NHKスペシャル、新ドキュメント太平洋戦争1941 「第1回 開戦」前編を見た。後編は明日、日曜日にオンエア。は
市民など1941年当時の日記を資料に社会を綴る、開戦前夜前篇は歴史手法を問うことになる番組だった。エゴドキュメントという手法を用いているが、これはなにか。
またSNSのように見立てたテキストマイニングは果たして何を語るというのか。
エゴ・ドキュメントの歴史学 - 岩波書店https://www.iwanami.co.jp › smp › book
2020/03/27 — 魔女裁判の告白書、遊女の日記、前線兵士の手紙……多彩なエゴ・ドキュメントを斬新に読む。理論と実践を総合した共同研究。
>日記や手紙、回想録など、一人称で綴られた史料への関心やその扱い方は、フェミニズムや現代思想、文学理論等の影響を受けながら大きく変容を遂げてきた。魔女裁判の告白書、遊女の日記、前線兵士の手紙など……多彩なエゴ・ドキュメントを専門家たちが新たな文脈で読み解く。理論と実践を総合した本格的な共同研究。史料論、歴史学の方法論としても必携の1冊。
序 章 エゴ・ドキュメント研究の射程 …………… 長谷川貴彦
はじめに
一 用語法―― 多様なる系譜
二 個人・自己・主観性
三 アーカイヴ
四 本書の構成
おわりに
第1章 浮動するエゴ、もう一つのエゴ、創られるエゴ――魔女ベレッツァ・オルシーニの審問記録と手記(一五二八年)より
…………… 大黒俊二
はじめに―― ドキュメントはエゴを表現するか?
一 「魔女」ベレッツァ・オルシーニ―― 審問と前歴
二 浮動するエゴ―― 審問記録
三 もう一つのエゴ――「告白」
四 創られるエゴ―― 継目隠しとテクスト改竄
おわりに―― 多声(ポリフォニー)のエゴ・ドキュメント
第2章 エゴ・ドキュメントの「厚い」読解――ラテンアメリカ史研究の経験から
…………… 安村直己
はじめに
一 スペイン帝国の形成、エゴ・ドキュメント、歴史叙述
二 歴史研究の制度化とエゴ・ドキュメント
三 現代歴史学におけるエゴ・ドキュメントの諸相
四 エゴ・ドキュメントとしての訴訟文書
おわりに
第3章 日本近世における自己語りの諸相――「我」と天道の間で …………… 若尾政希
はじめに
一 『陽広公偉訓』を読み解く
二 『河内屋可正旧記』を読み解く
三 『本佐録』・『東照宮御遺訓』を読み解く
おわりに
第4章 オーラルとエクリの間あわいからの創造――啓蒙期ロレーヌの作家グラフィニ夫人の場合
…………… 長谷川まゆ帆
一 グラフィニ夫人『ペルー人女性の手紙』
二 物語の枠組み
三 仏語版『インカ皇統記』との関わり
四 改訂版の出版―― ねらいとその中身
おわりに
第5章 法律家の手紙―― 一九世紀初頭のイングランドにおける日常的な法の利用
…………… キャロライン・スティードマン/梅垣千尋、長谷川貴彦 訳
一 第一の物語―― 借金の催促
二 第二の物語―― 喧嘩による暴力への償い
三 第三の物語―― 濡れ衣への抵抗
四 第四の物語―― レイプ被害への対処
五 訴訟代理人についての小話
六 訴訟代理人をとりまく民衆世界
七 法律家の手紙を読む―― 脅迫状との関係
第6章 遊女の「日記」を読む――嘉永二年梅本屋佐吉抱え遊女付け火一件をめぐって
…………… 横山百合子
はじめに
一 梅本屋佐吉抱え遊女付け火一件とその関係史料
二 「調書」・「日記写」・「日記」
三 なぜ遊女は「日記」を書くのか
おわりに―― 遊女の集団と都市社会
第7章 感情と情報リテラシーが交差するところ――噂、ニュース、エゴ・ドキュメント
…………… 小野寺拓也
はじめに
一 国防軍民情報告書に見られる「噂」
二 『部隊のためのニュース』紙から
三 野戦郵便で交わされる情報
おわりに
第8章 エゴ・ドキュメントをめぐる後期ソ連の歴史実践 …………… 松井康浩
一 個人由来の文書―― ロシア語のエゴ・ドキュメント
二 「普通の人々」が書いたエゴ・ドキュメントへの関心―― 後期ソ連での動き
三 「大祖国戦争」を伝えるエゴ・ドキュメント―― ウラジーミル州での歴史実践
四 現代ロシアにおける歴史実践
http://tbias.jp/ottomansources/ego-documents
>エゴドキュメント/自己語り史料 Ego-documents/Self-narratives
エゴドキュメントあるいは自己語り史料とは、典型的には日記、自伝、回顧録、手紙など、著者自身について語られた史料の総称である。必ずしも同じ内容を指し示すものではないが、英語では、ego-document, self-narrative, first-person narrative, personal narrative, first person writing などと呼ばれる。このタイプの史料は、近年、ヨーロッパ史研究を中心に関心が高まっており、日本でも「エゴドキュメント」という概念が少しずつ使われるようになっている。「エゴドキュメント」というカテゴリーのもとに最初に研究が発展したのは1980年代のオランダで、1500年から1814年に至る時期の自伝、回想録、日記、旅行記、私的な覚書などが収集され研究された。その後ドイツやスイスのドイツ語圏でも、エゴドキュメントというカテゴリーを使わない場合もあるが、この種の史料の研究が盛んになった。オランダのグループの成果が英語でブリル社から出されるようになって、各国でエゴドキュメントという用語が使われ始めているのが現況である。
Twitter
>表現の自由が制約された時代。
誰にも言えなかった本音がつづられた日記や手記を集め、AIで解析。開戦に至る心の変化を見つめます。
https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/episode/te/8RWXKRQX8W/?cid=nsphk-tw-211204-4
新・ドキュメント太平洋戦争 「1941 第1回 開戦(前編)」
>太平洋戦争から80年。歴史の大きなうねりを「個の視点」から「複眼的」に捉え直すシリーズ「新・ドキュメント太平洋戦争」。エゴ・ドキュメントと呼ばれる当時の日記や手記から、戦争の新たな断面に迫る。第1回は「1941・開戦」。前編では、アメリカ文化に親しみをもっていた市民や、戦力差も踏まえ日米開戦を避けようとしていた国のリーダーたちが、なぜ戦争へと向かっていったのか、その心の変化を見つめていく。
配信中 12月8日(水)午前0:20ほか 放送予定へ
https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/blog/bl/pneAjJR3gn/bp/pqN02jBj5K/
(2021年12月4日の放送内容を基にしています)
もし80年前、太平洋戦争の時代にもSNSがあったなら、人々は何をつぶやいたのだろうか?今、研究者たちが注目するのが、戦時中に個人が記した言葉の数々「エゴドキュメント」だ。膨大な言葉をAIで解析。激動の時代を生きた日本人の意識の変化を捉えようとしている。
1941年12月に始まった太平洋戦争。長きに渡った戦争で国は焦土と化し、日本人だけで310万もの命が失われた。なぜリーダーたちは判断を誤ったのか。そして、なぜ多くの市民が大国との戦争に熱狂したのか。それを解き明かす鍵が、近年発掘が進むエゴドキュメント。個人がつづった日記や手記だ。表現の自由が制約された時代。誰にも言えなかった本音が記されている。会社員や学生などの市民。最前線の兵士。国のかじ取りを担う指導者たち。ひとりひとりの視点から、新たな戦争の姿が浮かび上がる。個人の視点から歴史のうねりを追体験していくシリーズ「新・ドキュメント太平洋戦争」。第1回は「開戦」。国家を破滅へと導く戦争の入り口で、日本人の多くは歓喜した。しかし、時計を巻き戻すと、開戦の前年、社会には戦争とほど遠い空気が漂っていた。都市部ではアメリカブームに沸き、ハリウッド映画やジャズが流行した。国の指導者たちも、国力で圧倒的に勝るアメリカとの戦争を避けようとしていた。なぜ、わずかな期間で急激な意識の変化が生まれたのか。開戦の前年から太平洋戦争に至る道のりを、市民と国の指導者のエゴドキュメントから探っていく。
<開戦 なぜ日本人は熱狂したのか>
『住代ちゃん 昭和十五年二月六日。あなたは高らかに産声をあげました。スヤスヤと眠っているあなたを見るとママは涙ぐましい程の感激にふるえて、胸はゴムマリのように弾んでなりません』
『四月十八日。おっぱいを出そうとして この暖かいのに昨日も今日も「すきやき」。住代ちゃん あくびをするときの甘い甘い息の匂い ママは大好きなり』
一人一人の言葉「エゴドキュメント」からは、当時を生きていた人々の息づかいが聞こえてくる。開戦前年、都市部では戦争とはほど遠い豊かな暮らしがあった。
『野球見物 イーグルスがタイガースに勝つ』(6月15日 評論家 青野季吉日記より)
『今日は宴会だ 二次会で街の飲食店にて騒ぐのが目的である』(1月2日 農家 小長谷三郎日記より)
大阪で精米店を営む井上重太郎さん。子供のために、大きな買い物をしたことが記されていた。
『ピヤノの如き(ごとき)は贅沢(ぜいたく)品ではあるが、一家の慰安として身分に過ぎるかもしれぬが、買うことにしたのである』
当時、ピアノの金額は、公務員の初任給8か月分。日夜仕事に励み、稼いだお金でやっと手にした宝物だった。現在と変わらないようにも見える穏やかな人々の営み。それがなぜアメリカとの戦争に歓喜するまでに至ったのか。
市民など1941年当時の日記を資料に社会を綴る、開戦前夜前篇は歴史手法を問うことになる番組だった。エゴドキュメントという手法を用いているが、これはなにか。
またSNSのように見立てたテキストマイニングは果たして何を語るというのか。
エゴ・ドキュメントの歴史学 - 岩波書店https://www.iwanami.co.jp › smp › book
2020/03/27 — 魔女裁判の告白書、遊女の日記、前線兵士の手紙……多彩なエゴ・ドキュメントを斬新に読む。理論と実践を総合した共同研究。
>日記や手紙、回想録など、一人称で綴られた史料への関心やその扱い方は、フェミニズムや現代思想、文学理論等の影響を受けながら大きく変容を遂げてきた。魔女裁判の告白書、遊女の日記、前線兵士の手紙など……多彩なエゴ・ドキュメントを専門家たちが新たな文脈で読み解く。理論と実践を総合した本格的な共同研究。史料論、歴史学の方法論としても必携の1冊。
序 章 エゴ・ドキュメント研究の射程 …………… 長谷川貴彦
はじめに
一 用語法―― 多様なる系譜
二 個人・自己・主観性
三 アーカイヴ
四 本書の構成
おわりに
第1章 浮動するエゴ、もう一つのエゴ、創られるエゴ――魔女ベレッツァ・オルシーニの審問記録と手記(一五二八年)より
…………… 大黒俊二
はじめに―― ドキュメントはエゴを表現するか?
一 「魔女」ベレッツァ・オルシーニ―― 審問と前歴
二 浮動するエゴ―― 審問記録
三 もう一つのエゴ――「告白」
四 創られるエゴ―― 継目隠しとテクスト改竄
おわりに―― 多声(ポリフォニー)のエゴ・ドキュメント
第2章 エゴ・ドキュメントの「厚い」読解――ラテンアメリカ史研究の経験から
…………… 安村直己
はじめに
一 スペイン帝国の形成、エゴ・ドキュメント、歴史叙述
二 歴史研究の制度化とエゴ・ドキュメント
三 現代歴史学におけるエゴ・ドキュメントの諸相
四 エゴ・ドキュメントとしての訴訟文書
おわりに
第3章 日本近世における自己語りの諸相――「我」と天道の間で …………… 若尾政希
はじめに
一 『陽広公偉訓』を読み解く
二 『河内屋可正旧記』を読み解く
三 『本佐録』・『東照宮御遺訓』を読み解く
おわりに
第4章 オーラルとエクリの間あわいからの創造――啓蒙期ロレーヌの作家グラフィニ夫人の場合
…………… 長谷川まゆ帆
一 グラフィニ夫人『ペルー人女性の手紙』
二 物語の枠組み
三 仏語版『インカ皇統記』との関わり
四 改訂版の出版―― ねらいとその中身
おわりに
第5章 法律家の手紙―― 一九世紀初頭のイングランドにおける日常的な法の利用
…………… キャロライン・スティードマン/梅垣千尋、長谷川貴彦 訳
一 第一の物語―― 借金の催促
二 第二の物語―― 喧嘩による暴力への償い
三 第三の物語―― 濡れ衣への抵抗
四 第四の物語―― レイプ被害への対処
五 訴訟代理人についての小話
六 訴訟代理人をとりまく民衆世界
七 法律家の手紙を読む―― 脅迫状との関係
第6章 遊女の「日記」を読む――嘉永二年梅本屋佐吉抱え遊女付け火一件をめぐって
…………… 横山百合子
はじめに
一 梅本屋佐吉抱え遊女付け火一件とその関係史料
二 「調書」・「日記写」・「日記」
三 なぜ遊女は「日記」を書くのか
おわりに―― 遊女の集団と都市社会
第7章 感情と情報リテラシーが交差するところ――噂、ニュース、エゴ・ドキュメント
…………… 小野寺拓也
はじめに
一 国防軍民情報告書に見られる「噂」
二 『部隊のためのニュース』紙から
三 野戦郵便で交わされる情報
おわりに
第8章 エゴ・ドキュメントをめぐる後期ソ連の歴史実践 …………… 松井康浩
一 個人由来の文書―― ロシア語のエゴ・ドキュメント
二 「普通の人々」が書いたエゴ・ドキュメントへの関心―― 後期ソ連での動き
三 「大祖国戦争」を伝えるエゴ・ドキュメント―― ウラジーミル州での歴史実践
四 現代ロシアにおける歴史実践
http://tbias.jp/ottomansources/ego-documents
>エゴドキュメント/自己語り史料 Ego-documents/Self-narratives
エゴドキュメントあるいは自己語り史料とは、典型的には日記、自伝、回顧録、手紙など、著者自身について語られた史料の総称である。必ずしも同じ内容を指し示すものではないが、英語では、ego-document, self-narrative, first-person narrative, personal narrative, first person writing などと呼ばれる。このタイプの史料は、近年、ヨーロッパ史研究を中心に関心が高まっており、日本でも「エゴドキュメント」という概念が少しずつ使われるようになっている。「エゴドキュメント」というカテゴリーのもとに最初に研究が発展したのは1980年代のオランダで、1500年から1814年に至る時期の自伝、回想録、日記、旅行記、私的な覚書などが収集され研究された。その後ドイツやスイスのドイツ語圏でも、エゴドキュメントというカテゴリーを使わない場合もあるが、この種の史料の研究が盛んになった。オランダのグループの成果が英語でブリル社から出されるようになって、各国でエゴドキュメントという用語が使われ始めているのが現況である。
>表現の自由が制約された時代。
誰にも言えなかった本音がつづられた日記や手記を集め、AIで解析。開戦に至る心の変化を見つめます。
https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/episode/te/8RWXKRQX8W/?cid=nsphk-tw-211204-4
新・ドキュメント太平洋戦争 「1941 第1回 開戦(前編)」
>太平洋戦争から80年。歴史の大きなうねりを「個の視点」から「複眼的」に捉え直すシリーズ「新・ドキュメント太平洋戦争」。エゴ・ドキュメントと呼ばれる当時の日記や手記から、戦争の新たな断面に迫る。第1回は「1941・開戦」。前編では、アメリカ文化に親しみをもっていた市民や、戦力差も踏まえ日米開戦を避けようとしていた国のリーダーたちが、なぜ戦争へと向かっていったのか、その心の変化を見つめていく。
配信中 12月8日(水)午前0:20ほか 放送予定へ
https://www.nhk.jp/p/special/ts/2NY2QQLPM3/blog/bl/pneAjJR3gn/bp/pqN02jBj5K/
(2021年12月4日の放送内容を基にしています)
もし80年前、太平洋戦争の時代にもSNSがあったなら、人々は何をつぶやいたのだろうか?今、研究者たちが注目するのが、戦時中に個人が記した言葉の数々「エゴドキュメント」だ。膨大な言葉をAIで解析。激動の時代を生きた日本人の意識の変化を捉えようとしている。
1941年12月に始まった太平洋戦争。長きに渡った戦争で国は焦土と化し、日本人だけで310万もの命が失われた。なぜリーダーたちは判断を誤ったのか。そして、なぜ多くの市民が大国との戦争に熱狂したのか。それを解き明かす鍵が、近年発掘が進むエゴドキュメント。個人がつづった日記や手記だ。表現の自由が制約された時代。誰にも言えなかった本音が記されている。会社員や学生などの市民。最前線の兵士。国のかじ取りを担う指導者たち。ひとりひとりの視点から、新たな戦争の姿が浮かび上がる。個人の視点から歴史のうねりを追体験していくシリーズ「新・ドキュメント太平洋戦争」。第1回は「開戦」。国家を破滅へと導く戦争の入り口で、日本人の多くは歓喜した。しかし、時計を巻き戻すと、開戦の前年、社会には戦争とほど遠い空気が漂っていた。都市部ではアメリカブームに沸き、ハリウッド映画やジャズが流行した。国の指導者たちも、国力で圧倒的に勝るアメリカとの戦争を避けようとしていた。なぜ、わずかな期間で急激な意識の変化が生まれたのか。開戦の前年から太平洋戦争に至る道のりを、市民と国の指導者のエゴドキュメントから探っていく。
<開戦 なぜ日本人は熱狂したのか>
『住代ちゃん 昭和十五年二月六日。あなたは高らかに産声をあげました。スヤスヤと眠っているあなたを見るとママは涙ぐましい程の感激にふるえて、胸はゴムマリのように弾んでなりません』
『四月十八日。おっぱいを出そうとして この暖かいのに昨日も今日も「すきやき」。住代ちゃん あくびをするときの甘い甘い息の匂い ママは大好きなり』
一人一人の言葉「エゴドキュメント」からは、当時を生きていた人々の息づかいが聞こえてくる。開戦前年、都市部では戦争とはほど遠い豊かな暮らしがあった。
『野球見物 イーグルスがタイガースに勝つ』(6月15日 評論家 青野季吉日記より)
『今日は宴会だ 二次会で街の飲食店にて騒ぐのが目的である』(1月2日 農家 小長谷三郎日記より)
大阪で精米店を営む井上重太郎さん。子供のために、大きな買い物をしたことが記されていた。
『ピヤノの如き(ごとき)は贅沢(ぜいたく)品ではあるが、一家の慰安として身分に過ぎるかもしれぬが、買うことにしたのである』
当時、ピアノの金額は、公務員の初任給8か月分。日夜仕事に励み、稼いだお金でやっと手にした宝物だった。現在と変わらないようにも見える穏やかな人々の営み。それがなぜアメリカとの戦争に歓喜するまでに至ったのか。