国語学史に次の書名を学ぶ。この書名が正しいという。それは漢字の発音が漢音読みだからである。
言語の文字が言葉を意味して、げんご と読むのを普通にとらえてきているから、辞書を繰って次を確かめる。
日本国語大辞典より
>げんぎょししゅろん 【言語四種論】
江戸中期の語学書。一巻。鈴木朖(あきら)著。文政七年(一八二四)刊。単語を体の詞(ことば)、形状(ありかた)の詞、作用(しわざ)の詞および「てにをは」の四種に分類すべきことを論ずる。
言語とは、げんぎょ であった。そう読み習わして伝えられていた
*日葡辞書〔1603~04〕「Guenguio (ゲンギョ)。コトバ カタル〈訳〉ことば」
*評判記・色道大鏡〔1678〕一八「博奕師の名目をかりて言語(ゲンギョ)に是を佼(まじ)へぬれば、躰利口めき」
また、ごんご であった。言語道断という4字熟語でなじみとなるか。。
次を確かめる。*日葡辞書〔1603~04〕「Gongo (ゴンゴ)〈訳〉ことば。例、Gongoni (ゴンゴニ) ヲヨバヌ、または、ノベラレヌ〈訳〉ことばでは説明できない」
*咄本・昨日は今日の物語〔1614~24頃〕上「さまざまの御ちそう、中々ごん語にのべがたし」
では、げんご と見えるのはいつからか。
*広益熟字典〔1874〕〈湯浅忠良〉「言語 ゲンゴ モノガタリ」
*開化問答〔1874~75〕〈小川為治〉二・上「各々自己の心中によしと思ふ所を言顕すはいはゆる言語(ゲンゴ)自由の道理なれば」
言語とは、3通りの発音がある。ゴンゴと発音している例が呉音で、ゴンには、真言、雑言、無言、遺言という熟語がある。
中国から文物が渡来して、その時期と地域によって漢字の発音が異なる。
そして、言語についての説明で、げんご と発音して、わたしたちに理解されるようになった。
なお、以下は広辞苑無料検索ページを参照する。
https://sakura-paris.org/dict/
日本国語大辞典より
>人間の思想や感情、意思などを表現したり、互いに伝えあったりするための、音声による伝達体系。また、その体系によって伝達する行為。それを文字で写したもののこともいう。ことば。げんぎょ。ごんご。
広辞苑より 第六版
>(「げん」は「言」の漢音、「ご」は「語」の呉音。明治以前は、ともに漢音で「げんぎょ」、または、ともに呉音で「ごんご」というのが普通)
人間の思想や感情、意思などを表現したり、互いに伝えあったりするための、音声による記号、または、それを写した文字。また、その体系によってものをいう行為。ことば。
大辞泉より
>音声や文字によって、人の意志・思想・感情などの情報を表現・伝達する、または受け入れ、理解するための約束・規則。また、その記号の体系。音声を媒介とするものを音声言語(話し言葉)、文字を媒介とするものを文字言語(書き言葉)、コンピューターなど機械を媒介とするものを機械言語・アセンブリ言語などという。ことば。ごんご。げんぎょ。
大辞林より
>思想・感情・意志などを互いに伝達し合うための社会的に一定した組織をもつ,音声による記号とその体系。また,それによって伝達し合う行為。文字の使用を含めていうこともある。ことば。〔「げん」は漢音,「ご」は呉音で,明治以後の語。それ以前は「げんぎょ」「ごんご」〕
学研国語大辞典より
>〔言語学・文法〕人間の表現活動の一つ。音声(またはその代用の文字)によって、心の中で思ったり感じたりしたことを外にあらわしたり人に伝えたりする行為。また、その手段として用いられる音声(または文字)。言葉。言語(ケ゛ンキ゛ョ)・(コ゛ンコ゛)。「言語明瞭」
明鏡国技辞典より 第2版
>音声や文字を媒体にして、人間が意志・思想・感情などを表現したり伝達し合ったりするのに用いられる記号の体系。また、それを用いて思考・表現・伝達を行う行為。世界に数千種の言語があると推定され、それぞれ独自の語彙・音韻・文法をもつ。音声を介するものを音声言語、文字を介するものを文字言語という。プログラム言語などの人工言語に対して自然言語ともいう。ことば。ごんご。げんぎょ。
新明解国語辞典より 第5版
>〔「げん」は漢音、「ご」は呉音〕 「言葉」の意の字音語的表現。
ちなみに新明解の言葉の項は次のようである。
>ことば【言葉】⁑[3]
〔「は」は、端の意〕
(一)その社会を構成する人びとが思想・意志・感情などを伝え合うための記号として伝統的な慣習に従って用いる音声。また、その音声による表現行為。〔広義では、それを表わす文字や、文字による表現及び人工語・手話語をも含む〕
以上に述べる説明は、人間の思想や感情、意思などを表現また伝達する行為、また記号体系ということである。
次のとらえ方は、世界大百科事典 日本大百科に見える。
>人間同士の意思伝達の手段で,その実質は音を用いた記号体系である。〈ことば〉ということもあるが,〈ことば〉が単語や発話を意味する場合がある ―略― 言語は,上述のごとく,人間の意思伝達の手段であるが,機能としてはそれに尽きるものではない。思考を支える手段,自己の感情の表現手段,あそびの一手段といった機能をあげることができる。
>「言語」という語は多義である。大脳の言語中枢に蓄えられた語彙 (ごい) と文法規則の体系をさすこともあり、その体系を用いる能力としてとらえることもある ―略ー 基本的な定義としては、人間が共有する言語体系を取り上げるのが普通で、「一次的には音声、二次的には文字を用いて、感情・情報・要求などを伝える機能を果たす、社会習慣的に定められた記号の体系」ということになる。
ここで、着目するのは感情を伝えるということがあるかどうか、それを表現の手段とみるかどうかである。
辞書の記述はみると、おおげさに言えばすべて引き写しであるから、似たり寄ったり。そこに、世界大百科だけが異なるようである。ちなみに、ウイキペディアの英文で、どうか、見てみると・・・
https://en.wikipedia.org/wiki/Language#Definitions
>
Language is a structured system of communication that consists of grammar and vocabulary. It is the primary means by which humans convey meaning, both in spoken and written forms, and may also be conveyed through sign languages. The vast majority of human languages have developed writing systems that allow for the recording and preservation of the sounds or signs of language.