日本語文章は文を複数、連ねている。その文の連続を見て文章としてのまとまりをみる。文章は文の連続である。身近な文章の材料に新聞記事のコラムから見よう。手元にあるのは中日春秋である。総字数は600字にならない。文お数はおおよそ、20文前後である。長いものではないが、これで、ひとまとまりの文章である。ひとまとまり、まとまり、ということを説明すると、文章の書き手がまとまりをつける。それを読み手がまとまりと知る。その相互においてまとまりをひとまとまりとする。普通は、タイトルのもとで始めと終わりがあれば、それでまとまる。詩人の死を悼むコラムである。「さくらのはなびら」というタイトルの詩を書き出しにおいている。詩人まど・みちおさんは、2月28日に逝去した。第2段落は、窓さんを語る。かすかなものを見るのが好きだったそうだ。2文、3文、そして、2文である。詞を引用する。また1文と詞の引用である。2文、音楽が流れだす。6段め、4文である。全部で14文構成だ。句点を数え、引用の詞は、符号の中を一つの文と見る。
中日春秋
2014年3月1日
<えだを はなれて/ひとひら/さくらの はなびらが/じめんに たどりついた/いま おわったのだ/そして はじまったのだ>。きのう百四歳で逝った詩人まど・みちおさんの「さくらの はなびら」だ
まどさんは、見つめる人だった。両親と離ればなれで寂しい思いをした少年時代から、肉眼でやっと見えるくらいの小さなもの、かすかなものを見るのが好きだったという。花粉の中でもぞもぞ動く虫の触角や、小さな種の表面で陽光に輝くうぶ毛…
じっと見ていると世界が広がりだし、宇宙までつながっていく。ミミズもこんなふうに見えてくる。<シャツは ちきゅうです/ようふくは うちゅうです/-どちらも 一まいきりですが>
音楽も見ようとした。<かみさまだったら/みえるのかしら/みみを ふさいで/おんがくを ながめていたい/目もつぶって 花のかおりへのように/おんがくに かお よせていたい/…そして ほほずりしていたい/そのむねに だかれて>
ぞうさん、やぎさんゆうびん、ふしぎなポケット…どれも題を聞くだけで音楽が流れ出す。まどさんからの贈り物の素晴らしさをあらためてかみしめる
さくらの花は散る。星も生まれ死ぬ。それは終わりだが、あらたなめぐりの始まりでもある。まどさんは「死とは、はかり知れないほどの大きな恵み」と語っていたという。
中日春秋
2014年3月1日
<えだを はなれて/ひとひら/さくらの はなびらが/じめんに たどりついた/いま おわったのだ/そして はじまったのだ>。きのう百四歳で逝った詩人まど・みちおさんの「さくらの はなびら」だ
まどさんは、見つめる人だった。両親と離ればなれで寂しい思いをした少年時代から、肉眼でやっと見えるくらいの小さなもの、かすかなものを見るのが好きだったという。花粉の中でもぞもぞ動く虫の触角や、小さな種の表面で陽光に輝くうぶ毛…
じっと見ていると世界が広がりだし、宇宙までつながっていく。ミミズもこんなふうに見えてくる。<シャツは ちきゅうです/ようふくは うちゅうです/-どちらも 一まいきりですが>
音楽も見ようとした。<かみさまだったら/みえるのかしら/みみを ふさいで/おんがくを ながめていたい/目もつぶって 花のかおりへのように/おんがくに かお よせていたい/…そして ほほずりしていたい/そのむねに だかれて>
ぞうさん、やぎさんゆうびん、ふしぎなポケット…どれも題を聞くだけで音楽が流れ出す。まどさんからの贈り物の素晴らしさをあらためてかみしめる
さくらの花は散る。星も生まれ死ぬ。それは終わりだが、あらたなめぐりの始まりでもある。まどさんは「死とは、はかり知れないほどの大きな恵み」と語っていたという。