トランプ大統領の発言は日々、選挙前のスピーチと同様に変わらぬ勢いである。選挙運動さながらに就任後もツイッターをはじめ、短くえぐり出すことばの切りこみでトランプ節と解説する記事も現れた。タイトルには、解剖トランプ流 挑発口調、意外な共感 平易な言葉/感情的な表現多用 中低所得層の支持つかむ と見える。挑発と共感、平易と感情的と、そのターゲットを中間層の支持と見ている。同紙の記事によると、こんな具合である。その節回しに、批判する表現に、total disaster、完全な大失敗、対象が人の場合にも、lightweight、軽量級、女優のメリル・ストリープ氏には、overrated、過剰評価された人と、見よう、聞きようによっては、耳目に値する、その対象と内容はさておき、である。大学の政治心理学の研究者は、文法力、語彙力を小学1年生から7年生に据える分析をしている。これからの動向がその言動とともに、人々に伝播し始める。
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170201&ng=DGKKASGM26H2R_R30C17A1FF2000
解剖トランプ流 挑発口調、意外な共感 平易な言葉/感情的な表現多用 中低所得層の支持つかむ
2017/2/1付
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日本経済新聞 朝刊
【ニューヨーク=清水石珠実】トランプ米大統領は「暴言や誇張が多い」との批判がある一方、率直な語り口が一部から熱狂的な支持を集めている。従来の政治家にはない型破りな「トランプ節」の秘密はどこにあるのか。(総合2面参照)
「メキシコは長いこと米国を利用してきた。膨大な貿易赤字をもたらすくせに脆弱な国境警備にはほぼ手を貸さない。こんな状況は変えなくてはいけない。今すぐにだ!」
1月27日、トランプ氏のツイッターへの投稿に15万8千件の「いいね」がついた。
トランプ節の特徴が際立つのは何かを批判する時だ。よく使う「total disaster(完全な大失敗)」は大惨事を意味する「disaster」に強調語の「total」を重ねる。選挙戦で北米自由貿易協定(NAFTA)などをこう呼び「大失敗」のレッテルを貼った。対象が人の場合も自分を批判した女性司会者を「lightweight(軽量級)」、女優のメリル・ストリープ氏は「overrated(過剰評価された人)」と決めつけた。
1月20日の就任演説でも製造業の流出や都市部の退廃を「carnage(大虐殺)」と表現する「らしさ」をみせた。
一方で好意を持つと「great people(君たちはすばらしい)」と絶賛。批判してきた企業のトップとの会談後に「great peopleだった」と感想を述べた。「建設的な話し合い」など通り一遍の発言ではなく「自分の言葉を持つ政治家」のイメージを醸成した。
「トランプ氏の話し方は実は女性っぽい」(カリフォルニア大学アーバイン校で政治心理学を研究するジェニファー・ジョーンズさん)。「難しい言葉を避ける」「感情的な表現を多用する」「“私(I)”という一人称を頻繁に使う」といった女性に特徴的な話し方はトランプ節に当てはまる。「相手に信用できると思わせる効果がある」のだという。
米カーネギーメロン大学が昨年発表した分析では、トランプ氏の文法力は「小学5~6年生」、語彙力は「7年生(中学1年程度)」。ちなみに民主党候補だったヒラリー・クリントン元国務長官は「文法力7年生・語彙力9年生」だった。
感情的で単純な単語を連ねる語り口が「非エリート層」の心に響いたのは確かだ。だが難解な事象も短文で表現する言動は、すべての物事を短絡化させかねない。怒れる白人の中・低所得層を味方に付けたトランプ節はそんな危うさをはらむ。
◇
トランプ氏の一挙一動は世界の注目を集めるものの、その実像はなかなか見えてこない。新大統領は「何者」なのか。様々な角度から解剖していく。
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170201&ng=DGKKASGM01H3Y_R00C17A2MM0000
トランプ氏「日本は何年も円安誘導」
為替政策を批判、日銀緩和を標的か
>【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は31日、米企業幹部との会合で「他国は資金供給と通貨切り下げで有利な立場をとってきた。中国や日本は何年も通貨安誘導を繰り広げている」と日本の為替政策を強く批判した。2月10日の日米首脳会談でも通貨問題を取り上げる可能性が強い。同氏は「資金供給」と言及しており、日銀の量的金融緩和に批判の矛先を向けたとの受け止めが広がっている。
>トランプ氏はさらに中国と日本を名指しして「市場で通貨安誘導を繰り広げている」と批判した。「資金供給」が何を指すのか不明だが、日銀の量的緩和政策などを念頭に置いている可能性が高い。
http://www.nikkei.com/paper/related-article/?b=20170201&c=DE1&d=0&nbm=DGKKASGM01H3Y_R00C17A2MM0000&ng=DGKKZO12389770R00C17A2MM0000&ue=DMM0000
解説日本批判、脈絡欠く 介入常態化の中国と同列に
2017/2/1付日本経済新聞 夕刊
> トランプ米大統領の日本批判が激しさを増している。31日には中国と同列で「日本は通貨安誘導を繰り広げている」と指弾。日銀にまで矛先が向かいかねない勢いだ。同氏は事実を度外視した発言も少なくなく、日米経済を巡る“曲解”を早急に正す必要がある。
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170201&ng=DGKKASGM26H2R_R30C17A1FF2000
解剖トランプ流 挑発口調、意外な共感 平易な言葉/感情的な表現多用 中低所得層の支持つかむ
2017/2/1付
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日本経済新聞 朝刊
【ニューヨーク=清水石珠実】トランプ米大統領は「暴言や誇張が多い」との批判がある一方、率直な語り口が一部から熱狂的な支持を集めている。従来の政治家にはない型破りな「トランプ節」の秘密はどこにあるのか。(総合2面参照)
「メキシコは長いこと米国を利用してきた。膨大な貿易赤字をもたらすくせに脆弱な国境警備にはほぼ手を貸さない。こんな状況は変えなくてはいけない。今すぐにだ!」
1月27日、トランプ氏のツイッターへの投稿に15万8千件の「いいね」がついた。
トランプ節の特徴が際立つのは何かを批判する時だ。よく使う「total disaster(完全な大失敗)」は大惨事を意味する「disaster」に強調語の「total」を重ねる。選挙戦で北米自由貿易協定(NAFTA)などをこう呼び「大失敗」のレッテルを貼った。対象が人の場合も自分を批判した女性司会者を「lightweight(軽量級)」、女優のメリル・ストリープ氏は「overrated(過剰評価された人)」と決めつけた。
1月20日の就任演説でも製造業の流出や都市部の退廃を「carnage(大虐殺)」と表現する「らしさ」をみせた。
一方で好意を持つと「great people(君たちはすばらしい)」と絶賛。批判してきた企業のトップとの会談後に「great peopleだった」と感想を述べた。「建設的な話し合い」など通り一遍の発言ではなく「自分の言葉を持つ政治家」のイメージを醸成した。
「トランプ氏の話し方は実は女性っぽい」(カリフォルニア大学アーバイン校で政治心理学を研究するジェニファー・ジョーンズさん)。「難しい言葉を避ける」「感情的な表現を多用する」「“私(I)”という一人称を頻繁に使う」といった女性に特徴的な話し方はトランプ節に当てはまる。「相手に信用できると思わせる効果がある」のだという。
米カーネギーメロン大学が昨年発表した分析では、トランプ氏の文法力は「小学5~6年生」、語彙力は「7年生(中学1年程度)」。ちなみに民主党候補だったヒラリー・クリントン元国務長官は「文法力7年生・語彙力9年生」だった。
感情的で単純な単語を連ねる語り口が「非エリート層」の心に響いたのは確かだ。だが難解な事象も短文で表現する言動は、すべての物事を短絡化させかねない。怒れる白人の中・低所得層を味方に付けたトランプ節はそんな危うさをはらむ。
◇
トランプ氏の一挙一動は世界の注目を集めるものの、その実像はなかなか見えてこない。新大統領は「何者」なのか。様々な角度から解剖していく。
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170201&ng=DGKKASGM01H3Y_R00C17A2MM0000
トランプ氏「日本は何年も円安誘導」
為替政策を批判、日銀緩和を標的か
>【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は31日、米企業幹部との会合で「他国は資金供給と通貨切り下げで有利な立場をとってきた。中国や日本は何年も通貨安誘導を繰り広げている」と日本の為替政策を強く批判した。2月10日の日米首脳会談でも通貨問題を取り上げる可能性が強い。同氏は「資金供給」と言及しており、日銀の量的金融緩和に批判の矛先を向けたとの受け止めが広がっている。
>トランプ氏はさらに中国と日本を名指しして「市場で通貨安誘導を繰り広げている」と批判した。「資金供給」が何を指すのか不明だが、日銀の量的緩和政策などを念頭に置いている可能性が高い。
http://www.nikkei.com/paper/related-article/?b=20170201&c=DE1&d=0&nbm=DGKKASGM01H3Y_R00C17A2MM0000&ng=DGKKZO12389770R00C17A2MM0000&ue=DMM0000
解説日本批判、脈絡欠く 介入常態化の中国と同列に
2017/2/1付日本経済新聞 夕刊
> トランプ米大統領の日本批判が激しさを増している。31日には中国と同列で「日本は通貨安誘導を繰り広げている」と指弾。日銀にまで矛先が向かいかねない勢いだ。同氏は事実を度外視した発言も少なくなく、日米経済を巡る“曲解”を早急に正す必要がある。