夏目漱石、夢十夜、1908年の7月から8月にかけて朝日新聞紙上で10回連載されたそうだ。それを、現代によみがえらせる、小説本文は現代仮名遣いの岩波文庫版に準拠ということである。朝日デジタルより。
夏目漱石
夢十夜 第二夜
和尚(おしょう)
退(さ)がって
行燈(あんどう)
点(とも)って
片膝(かたひざ)
座蒲団(ざぶとん)
燈心(とうしん)
搔(か)き
丁子(ちょうじ)
朱塗(しゅぬり)
襖(ふすま)
画(え)
蕪村(ぶそん)
筆(ふで)
遠近(おちこち)
笠(かさ)
傾(かたぶ)けて
床(とこ)
海中文珠(かいちゅうもんじゅ)
懸(かか)って
焚(た)き
臭(にお)って
森閑(しんかん)
人気(ひとけ)
丸行燈(まるあんどう)
仰向(あおむ)く
立膝(たてひざ)
捲(めく)って
侍(さむらい)
何日(いつ)までも
以(もっ)て
御前(おまえ)
屑(くず)
口惜(くや)しければ
証拠(しょうこ)
向(むこう)
怪(け)しからん
床(とこ)
刻(とき)
引替(ひきかえ)に
命(いのち)
自刃(じじん)
辱(はずか)しめられて
行(ゆ)かない
奇麗(きれい)
這入(はい)った
朱鞘(しゅざや)
引き摺(ず)り出した
束(つか)
赤い鞘(さや)
刃(は)
凄(すご)い
悉(ことごと)く
切先(きっさき)
籠(こ)めて
九寸(くすん)
五分(ごぶ)
尖(とが)ってる
忽(たちま)ち
遣(や)りたく
身体(からだ)
顫(ふる)え
右脇(みぎわき)
全伽(ぜんが)
趙州(じょうしゅう)
曰(いわ)く
無(む)と
何(なん)だ
糞(くそ)
坊主(ぼうず)め
歯嚙(はがみ)
咬(か)み
米嚙(こめかみ)
懸物(かけもの)
薬缶頭(やかんあたま)
鰐口(わにぐち)
開(あ)いて
嘲(あざ)笑った
香(におい)
何(なん)だ
拳骨(げんこつ)
擲(なぐ)った
両腋(りょうわき)
脊中(せなか)
接目(つぎめ)
一(ひ)と
思(おもい)
身(み)
巨巌(おおいわ)
打(ぶつ)け
滅茶(めちゃ)々々(めちゃ)
凝(じっ)と
盛(い)れて
身体(からだ)中(じゅう)
何処(どこ)
塞(ふさ)がって
残刻(ざんこく)
違棚(ちがいだな)
現前(げんぜん)
好加減(いいかげん)
忽然(こつぜん)
隣座敷(となりざしき)
夏目漱石
夢十夜 第二夜
和尚(おしょう)
退(さ)がって
行燈(あんどう)
点(とも)って
片膝(かたひざ)
座蒲団(ざぶとん)
燈心(とうしん)
搔(か)き
丁子(ちょうじ)
朱塗(しゅぬり)
襖(ふすま)
画(え)
蕪村(ぶそん)
筆(ふで)
遠近(おちこち)
笠(かさ)
傾(かたぶ)けて
床(とこ)
海中文珠(かいちゅうもんじゅ)
懸(かか)って
焚(た)き
臭(にお)って
森閑(しんかん)
人気(ひとけ)
丸行燈(まるあんどう)
仰向(あおむ)く
立膝(たてひざ)
捲(めく)って
侍(さむらい)
何日(いつ)までも
以(もっ)て
御前(おまえ)
屑(くず)
口惜(くや)しければ
証拠(しょうこ)
向(むこう)
怪(け)しからん
床(とこ)
刻(とき)
引替(ひきかえ)に
命(いのち)
自刃(じじん)
辱(はずか)しめられて
行(ゆ)かない
奇麗(きれい)
這入(はい)った
朱鞘(しゅざや)
引き摺(ず)り出した
束(つか)
赤い鞘(さや)
刃(は)
凄(すご)い
悉(ことごと)く
切先(きっさき)
籠(こ)めて
九寸(くすん)
五分(ごぶ)
尖(とが)ってる
忽(たちま)ち
遣(や)りたく
身体(からだ)
顫(ふる)え
右脇(みぎわき)
全伽(ぜんが)
趙州(じょうしゅう)
曰(いわ)く
無(む)と
何(なん)だ
糞(くそ)
坊主(ぼうず)め
歯嚙(はがみ)
咬(か)み
米嚙(こめかみ)
懸物(かけもの)
薬缶頭(やかんあたま)
鰐口(わにぐち)
開(あ)いて
嘲(あざ)笑った
香(におい)
何(なん)だ
拳骨(げんこつ)
擲(なぐ)った
両腋(りょうわき)
脊中(せなか)
接目(つぎめ)
一(ひ)と
思(おもい)
身(み)
巨巌(おおいわ)
打(ぶつ)け
滅茶(めちゃ)々々(めちゃ)
凝(じっ)と
盛(い)れて
身体(からだ)中(じゅう)
何処(どこ)
塞(ふさ)がって
残刻(ざんこく)
違棚(ちがいだな)
現前(げんぜん)
好加減(いいかげん)
忽然(こつぜん)
隣座敷(となりざしき)