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ゆ らゆ /る らる /れる られる

2019-12-22 | 日本語文法
おもほゆ←おもはゆ 転音は、音韻の前項同化による。おぼゆ←おもはゆ について表記が影響したか、思はゆ から、おぼゆ 覚ゆ では、どういうプロセスがあったろう。
>助動詞「ゆ」「らゆ」は平安時代になると「る」「らる」に取って代わられた。「思ほゆ」などは和歌で使われ続けた。江戸時代には国学者流歌人が万葉調の歌において度々用いるようになって復活し、近代に至る。現代口語には「いわゆる」「あらゆる」などに化石的に残っている。思ほゆ 偲はゆ 泣かゆ 忘らゆ  語源は動詞「生(あ)る」との関連が指摘されている。奈良時代には多く「ゆ」「らゆ」が用いられ、「る」「らる」は平安時代以後に多くなる。現代口語には「れる」「られる」の形で継承されている。



らゆ(読み)ラユ
デジタル大辞泉の解説
らゆ[助動]
[助動][らえ|らえ|○|らゆる|○|○]《上代語》下二段・サ変動詞の未然形に付く。可能を表す。…られる。…できる。→ゆ
「妹(いも)を思ひ寝(い)の寝らえぬに秋の野にさ雄鹿(をしか)鳴きつ妻思ひかねて」〈万・三六七八〉
[補説]「らる」に先行する助動詞。活用・意味ともに「ゆ」に準じて考えられるが、用例は少なく、「い(寝)の寝らえぬに」という例にほとんど限られる。

大辞林 第三版の解説
らゆ
( 助動 ) ( らえ ・ ○ ・ ○ ・ ○ ・ ○ ・ ○ )
上代の可能の助動詞。下二段活用の動詞の未然形に接続する。否定の表現を伴って、不可能の意を表す。 「我が背子がかく恋ふれこそぬばたまの夢いめに見えつつ寝いねらえずけれ/万葉集 639」 「夜を長み眠いの寝らえぬにあしひきの山彦とよめさ雄鹿鳴くも/万葉集 3680」 〔 (1) 「ゆ」とともに、中古以降の「る」「らる」に対応する。 (2) 活用は、「ゆ」との関連から下二段活用型と考えられるが、上代には未然形「らえ」の用例だけが見られる。なお、中古の訓読文には、連体形「らゆる」の例が見られる。



五十音図第8行第3段の仮名で、平仮名の「ゆ」は「由」の草体から、片仮名の「ユ」は「由」の終画からできたものである。万葉仮名では「由、遊、喩、愈、瑜、踰、臾(以上音仮名)、湯(訓仮名)」などが使われた。ほかに草仮名としては「(由)」「(遊)」「(游)」などがある。
 音韻的には/ju/で、舌面と歯茎硬口蓋こうがいとを狭めて発する摩擦音[j]を子音にもつ(母音の[i]と非常に近い音なので半母音ともいう)。[上野和昭]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

〘格助〙 (体言または体言に準ずるものを受けて「より」と同様に用いられる上代語)
① 動作・作用の起点を示す。時間的な場合と空間的な場合とがある。
※書紀(720)景行一七年三月・歌謡「はしきよし 我家の方由(ユ) 雲居立ち来(く)も」
② 動作の行なわれる場所・経由地を示す。時間的・空間的・抽象的な用法がある。
※書紀(720)神武即位前・歌謡「伊那佐の山の 木の間由(ユ)も いゆきまもらひ」
③ 動作の手段を示す。
※万葉(8C後)一四・三三九六「小筑波のしげき木の間よ立つ鳥の目由(ユ)か汝(な)を見むさ寝ざらなくに」
④ 比較の基準を示す。
※万葉(8C後)九・一七五三「うちなびく 春見まし従(ゆ)は 夏草の しげきはあれど」
[補注]「書紀‐歌謡」と「万葉集」に用例が見られるのみである。語源に関しては格助詞「ゆり」の語誌を参照。

〘助動〙 (活用は「え・え・ゆ・ゆる・ゆれ・◯」四段・ラ変動詞の未然形に付く) 自発・受身・可能の助動詞。中古の「る」に当たる。
① 自発。ある動作が自然に行なわれること、無意識的にある行為をしてしまうことを表わす。
※万葉(8C後)五・八五三「漁りする海人の子どもと人は言へど見るに知ら延(エ)ぬうまひとの子と」
② 受身。他から動作を受ける意を表わす。動作の受け手(「ゆ」が付いた動詞に対する主語)は、人間・動物など有情のものであるのがふつうで、また、その動作を受けることによって、被害や迷惑、または恩恵などを受ける意味をも含むことが多い。動作の行ない手は、「…に」の形で表現される例が多い。
※万葉(8C後)五・八〇四「手束杖(たつかづゑ) 腰にたがねて か行けば 人に厭(いと)は延(エ) かく行けば 人に憎ま延(エ)」
③ (打消の助動詞を伴って) 不可能の意を表わす。
※書紀(720)斉明四年一〇月・歌謡「山越えて海渡るともおもしろき今城のうちは忘ら庾(ユ)ましじ」
[語誌](1)「らゆ」とともに、中古以降の「る」━「らる」に対応する。ただし、上代にも「る」の例は少数ある。命令形は現われない。
(2)語源上、「見ゆ」「燃ゆ」「消ゆ」「絶ゆ」など、いわゆる他動詞を対応形にもつヤ行下二段動詞の語尾と同じもので、作用を自然に発動する変化またはその状態としてとらえるのが原義と考えられる。それが、「見ゆ」にも「人に見ゆ」(見られる意)などの用法のあるように、受身の意味を明らかにするために用いられ、一方、否定を伴うと、不可能の意を示すことになった。
(3)四段活用動詞の未然形に付くものを助動詞として取り扱うが、「思ふ」「聞く」に付いた場合のように、早く「思ほゆ」(さらに「おぼゆ」)「聞こゆ」となって、一動詞の語尾として扱われるものがある。
(4)上一段活用動詞「射る」について、「射ゆ」の受身用法の例があり、これを普通に助動詞の「ゆ」と説く。「書紀‐斉明四年五月・歌謡」の「射喩(ユ)獣(しし)を認(つな)ぐ川上(かはへ)の若草の若くありきと我が思(も)はなくに」や「万葉‐三八七四」の「所射(いゆ)鹿を認ぐ川辺のにこ草の身の若かへにさ寝し子らはも」など。そのほか枕詞に用いた「所射(いゆ)ししの」もある。これらはすべて「ゆ」の形を連体法に用いており、しかも「しし」につづく固定的な表現であるが、「見ゆ」に合わせて、古くは上一段動詞にも「ゆ」が付いたとすることができよう。
(5)中古には、漢文訓読に「地蔵十輪経元慶七年点‐七」の「当来に有ら所(エ)む罪咎を防護すべし」のように、多少引き継がれ、また、「あらゆる」「いはゆる」のように連体詞として固定したものが後世まで用いられたほかは、一般に「る」に代わった。なお、ラ変動詞「あり」に付くのは、漢文の「所有」の訓読のために生じた語法か。

精選版 日本国語大辞典の解説
らゆ
〘助動〙 (活用は「らえ・らえ・〇・らゆる・〇・〇」。下二段型活用。下二段動詞の未然形に付く。可能の助動詞) 可能の意を表わす。
※万葉(8C後)四・六三九「吾が背子がかく恋ふれこそぬば玉の夢(いめ)に見えつつ寐不所宿(いねらえず)けれ」
[補注]四段動詞に付く「ゆ」とともに、「ゆ」‐「らゆ」の組をなして、「る」‐「らる」の組に対応するものと考えられる。しかし「ゆ」に比べ用例、用法が少なく、上代では下二段動詞「寝(ぬ・いぬ)」に付いた未然形の例「いねらえぬ」「いのねらえぬ」の形で、不可能の意を表わすものしか見られない。


大辞林 第三版の解説
受け身
文法で、他者からの動作・作用を受けるものを主語として述べるもの。口語では助動詞「れる」「られる」、文語では「る」「らる」(古くは「ゆ」「らゆ」)を付けて言い表す。「殺される」「ほめられる」の類。なお、「雨に降られる」のように、自動詞に受け身の助動詞を付けた言い方(迷惑の受け身といわれる)もある。
受動態
じゅどうたい【受動態】
文法で、動詞の態の一。主語が他のものから動作・作用を受けることを表す動詞の文法形式。日本語では「れる」「られる」(文語では「る」「らる」)の助動詞で示される。所相。

デジタル大辞泉
じゅどう‐たい【受動態】
文法で、他からの動作・作用を受ける対象を主語に立てた場合に、その述語の動詞がとる形式。所相。受身。


日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
受動態
じゅどうたい
passive voice
文法用語。態voiceの一つで、能動態active voiceに対する。所相、受け身などともいわれる。「読む」「書く」「殺す」などの他動詞は、意味上その動作を行う動作主と、その動作の対象となる受動者とをとる。この両者の構文論上の働きの違いの型が態である。能動態は「太郎が次郎を殺した」のように、動作主が主語、受動者が目的語になるものである。これに対して、受動態は「次郎が太郎に殺された」のように、受動者が主語になり、動作主は格助詞の「に」をとって補語となる。
「太郎は雨に降られた」「母親はひとり息子に死なれた」など、自動詞文からつくる受動文は日本語独特のもので、これは本来被害の意味を表すものである。


ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
能動態
のうどうたい
active voice
動詞の態のなかで,主語が定動詞の表わす動作の動作主になっていることを示すもの。たとえばラテン語で amo (私は愛する) は能動態,これに対して amor (私は愛される) は受動態である,という。


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