述語と話法 日本語の文法について その36 述語16
日本語に話法はあるか、ないというのがその答えだ。はたしてどうか。ない、となると議論の要はないが、それでは、ないとならないということを見てみる。
直接話法と間接話法なら聞いたことがある。それは引用によることだ。しかし日本語文法ではそれを特徴づけるものはない。あるとすれば引用符号を使うか使わないかでかき分けるなりする。その書き方で符号を外してもぼうびきの会話スタイルを小説の文体などで見かける。そこに文法の法則が働いていても、話法としての特徴はない。
すると話法とはそもそも何か。説明を求めれば、他人の言葉を伝える際の種々の様式のこと、口から発した発話だけでなく、心の中で思った思考内容も含まれる、とフリー百科事典では解説をする。そこには加えて、そのため発話と思考を合わせて言説、discourseと呼ぶ者もあると注をつけ、さらにまた引用という用語で代用する場合もあるとなる。言説引用と話法と文法の区別がつかないのが日本語である。
それは話法に文法的な法則が働くかどうかによることがある。直接話法には文章の中で他人の言葉を引用するときそのままの形で書き表す表現方法であると辞書には解説するだけで引用符号の区別を言わないのは先の説明にもわざわざ、直接話法は必ずしも鉤括弧その他の引用符で括られるわけではないとし、また引用符で括られた表現が必ずしも直接話法とは限らないと断る。それでは話法とは何か。
また文法規則としての捉え方で、言う、尋ねるといった動詞を用いて述語を締めくくり、引用をすれば、彼は……と言った、わたしは……とたずねた、のような枠をつけることになるが、この引用文に対して前後の引用文を締めくくる枠外を捉えて節とし、そのことを伝達節reporting clauseというようだが、日本語の文章ではその発話主体が、~は で示されることにより後続する文の主語をも表すことがある。
間接話法は同じく辞書の解説には他人の言ったことを文章の中に表現するときにそのまま引用することをしないで書き手の立場からその内容を間接的に述べる話法とあって、そこにはなにがしかの法則がありそうである。時間、場所、人称、時制など発話の表現を伝達にもとづき立場に合わせて表現を変えることがあるのが間接話法である。英語に時制の一致の現象が現れるので文法規則があることを学習する。
話法は話し方であるとなると、文法用語の話法は英語ではspeechあるいはspeech and thoughtと呼ぶことがふつうであって、narrationという場合もあるようだから、話し手の語り、思いとなる。そこに話し手のほかの話や思いが語られるとその表現方法に区別があってそれを言語に表そうとするようなことである。引用という形式がそこに現われるが、日本語では、~と言う に代表的に明示されている。
しかしここで考えなければならないことは日本語の話法に、~は と、~が を用いることにより、~は~という 形式と、~が~という 形式のふたつがあることである。話法とはなにかについてつきつめていくと、日本語文法での話法はこのふたつの用法において文章に現われる文の構造にかかわってくることがわかる。
日本語に話法はあるか、ないというのがその答えだ。はたしてどうか。ない、となると議論の要はないが、それでは、ないとならないということを見てみる。
直接話法と間接話法なら聞いたことがある。それは引用によることだ。しかし日本語文法ではそれを特徴づけるものはない。あるとすれば引用符号を使うか使わないかでかき分けるなりする。その書き方で符号を外してもぼうびきの会話スタイルを小説の文体などで見かける。そこに文法の法則が働いていても、話法としての特徴はない。
すると話法とはそもそも何か。説明を求めれば、他人の言葉を伝える際の種々の様式のこと、口から発した発話だけでなく、心の中で思った思考内容も含まれる、とフリー百科事典では解説をする。そこには加えて、そのため発話と思考を合わせて言説、discourseと呼ぶ者もあると注をつけ、さらにまた引用という用語で代用する場合もあるとなる。言説引用と話法と文法の区別がつかないのが日本語である。
それは話法に文法的な法則が働くかどうかによることがある。直接話法には文章の中で他人の言葉を引用するときそのままの形で書き表す表現方法であると辞書には解説するだけで引用符号の区別を言わないのは先の説明にもわざわざ、直接話法は必ずしも鉤括弧その他の引用符で括られるわけではないとし、また引用符で括られた表現が必ずしも直接話法とは限らないと断る。それでは話法とは何か。
また文法規則としての捉え方で、言う、尋ねるといった動詞を用いて述語を締めくくり、引用をすれば、彼は……と言った、わたしは……とたずねた、のような枠をつけることになるが、この引用文に対して前後の引用文を締めくくる枠外を捉えて節とし、そのことを伝達節reporting clauseというようだが、日本語の文章ではその発話主体が、~は で示されることにより後続する文の主語をも表すことがある。
間接話法は同じく辞書の解説には他人の言ったことを文章の中に表現するときにそのまま引用することをしないで書き手の立場からその内容を間接的に述べる話法とあって、そこにはなにがしかの法則がありそうである。時間、場所、人称、時制など発話の表現を伝達にもとづき立場に合わせて表現を変えることがあるのが間接話法である。英語に時制の一致の現象が現れるので文法規則があることを学習する。
話法は話し方であるとなると、文法用語の話法は英語ではspeechあるいはspeech and thoughtと呼ぶことがふつうであって、narrationという場合もあるようだから、話し手の語り、思いとなる。そこに話し手のほかの話や思いが語られるとその表現方法に区別があってそれを言語に表そうとするようなことである。引用という形式がそこに現われるが、日本語では、~と言う に代表的に明示されている。
しかしここで考えなければならないことは日本語の話法に、~は と、~が を用いることにより、~は~という 形式と、~が~という 形式のふたつがあることである。話法とはなにかについてつきつめていくと、日本語文法での話法はこのふたつの用法において文章に現われる文の構造にかかわってくることがわかる。