現実逃避ING

やるせない毎日からの逃避行。

謎解きはディナーのあとで

2011年01月22日 | ゆる
もう一体何年になるだろうかと思うほど、ストーリーのある本を読んでなかった。普段本屋で買うものと言えば、ほとんどが漫画であとは雑誌。たまに読む本があっても、新書の類でストーリーのあるものではなかった。

そんな私が久しぶりに買ったストーリーのある本が「謎解きはディナーのあとで」だった。CMで何度も見かけた“令嬢刑事”と“毒舌執事”のやり取り。そんなCMに見事に引っ掛かって興味を持ったというわけ。

本屋で平積みされている本を手に取ると、普段ほとんど本を読まない私にとっては、そのまま戻しそうになる厚みがあった。でも、実際はそれほど字が詰まっていないので読み易い部類に入るだろう。さらに、全体が1つのストーリーではなく、1話40ページほどのショートストーリー6話という構成なので、そのあたりでも読み易く感じられた。

本格ミステリーという宣伝文句の割に、ショートストーリーである分、やや扱う事件の規模は大きくなく、謎解きもそれほど難解なものではない。ただやはり、ポイントは事件や謎解きの規模ではなく、登場人物のキャラクターとやり取りの面白さにあった。

執事という立場上、平身低頭で敬語を使っている影山が、謎解きとなると冷静な語り口のまま令嬢たる宝生麗子に対して放つ暴言。その言葉のいくつかはCMで披露されてしまっているが、それでもそのギャップには読んでいて驚いてしまう。その言葉に怒り心頭しつつも、謎解きの内容だけは頼りにしてしまう麗子の様子がまた笑いを誘う。

そして、もう一人の主要人物で、麗子の上司にあたる風祭警部もまた良い味を出している。警察では大企業の令嬢という素性を隠して過ごしている麗子とは反対に、風祭警部は大企業の御曹司であることをひけらかしている。麗子が自分の家よりもずっと大きな企業の令嬢だと知らない風祭警部の話しぶりや、極々普通に思いつく推理を自慢げに話す様子は実に滑稽に思える。

表紙以外、話の途中で挿絵などは一切なく、人物の様子や現場などの状況は文面からの想像で補うしかないのだが、それが本の良さなんだなぁと改めて感じた。ただ、CMの影響はやはりかなり強かったようで…。私の思い描く麗子は完全に名探偵コナンの“毛利蘭”になっていた。まぁ、そのイメージが結構ハマッていたから良かったんだけど。

結局、現場での麗子と風祭警部、帰ってからの麗子と影山の謎解きという構成は最後まで変わらなかった。もし続編があるなら、麗子の素性や影山の推理が明るみに出るのかどうかも期待したいところだ。
コメント
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