語と意味2 日本語語彙論13
語に意味がある。文字を学んだ日本語はその文字を言葉として伝え、意味を表わした。文字は漢字である。その漢字を用いて発音とし語を学ぶ工夫をして仮名文字を作った。文字は言葉となったのである。
漢字に意義があった。形音義の義である。語義を知り漢字の用い方を学んだ。ここに意味と意義の違いが現れる。文字すなわち言葉、その始めに漢字についての語義と、語の使われ方による意味である。
ながく意義としてのとらえ方に意味を見出すのはいつごろであろうか。
>意は、会意、音に心がついた。説文に、言を察して意を知るなり、字を言に従うものと解するが、字は音に従う。 音は、言(祝詞)に対して、神の音なひ を示す自鳴の音が加わることを示す字、もと、神の音なひ、すなわち、おとづれ、意は、その神意を憶度することをいう。
と、字通は解説する。
推し量ることである。
名義抄では、〔名義抄〕意 オモフ・オモヒ・オモムク・ココロ・カナシフ・トモ・モト/意者 オモミレハ と訓じている。
字通は、意義と、意味と、それぞれの例を次のようにあげている。それによると、意味は宋の時代に見える。意義を文字にある、その語の内容とし、意味を用いて、その深長と表して、語の含みのあるところをとらえている。
【意味】いみ おもむき。宋・朱熹〔論語序説〕程子曰く、頤(い)、十七八より論語を讀む。~之れを讀むこと愈々(いよいよ)久しくして、意味の深長なるを覺ゆ。
【意義】いぎ 事がらのわけ。意味。趣意。〔神仙伝、班孟〕又能く墨を含み、紙を舒(の)べ、~之れを噴くに、皆文字を成す。滿紙各々意義有り。
日本国語大辞典、意味の項、その補注に次のように述べる。
>類義の「意義」は主に人が主体となる意図的な行為に対して見いだされるもので、言葉や行動や催し などについていわれることが多い。またその場合、社会関係の中で高い価値を持つという場合に用いられる。これに対して「意味」は個々の人が感じ取る、ある 表現の内容や意図をいい、価値に関しては問題にしない場合が多い。
意義の項によって見る。次のようである。
>言葉、事柄、行為などが現実にもつ価値。ねうち。多く、重要なものをいうのに用いる。
*哲学字彙〔1881〕「Import 意義、旨趣」
*武蔵野〔1898〕〈国木田独歩〉七「首府が郊外と連接する処の趣味と共に無限の意義がある」
*青春〔1905~06〕〈小栗風葉〉夏・三「然ういふ人生の意義だの、宇宙の秘密だのと云ふ事を、言って見るのが楽みだったので」
無限の意義 人生の意義 というような例をあげている。意義には、哲学字彙の翻訳用語にもなって、それまでの漢語の用法とは違って、近代になって意味付与があったかと思われる。
語に意味がある。文字を学んだ日本語はその文字を言葉として伝え、意味を表わした。文字は漢字である。その漢字を用いて発音とし語を学ぶ工夫をして仮名文字を作った。文字は言葉となったのである。
漢字に意義があった。形音義の義である。語義を知り漢字の用い方を学んだ。ここに意味と意義の違いが現れる。文字すなわち言葉、その始めに漢字についての語義と、語の使われ方による意味である。
ながく意義としてのとらえ方に意味を見出すのはいつごろであろうか。
>意は、会意、音に心がついた。説文に、言を察して意を知るなり、字を言に従うものと解するが、字は音に従う。 音は、言(祝詞)に対して、神の音なひ を示す自鳴の音が加わることを示す字、もと、神の音なひ、すなわち、おとづれ、意は、その神意を憶度することをいう。
と、字通は解説する。
推し量ることである。
名義抄では、〔名義抄〕意 オモフ・オモヒ・オモムク・ココロ・カナシフ・トモ・モト/意者 オモミレハ と訓じている。
字通は、意義と、意味と、それぞれの例を次のようにあげている。それによると、意味は宋の時代に見える。意義を文字にある、その語の内容とし、意味を用いて、その深長と表して、語の含みのあるところをとらえている。
【意味】いみ おもむき。宋・朱熹〔論語序説〕程子曰く、頤(い)、十七八より論語を讀む。~之れを讀むこと愈々(いよいよ)久しくして、意味の深長なるを覺ゆ。
【意義】いぎ 事がらのわけ。意味。趣意。〔神仙伝、班孟〕又能く墨を含み、紙を舒(の)べ、~之れを噴くに、皆文字を成す。滿紙各々意義有り。
日本国語大辞典、意味の項、その補注に次のように述べる。
>類義の「意義」は主に人が主体となる意図的な行為に対して見いだされるもので、言葉や行動や催し などについていわれることが多い。またその場合、社会関係の中で高い価値を持つという場合に用いられる。これに対して「意味」は個々の人が感じ取る、ある 表現の内容や意図をいい、価値に関しては問題にしない場合が多い。
意義の項によって見る。次のようである。
>言葉、事柄、行為などが現実にもつ価値。ねうち。多く、重要なものをいうのに用いる。
*哲学字彙〔1881〕「Import 意義、旨趣」
*武蔵野〔1898〕〈国木田独歩〉七「首府が郊外と連接する処の趣味と共に無限の意義がある」
*青春〔1905~06〕〈小栗風葉〉夏・三「然ういふ人生の意義だの、宇宙の秘密だのと云ふ事を、言って見るのが楽みだったので」
無限の意義 人生の意義 というような例をあげている。意義には、哲学字彙の翻訳用語にもなって、それまでの漢語の用法とは違って、近代になって意味付与があったかと思われる。