薄らいだ記憶

　今年の１月末に伊丹界隈を散策したとき、３５年前の記憶が薄らいでいるのに気がついた。このあたりはよく歩いたはずなのだが、もうひとつしっくり来ない。
　環境が整備されて変わってしまうだけでなく、歳月が過ぎると既視感にも狂いが生じるみたいだ。例えば幼い頃に歩いた道や川を、大きくなって訪ねると、思っていたよりも小さな道や川なのに驚くようなものかもしれない。記憶は郷愁であるほど薄らいでいくものなのだろうか。