こと は、事として言と同源とする。コトバのコトに言を充てるの漢字の用法と日本語の訓読みとであるから、おおかたは正しいと思っている。
万葉集など古代の表記では仮名文字の上代文字遣いでみると、詞 辞 に、こと ことば と訓読している。そして万葉仮名には次のようである。
言羽 774番歌
言者 1654番歌
時代別国語大辞典上代編の項目による。
そして、項目 考 には1654歌に見える言者は呪言の意味ではないかとする説がある 301ページ と述べる。
言葉と表記するのは次の用例、言葉 こと葉 と見えるもの。日本国語大辞典より
*為兼和歌抄〔1285~87頃〕「こと葉にて心をよまむとすると、心のままに詞のにほひゆくとは、かはれる所あるにこそ」
*式之槐市宛芭蕉書簡‐元祿三年〔1690〕正月五日「類(たぐ)いはなれたる御作意に而、御言葉幽玄すがた共感心仕候」
*源氏物語〔1001~14頃〕東屋「絵など取り出でさせて、右近にこと葉読ませて見給ふに」
*源氏物語〔1001~14頃〕玉鬘「よろづの草子・歌枕、よく案内(あない)知り、見つくして、そのうちのこと葉を取り出づるに、詠(よ)みつきたる筋こそ強うは変らざるべけれ」
【言葉】言海
なお、日本国語大辞典に、同訓異字とするのは次である。
ことば【詞・辞・言・語】
ことは言う ことを言う ことをば言う コトバ
ヲコト点 てにをは
ーをは
名をばさぬきの造となむ 竹取物語
秋山の 木の葉を見ては 黄葉乎婆取りてそしのふ 青き乎者置きてそ歎く 万葉集 巻1 16番歌
ありつつも 君乎者待たむ 万葉集 巻2 87番
原文表記 https://ja.wikisource.org/wiki/万葉集
伊勢物語 六
「あばらなる蔵に、女をば奥に押し入れて」 学研全訳古語辞典
を‐ば の解説
[連語]《格助詞「を」に係助詞「は」が付いたものの音変化》動作・作用の対象を、特に取り立てて強調する意を表す。(特に)…を。「優勝―逸した」
「外の女―ことごとく嫌うと見ゆれば」〈鴎外訳・即興詩人〉 goo国語辞書
ことば の表記に言葉を用いるのは時代的に新しいようである。
13世紀、17世紀の例、その以前は源氏物語の文字遣いにあった。
辞書項目で、言海に、 言葉 の項目、明治17年(1884)成稿、と見える。
言の葉については、古今和歌集序文に見える。
やまとうたは ひとのこころをたねとして よろづのことの葉とぞなりける
>(2)コトノハ(言葉)の義。 ハ(葉)は言詞の繁く栄えることをいう〔和訓栞〕。 (3)コト(事)から生じた語。 葉は木によって特長があるように、話すことによって人が判別できるということから〔和句解〕。2021/08/11
なぜ「ことば」は「葉」という漢字を使うの?語源を紹介!
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