした時、「又、万引きで逮捕されたのか?」と思った。ところが「一美さんに対する殺害等の容疑で逮捕。」と知ってビックリ。27年も前の事件で在り、尚且つ銃撃事件に関しては最高裁で無罪が確定してから5年が経とうとしている。「本当に銃撃事件での逮捕なのか?それに、何故今なのか?」と疑問を感じた人も多かったろう。
三浦氏が逮捕されたというニュースを受けて、「アメリカの法律では、殺人事件の公訴時効が無い。」という話を思い出した。法律を学んでいた大昔に聞いた話なので、アメリカ全土でそうなのか、又は州毎の法律(今回の場合はカリフォルニア州法。)によって異なるのかは良く判らないが、「死刑に当該する罪の公訴時効は25年。(銃撃事件発生当時は15年)」という我が国とは異なる。ロサンゼルス市警は「長期未解決事件」として銃撃事件を追っていたという話も在り、今後の動向が注目される。
「『自国民で在る容疑者が日本に居るのに、国外で処罰を受けさせる訳にはいかない。』と日本の捜査当局がアメリカの捜査当局に主張し、結果的に日本で逮捕&裁判した経緯が在るのに、日本では裁判的に全てが終結した今、アメリカで逮捕というのはおかしい。」とか、「日本政府は自国民の人権を守る為、アメリカ政府に毅然と抗議すべき。」といった声も在るが、今回の記事ではそういった部分は抜きにして、純粋に「公訴時効」に付いて考えてみたい。
そもそも、「公訴時効」は何故存在するのか?その理由に付いて、次の4つの説が在る。
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① 実体法説
時を経るにつれ犯罪の社会的影響が無くなって行き、国家の刑罰権が消滅する(刑罰を加える必要性が低下する)から。しかし、それならば無罪判決を言い渡さずに何故免訴判決になるのかという批判が在る。
② 訴訟法説
時の経過と共に証拠が散逸し、事実認定が困難になる為、適正な審理が困難になる可能性が在るから。しかし、それならば証拠が充分在る場合はどう説明するのかという批判が在る。
③ 競合説
実体法説+訴訟法説。
④ 新訴訟法説
犯人と思われている者が一定期間訴追されない事で、その状態を尊重し、個人の地位の安定を図る制度。最近の通説。
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昔は「競合説」が通説だった様に思うが、今は“加害者側に優しい判断”と言えようか。「死刑に当たる罪に公訴時効が必要なのか?」という議論は昔から在る。公訴時効を維持している理由は上記の他に、「公訴時効が無いと捜査当局は捜査を延々と行わなければならず、人員・時間・予算の確保が難しい。」というのも在るだろう。だが遺族の“感情”を思うと、犯人の“逃げ得”が許されるというのも納得出来ない所。
こちらの記事で紹介されている様に「公訴時効を無くしたからといって、殺人事件の検挙率が上がるという訳では無い。」(統計)のかもしれないし、「否、国情が異なるのだから、日本で公訴時効を無くせば検挙率はもっと上がるかもしれない。」という考え方も在るだろう。こればかりは実際に施行してみないと何とも言えないが、個人的には「死刑に当該する罪に付いては、公訴時効をもっと伸ばしても良いのではないか。」と考えている。死刑に当該する罪を為した者が犯行当時20歳だった場合、今の公訴時効では45歳で罪を逃れられる事になる。死刑に当該する犯罪を為しても官憲から逃げ通せば、働き盛りの45歳で大手を振って生活出来るというのはどうなのだろうか。死刑に当該する罪の公訴時効は、50年位でも良い様に思うが・・・。

*1 「フルハム三浦」こと景山民夫氏が亡くなってから、3日後(1月27日)で丁度10年になる。
そういえばそっくりでしたね。景山さんと三浦さん。ひょうきん族でプロレスコントの時のフルハム三浦の登場テーマ曲は「3時のあなた~」だったのを今でも思い出して笑ってしまう粉雪まいちる立春あたりの昼下がりであります。
開けてはいけないタイムカプセルといった感があります。
記憶違いで無ければ一美さんの父親は既に鬼籍に入られ、「疑惑の銃弾」で三浦氏を糾弾し続けた「週刊文春」の安部隆典編集長も文藝春秋社を離れられたと聞きます。一美さんが意識不明のまま、アメリカからヘリで帰国した際、三浦氏と共に涙乍らにリポートしていたのは、今は亡き逸見政孝氏でしたね。27年も経っているのですから、あの事件に関係した人々の状況も大きく変わっているだろうし、パーム・ツリーが印象的だった銃撃現場もパーム・ツリーは無くなり、目の前に大きな建物が建つ等全く雰囲気が変わっていました。
景山氏が演じたフルハム三浦は強烈に覚えているのですが、そうそう入場ソングは「3時のあなた」でしたね。一気に記憶が蘇って来ました。
日本では“法律的に”決着してしまっている事件ですので軽率な事は言えませんが、あの決着の仕方に何とも納得し難い思いを感じた人は多かったでしょうね。今後のアメリカ捜査当局の動きを見守りたいと思います。
勿論、日本の捜査当局も必死で真相究明に当たったとは思うのですが、結果として加害者(計画者も含む。)を特定するには到りませんでした。加害者はあれからずっと、逃げ通している事になりますね。
上でtak様宛てに書かせて貰ったのですが、記憶違いで無ければ一美さんの父親は既に鬼籍に入られています。「最愛の娘を殺した犯人」が確定されないまま、あの世に旅立たれた訳です。その心情を思うと居た堪れない。
DNA鑑定等、あの当時と比べると捜査方法は格段に進歩しました。アメリカ捜査当局が新しい証拠を見付けたという話も在り、一刻も早く加害者が法で裁かれる事を望みます。
と聞いて、サッカーのカズと勘違いした人のなかには、Jリーグの選手もいたそうで、僕も歳をとったのだなぁ~と、認めたくないけれど思ってしまいます。
今こうして再び捜査が着手された『ロス疑惑』ですが、この逮捕以前は、日本においては裁判も終了したことから三浦和義は無罪として報道されていました。
しかし不可解なことに無罪と報道されているにも関わらず、冤罪と言う言葉は、あまり使われません。
冤罪にうるさい日本の報道が冤罪事件としてはあまり報道していないのです。
事のながれとしては、冤罪事件のかたちを成しているのだけれど、数々の疑問があるが故に、冤罪と報道したがらないのでしょうね。
もっとも、この辺りはどういった判断基準であるか、報道の方に聞いてみたいものです。
おそらく、
「冤罪ではないとは言ってはいない。」
と逃げられるでしょうけどね。
それと死亡事件に時効がないということで、今回の逮捕となったようですが、どういった新証拠がでてきたか興味がありますね。
発生当時から不可解な事件であり、判決がでたあとの報道も不可解でした。
そして今度の結末も、不可解になりそうですね。
なんか三浦和義を擁護するかのようなコメントになってしましました。
決して真意は、そうではありません。
念のため。
ロス疑惑、国内では裁判で全てが“決着”しておりますので軽率に物は言えませんが、諸々の“状況証拠”を考え合わせると、あの決着方法に疑問を感じている人は少なくないでしょうね。その後に三浦氏が2度も“別件”で逮捕されているというのも、心証を悪くしているでしょうし。
三浦一美さんだけでは無く、白石千鶴子さん(http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/giwaku.htm)という女性も三浦氏の周りでは亡くなっており、同一人物の周りで2人も妙な亡くなり方をしているというのは不思議でも在ります。無念の死を遂げた2人の為にも、捜査当局による“真相”究明に期待したいです。
>状況証拠
状況証拠だけだとダメだとかナントカ「OJシンプソン」事件で言ってなかったっけ???ちょっと記憶が曖昧ですが…。
あの「共犯者」のポルノ女優、今どうしてるんでしょうね。
上でtak様が「開けてはいけないタイムカプセルを開けた様な感じ。」と書かれていましたが、これは言い得て妙だなあと感じました。パンドラの箱を開けてしまったと言えるかもしれません。確固たる何かが在っての逮捕とは思いますが、万が一そうでは無かったら、あの三浦氏の事ですから訴訟をバンバン起こすのは間違い無いでしょうね。
アメリカの法律事情は良く知らないのですが、州によって結構異なる部分が多い様で、もしかしたらカリフォルニア州では状況証拠だけでも有罪に持って行ける様な法律環境に在るのかなあと思ったりもしています。
それにしても、古い事件で在る事は間違い無いですよね。某報道番組で30代前半の女性キャスターが「『ロス疑惑』という名称は知っていますが、内容は良く知らなかったんです。」と答えていました。そりゃあそうですよね。事件発生時、彼女は恐らく小学校にも上がっていなかったろうし。隔世の感が在りました。
週刊文春が「疑惑の銃弾」を取り上げた頃、週刊誌を読み漁っていたし、この事件を取り上げた番組も良く見ていました。根が野次馬なので。
三浦氏の叔母(実母という説も在りましたが。)が水の江瀧子さんというのも有名になりましたが、三浦氏の歯を噛み締める様な独特の喋り方(「僕“自身”」というのに顕著。)が水の江さんとソックリ(「あ“ちし”」[あたし])だったのには苦笑いしたものです。