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物語分析

2018-08-24 | 本を読みます

http://www.wind.sannet.ne.jp/masa-t/tougobunseki/tougobunseki.html

 リトアニア人の構造主義記号論者、アルグリダス・グレマアスは、説話の今までに知られている構造を生成できる、説話の文法を提案した(Greimas 1983; Greimas 1987)。Proppの七つの規則を‘記号論的に還元’した結果、彼は説話の統語体として三つの型を明らかにした:履行の統語体(syntagms performanciels) -仕事と闘争;契約の統語体(syntagms contractuals) -契約の成立と破棄;分裂の統語体(syntagms disjonctionnels) -出発と到着(Greimas 1987; Culler 1975, 213; Hawkes 1977, 94)。グレマスは、三つの基本的な二項対立が全ての説話の主題、行為そして役割の型(それらをまとめて‘行為項(actants)’と呼んでいる)の底辺にある、と主張している。つまり:主体/対象(Proppのヒーローと探される人)、送り手/受け手(Proppの派遣する人とヒーロー -再び)、支援者/敵対者(Proppの支援者と提供者の融合、および敵対者と偽のヒーロー) -グレマスが、ヒーローは主体であり、受け手であると主張していることに留意する必要がある。主体は探す人である;対象は探される人である。送り手は対象を送り、受け手はそのあて先である。支援者は行為を補助し、敵対者はそれを妨害する。彼は、主語-動詞-目的語という文章の構造から外挿し、物語の構造の土台として、基本的かつ基礎となる‘行為項モデル’を提案した。彼は、次のように主張している。古典的な統語法では、‘機能’は言葉によって演じられる役割である -主体は行為を行う人であり、対象は‘それを受ける人’である(Jameson 1972, 124)。Terence Hawkesは、グレマスのモデルを次のように要約している:説話は次のような順序を採用している。‘その関係が、敵対かまたはその逆である二つの行為項;そして表面レベルでは、この関係は分裂と連結、分離と統合、闘争と和解などという、基本的な行為を生む。ある実体 -特性、対象- の表面上で、ある行為項からほかの行為項への転移を含むあるものから、他のものへの移動は、説話の真髄を構成する’(Hawkes 1977, 90)。グレマスにとっては、このように種々の物語は、共通の‘文法’を共有する。しかし、Jonathan Cullerのような批判者は、グレマスの方法論の有効性、彼のモデルの実用性や有効性に納得していない(Culler 1975, 213-214, 223-224)。








Semiotics for Beginners
-初心者のための記号論-
<序 文>
1. はじめに _9. コード
2. 記号 10. 伝達の様態
3. 様相と表現 11. 記号化/記号の解読
4. 範列と統語体 12. 分節
5. 統語分析 13. テクスト間相互関連性
6. 範列分析 14. 記号論的分析への批判
7. 指示義、共示義と神話 15. 記号論的分析の長所
8. 修辞的な言葉のあや 16. 記号論的分析の演習  

<訳者より> 本テキストは英国のウエールズ大学のダニエル・チャンドラー博士による記号論への入門書のオンライン版であり、インターネット上で公開されているものです。このオンライン・テキストは評判が良く、1995年公開以来のアクセス回数は56万回(2004年2月時点)にもなっています。 訳者は2002年4月まで35年間、企業の研究所に勤務していたシステム分析が専門の技術者ですが、記号論の本の中に、「システム」という言葉がたびたび出てくることから記号論に興味を覚え、インターネット上で調べていたところ本テキストと出会いました。記号論の主要トピックスをソシュールの記号学および構造主義をベースに、丁寧に説明しており具体的な例も多く観念的でないことから、記号論を勉強してみたいと思っている人、記号論の勉強を始めたがよく分からず挫折した人にとって良い参考書になるのではないかと感じました(残念ながら、日本では、記号論の体系だった教科書は少ないと思っています)。
 そこで、無謀にも、チャンドラー博士の了解を得て、”Semiotics for Beginners”を日本語に翻訳し、ホームページ上で公開することにしました。2004年2月から始めたのですが、ようやく最終章までたどり着きました。訳者が工学系であることから、翻訳が適切か、読みやすいかどうかには自信が持てません。原文を読むためのノートとして役立てば幸いです。不備な点も多く、これから少しずつ、改良していきたいと思っていますので、誤訳の指摘、意見をいただければ嬉しい限りです。


http://www.wind.sannet.ne.jp/masa-t/index.html

Semiotics for Beginners
-初心者のための記号論-
Daniel Chandler (University of Wales)
田沼 正也 訳

序 文(Preface)
 どうして、そして誰のために "Semiotics for Beginners" を書くようになったか、たびたび訊ねられます。最初、1994年に私自身と University of Wales, Aberystwyth のメディア教育コースの学部3年生のために書きました。個人的な意見ですが、マスメディアを学ぶ人、またはコミュニケーションや文化研究にとって記号論は必須だと思っています。その時点では、良いテキストが無かったので、自分自身の目的と学生の目的にあったテキストを作成することにしました。それは、記号論に関する理解を進め、明確にするための方法でした。多くの読者と同様に、記号論の勉強は理解できないような本によって挫折させられてきました。教育者としては、そのような本の著者はまったく恥じ入るべきだと感じています。意味の生成 (meaning-making) という主題は、広範な読者層にとって理解可能で魅力的なものでありますが、大部分の本は、それを混乱した、退屈でかつ非常に不明瞭なものにしようとしているように思えます。

 大学において、このテキストを書くことを優先させたのは、それが展開していくことが期待できたためですが、最初のテキストを書いてから、その領域は大きく拡大し、マスメディアのみならず文学、美術や神話などにもしばしば言及するようになっています。記号が私を魅了するのは、学術領域の ‘境界’を横断し、また明らかに異なる現象を関連付ける楽しみを支援してくれるからでありました。私はテキストとともに成長しました:それはたやすく改定できるオンライン形式なので、私がそれよりも ‘成長してしまった’という心配はせずにすんでいます。一方、博学でないので取り上げられなかった項目も、必然的に多くなっています。このテキストでは、内容を人間の記号過程に限定しました。このため、動物の行動やコミュニケーション(動物記号論)のような記号論の他の流れを紹介していません。また、コンピュータ間のコミュニケーションにも触れていません。焦点は人文科学にあり、そのため数学的記号論も取り上げられません。人文科学の中でも、音楽と建築の記号論をカバーするのは適任でないと感じています。オンライテキストを調べた学生の中には、これらの分野の人もいることを知っていますが、それによって、彼らが専門領域に関連した一般的原理を発見しようとしているという希望を持つことができました。ある領域を除くことは、勿論、それらの領域が、記号論の世界で重要性が低いということを示唆しません。テキストの避けられない選択性は、読者を脱構築に誘い入れますが、自分自身の目的を意識することにより、読者は ‘不在によってめだつもの’に注意するようになるでしょう。

 記号論は大きな分野であり、総合的に論述することはできません。あるキー概念に集中する私の試みは、ある意味ではミスリーディングとなります:記号論の思想には多くの学派があり、研究者の間では問題に関する視点、中核となる思想、方法論的道具に関する一致は殆どありません。ここでの特定の分野に絞った説明は、ヨーロッパ系統のソシューとポストソシュール記号論(構造主義記号論とポスト構造主義的批判)の方に、例えばパースの記号論(パースのキー概念は示されるが)よりも重点を置くことになります。構造主義記号論に焦点を絞るのは、記号論をテクスト分析への接近法として用いようとしている読者にとって有用であるようにとの意図からです。しかし、記号論は、各種メディアにおけるテクスト分析手法以上のものであり、記号論から発生する魅力的な哲学的な分野を開拓しようとする読者の熱意を刺激することを希望しています。

 このテキストと同じ名前の本 'Semiotics for Beginners' (Cobley & Jansz 1997) が既に出版されているので、このオンライン出版物を “Semiotics for Absolute Beginners”と名付けたい誘惑にかられましたが、最初の名前を採用することにしました。ところが、その本は、その後 (1999)、'Introducing Semiotics' と題目が変更されました。私はできる限り、本当の初心者のためにこれを書くつもりです。もし、この点で改良すべきところがあれば聞かせて下さい。これは、もともと私の学生のために書かれたこともあり、このオンライン出版からの ‘正帰還’ は私を楽しませ、また惑わせています(同時に勇気付けてくれます)。その一つの理由は、新しいメディアに載せることが、記号論に関する新鮮な関心を生み出したことにあると思われます。もうひとつの理由は、これまで記号論について書かれたものの多くが ‘クラブの会員’ でない人を締め出すようなものであったからだと思われます。(喜ばしいことに)多くの読者がこのオンライン出版は、初心者にとって本当に親切であると報告してくれています。確かに、あまりに専門用語の知識を必要とするもっと難しい記号論のテキストを勉強する際の ‘読者の仲間' を、これは目指しています。私の主な受講者のために行った、時折見られる過剰に簡単化した紹介が必要でない読者には謝罪したいと思います。しかし、行き過ぎがあったら、どう改良したらよいか耳を傾けたいと思います。

 この資料は-S4Bと略称する-、ワードプロセッサーからワールドワイドウェブに単純に移植したのではなく、ハイパー・テキストで開発しました。しかし、その設計にあたっては、革新的にハイパーテキスト的ではなく、読者が最初にどの頁にも行くことができ、その個所からドキュメントを介して、読者のやり方で仕事が進められるように試みました。その結果、単純に直線的な経路を辿る読者は、繰り返しが多いと感じるかも知れません。このモジュール的方法がいらいらさせるものでないことを願っています。インターネットの利用は、このテキストが暫定的な性質を持つ(そして その分野に関する、‘書いている時点’での現状の理解である)という私の意識を反映しています。事実、ハイパーテキストの資料は、私の‘マスターコピー’です。とういうのは、有益な変更が頭に浮かんだときはすぐに更新するので、私自身の印刷されたコピーは古臭くなるからです。この意味では、オンラインテキストを使用することにより、そのトピックに関する私の個人的なノートを見ることができるようになります。私が特定の頁をいつ更新したか、読んでいる事項の頁の日付と時間をチェックすることにより知ることができます。ただ、時々レイアウトの変更のみのこともあるので注意して下さい。私が修正しているときに、読むことになるかもしれません。このことを知っていれば、テキストの流れの中に十分に組み込れていない材料に出会っても、驚くことはないでしょう。それでも、オンラインテキストの構築に含まれている ‘骨格’ はある程度分かります。このテキストをプリント出力するときは、もともとこれがその形式で読まれるように書かれていないことに注意して下さい。

 オンラインテキストの利用状況を知るために、‘アクセス回数計’ を設けてから、これへの ‘ヒット’ 数にびっくりしています。しかも、そのアクセス回数は最初、指数的に増加するように見えました。ヒット回数は1995年9月18日から1999年2月13日までに100,000回、1999年9月9日までに150,000回、2000年4月5日までに200,000回、2000年12月6日までに250,000回に達しています。しかも、オリジナルサイトに入ることなしに一時的に再利用するため、自分のところにテキストを蓄えることを除いた自動的な ‘現物 (cash)’の利用数です。また、このテキストには、世界中から多数のeメールが寄せられています。たとえば、Umbelt Eco 教授の(匿名の)学生がテキストを読んだ後、彼をよく理解できたと話してくれました。多くのそして色々な分野の人がこれの成長に貢献してくれたことを知っています。アメリカ合衆国で、記号論関係でもっとも広く使われているウェブを運営しているMartin Ryderは、私のオンラインテキストは、記号論的オンラインへの関心度の注目すべき成長のキー要因であると示唆しています:また、彼はそれは記号論的社会の危機に焦点をあてているとも言っています。しかし、私はそれを信じません。もし、信じていたら、このテキストの不適切さや私の知識やそのようなことを行う能力の限界を知っているので、動きが取れなくなっていたでしょう。幸運にも、最初、そのような可能性を知りませんでした:私にはオンライン読者が見えていませんでした。
 ウェブ上での学術論文の出版は、学識者がこれまで考えてきたよりずっと多くの読者を得る機会を提供します。私は、出版契約と印刷出版のために投稿する論文に次の一行 ‘著者はこの論文をオンライン出版する権利を保有する’を加えることにより、オンライン出版権を保持することを、学識者に力説したいと思います。私の電脳空間への冒険が、だれかにその良さを認めてもらっているということを同僚に実感して貰うため、読者のコメントが自動的に学部長に複写されるようなコメントフォームを含める誘惑にずっと抵抗してきました。読者から寄せられたeメールには極力、回答するように努力していますが、時間が充分にないため、個別に回答できなかった人とにはお詫びしたいと思います。これからも、コメントといろいろな示唆を歓迎します。ときどき、この本の使用は有料かとの質問を(本当に) 受けます。もし、コピーを配布するのでなければ、使用料や許可は要りません。個人的な利用のため、自分のPCに複写するのも問題ありません、またウェブサイトからリンクを張るのも、許可を求める必要はありません。しかし、‘独立したコピー’ をサーバーに置くのは止めてください。公式ミラーサイトについては、喜んで相談に応じます。この本が本当に役立ったと感じた人は、私の書籍収集癖のために、(メディアやコミュニケーションの研究に関する)いらなくなった書籍を送って下さい!私の家の住所は以下です:Flat 1,'Wembly', 42 Portland Street, Aberystwyth, Ceredigion SY23 2DX, Wales (UK).

 ソシュールの一般言語学講義からの引用にあたっては、Roy Harris (Saussure 1983) の翻訳を用います。しかし、シニフィアンを信号 (signal)、シニフィエを意味作用 (signification) とするHarrisの訳ではなく、この翻訳を用いたJohn Sturrockに倣って、記号表現(signfier)と記号内容(signfied)を用いることにしました。Harris の翻訳は1983年でWade Baskinの翻訳(1959)より最近のものであるが、Harrisの翻訳は殆どの学生が参照するテキストでは用いられていないためです。このため、Harris の訳と Baskin (1974年版) の訳の参照頁を併記しています。フランス語の ‘原典’にも問題があります。それは1916年に、ソシュールの死後出版された(ソシュールは1913年没)ものであり、またソシュール自身によって書かれたものでないからです。それは1907年から1911年に行われた授業からとられた学生のノートに基づき編集されたものです。

 テキストの主要部は周期的に更新されます(時にはかなり大きく)。オンラインテキストは、英語で印刷された形でも入手できますが、オンライン版は特別な利点を持っています:特に、私にとっては更新できること、読者にとってはテキストを検索できることまた両者にとってはハイパーテキストによって連結が可能になることです。しかし、読者にとっての主たる問題は(画面上での長期間にわたる読書からくる不快さというよりもむしろ)、それを知ることができるほど充分に持続しないことかもしれません。一方、本は(それが描写する地形ではなく)地図として固定的であるので、人は ‘その本の周りの道’を正確に知ることができます。本の版は、Routledge によって次のような題目で出版されています:Semiotics : The Basics 。印刷された本の詳細はここをクリックして下さい。オンライン版をプリント出力するよりも、本を買う方が安いですし、本の方が整然としており本棚に入れるのには良いし、またざっと全体を見るのにも便利です。

 2001年までは、このテキストに関する公式の印刷版は一つしかありませんでした。奇妙な事情により、その本は最初、このテキストが書かれた言語ではありませんでした。Venessa Hogan Vega と Ivan Rodorigo Mendizabalによる公式スペイン語訳 ― Semiotica para Principant ― が Pluriminor シリーズとして Ediciones Abya-Yala, Av. 12 Octubre 14-30 y Wilson, Casilla 17-12-719, Quito, Ecuador から Escuela de Comunicacion Social de la Universidad Politechnica Salesiana との共 同で出版されました(1998年、146頁、参考文献付き、ISBN 9978-04-429-9)。これは、1998年6月中旬のテキストをベースにしています (Chandler 1998)。もし、他の言語に翻訳したいと思った場合は、喜んで私はそれを英国の出版元に連絡します。

 1999年には、敬愛する Athens University of Economic and Business の Maria Constantop 教授によってギリシャ語のオンライン版が出されました。ギリシャ語の印刷版は現在、交渉中です。Semiotics for Beginners の米国の公式ミラーサイトは、 North Carolina の Martin C Messer によって運営されている http://www.argyroneta.com/s4b/ です。ありがとう Martin 。このサイトは常に更新されているわけではないので、注意して下さい。Windows CE 上の Starbuck Bookreaderで読める Palmsize PC のためのもっと初期の版のテキストもあります。これは http://www.adbosh.demon.nl/starbuc 上で見つけることができます。他の版を造る提案も歓迎します。

 University of KasselのWinfried Noth教授には、‘分節’と‘空の記号表現’ついて有益なコメントを頂いたことに感謝します。また、University of Wisconsin-MadisonのDavid Mick教授にはアイデアや観察の源泉となった広告記号論に関する彼の論文を教示して頂きました。


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