面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「マリー・アントワネット」

2006年10月29日 | 映画
マリー・アントワネットと言えば、すぐに「ベルサイユのばら」を連想する。
このいかんともしがたい貧困な発想に違わぬ、宝塚大劇場の舞台を数千倍絢爛豪華に、そしてロックをBGMにポップにヴィヴィッドに表現される宮廷生活が繰り広げられる映像は圧巻。

食べるのがもったいないような、部屋中に並べられた、かわいらしくてキレイなお菓子の数々。
いくらあっても次々欲しい靴、靴、靴。
今日はどんな新しいデザインのドレスが来るかしら♪
ピンクが溢れるマリーの生活が、華やかであれば華やかであるほど、マリーの満たされない心模様が際立っていく。

新婚初夜から全く妻に興味を示さない夫・ルイ16世。
まだまだ遊びたい盛りの幼いと言ってもいい年齢で、たった一人、言葉も文化も異なる異国へ嫁がされたマリーにとって、唯一の心の拠りどころとなるはずだった夫から妻として扱われなかったとき、その孤独感を埋めるため、物質的な充足感と享楽に走るのは当然のことだったろう。
一般的には、国家財政を破綻に導くほどの浪費家として、悪役のレッテルを貼られることの多いマリーの、正に“女の子”としての等身大の姿を描く手腕は、女流監督ソフィア・コッポラならでは。

結婚以来7年間、いわゆる夫婦生活が無かったというルイ16世とマリー・アントワネット。
“初体験年齢”がどんどん下がっている現代と異なり、14歳と16歳の夫婦ではそれもいたしかたなしということかもしれない。
弟王子達とは違い、シャイで不器用な彼に、女性の扱いを教えるという教育は施されてはいなかったのだろうか。
それも帝王学に入ってるものではないのか?などと老婆心な見方もしてしまうが。

そやけどそれって実は、「キルスティン・ダンスト」やからとちゃう?
という“オッサン感覚”に基づく偏見的視点からこの作品を眺めると、また違ったところが見えてたりする。
相手がモニカ・ベルッチやったら、新婚時代から毎年のように次々と子供が生まれ、王子・王女のの5人や10人、できていたことよ(詠嘆)。
しかし、世の男性諸氏にはある程度ご納得いただけるものと思うのだが如何!?
そこまで発想を巡らせての配役であったなら、ソフィア・コッポラの慧眼や恐るべし!である。

紫亭京太郎氏に同行した試写会での観賞。
セクハラ発言、蒙御免!

2007年1月公開予定
マリー・アントワネット
2006/アメリカ・フランス・日本合作  監督:ソフィア・コッポラ
出演:キルスティン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン、アーシア・アルジェント、マリアンヌ・フェイスフル、ジュディ・ディヴィス、リップ・トーン