ヨットレースでめざましい成績をあげ、名門大学へ進学するチャンスを手に入れたチャーリー・セントクラウド(ザック・エフロン)。
そんな彼をヒーローとして慕う弟のサム(チャーリー・ターハン)。
日没のキャッチボールを日課にする2人は、誰よりも固い絆で結ばれた仲の良い兄弟だった。
ある日、卒業を目前に控えたチャーリーは卒業パーティーに誘われるが、母親が夜勤のために弟と一緒に留守番をするように言われてしまう。
パーティーに出たいチャーリーがサムに話をすると、サムは友達の家で遊ぶという。
そこで車でサムを送ることにしたのだが、あろうことか交通事故に巻き込まれてしまう。
チャーリーが気づくとそこは救急車の中。
もう一方の寝台に、ぐったりと横たわるサムの姿が見えた。
半狂乱になって叫ぶチャーリーだったが、サムは帰らぬ人となってしまった。
サムの葬儀の日。
弟の死を受け入れられないチャーリーは、いよいよサムの棺が地中へと埋められようとした時、その真実に耐え切れず墓地裏の森へと駆け込んでしまう。
しかしそこに彼が見たのは、驚いたことに微笑んでたたずむサムの姿だった。
「遅刻だよ。さあ始めよう。」
微笑むサムとキャッチボールを始めたチャーリー。
以前のように、毎日日没の時間、森の中のこの場所でキャッチボールをしようと約束する。
それ以来、進学もヨットもあきらめて墓地の管理人となって、サムとの約束を守ることだけを胸に生きるチャーリー。
5年の月日が流れたある日、高校の同級生でヨットレースのライバルでもあったテス(アマンダ・クルー)が、ヨットでの単独世界一周に挑戦するためのテスト帆走のために帰郷してきた。
久しぶりの再会を果たした二人は互いに惹かれ合い、チャーリーの心にも変化が起きる。
日課のキャッチボールでの会話にもテスのことが出始め、サムは寂しさを募らせていくが…
生死を分けた仲の良い兄弟が、互いの“世界”を遮る境を超えてキャッチボールに興じ、かつての楽しかった時間を継続させていく。
チャーリーは「弟を殺した」という自責の念を負い続け、サムは「生」に執着し続けて「死」の現実から逃げ続ける。
本来住む“世界”の違う二人は、お互いを縛りつけ、生者の未来を閉ざしてしまう。
それでも、二人だけで過ごす至福の時間が全てであり、チャーリーにはそれさえあれば十分なのだ。
死んだ時のまま姿が替わることの無い、時間が止まってしまっているサムとの交流だけに生き、サム同様に時間が止まってしまっていたチャーリーだが、“生身の人間”であるテスとの出会いによって、再びチャーリーの中で“時間”が動き始める。
かつて自分も打ち込んでいたヨットに、今も変わらず情熱を注いでいるテスに触発されるチャーリー。
ヨットが触媒となり、テスに対して恋愛感情という「化学反応」が生じた彼は、それが起爆剤となって再び生身の人間として呼吸し始めるのである。
そしてテスによって「未来」を取り戻したチャーリーではあるが、それはまたサムの行動によってももたらされたものでもあった…
「きみがくれた未来」を、チャーリーはこれから精一杯生きていくことだろう。
世界各国で高い評価を得て、15カ国語に翻訳されているベン・シャーウッド原作の小説「The Death and Life of Charlie St. Cloud」の映画化。
「ハイスクール・ミュージカル」や「ヘアスプレー」などの出演で、歌って踊れる陽気で元気なキャラクターのイメージが強いザック・エフロンだが、心に大きな傷を持つ若者の姿を繊細に演じ、少年から“オトナの階段”を上り始めたH2O映画(何やそれ!?)
アイドルから脱却し、いわゆる“性格俳優”として飛躍する転機となるであろう、心に響く佳作。
「きみがくれた未来」
2010年/アメリカ 監督:バー・スティアーズ
出演:ザック・エフロン、アマンダ・クルー、キム・ベイシンガー、レイ・リオッタ、チャーリー・ターハン
そんな彼をヒーローとして慕う弟のサム(チャーリー・ターハン)。
日没のキャッチボールを日課にする2人は、誰よりも固い絆で結ばれた仲の良い兄弟だった。
ある日、卒業を目前に控えたチャーリーは卒業パーティーに誘われるが、母親が夜勤のために弟と一緒に留守番をするように言われてしまう。
パーティーに出たいチャーリーがサムに話をすると、サムは友達の家で遊ぶという。
そこで車でサムを送ることにしたのだが、あろうことか交通事故に巻き込まれてしまう。
チャーリーが気づくとそこは救急車の中。
もう一方の寝台に、ぐったりと横たわるサムの姿が見えた。
半狂乱になって叫ぶチャーリーだったが、サムは帰らぬ人となってしまった。
サムの葬儀の日。
弟の死を受け入れられないチャーリーは、いよいよサムの棺が地中へと埋められようとした時、その真実に耐え切れず墓地裏の森へと駆け込んでしまう。
しかしそこに彼が見たのは、驚いたことに微笑んでたたずむサムの姿だった。
「遅刻だよ。さあ始めよう。」
微笑むサムとキャッチボールを始めたチャーリー。
以前のように、毎日日没の時間、森の中のこの場所でキャッチボールをしようと約束する。
それ以来、進学もヨットもあきらめて墓地の管理人となって、サムとの約束を守ることだけを胸に生きるチャーリー。
5年の月日が流れたある日、高校の同級生でヨットレースのライバルでもあったテス(アマンダ・クルー)が、ヨットでの単独世界一周に挑戦するためのテスト帆走のために帰郷してきた。
久しぶりの再会を果たした二人は互いに惹かれ合い、チャーリーの心にも変化が起きる。
日課のキャッチボールでの会話にもテスのことが出始め、サムは寂しさを募らせていくが…
生死を分けた仲の良い兄弟が、互いの“世界”を遮る境を超えてキャッチボールに興じ、かつての楽しかった時間を継続させていく。
チャーリーは「弟を殺した」という自責の念を負い続け、サムは「生」に執着し続けて「死」の現実から逃げ続ける。
本来住む“世界”の違う二人は、お互いを縛りつけ、生者の未来を閉ざしてしまう。
それでも、二人だけで過ごす至福の時間が全てであり、チャーリーにはそれさえあれば十分なのだ。
死んだ時のまま姿が替わることの無い、時間が止まってしまっているサムとの交流だけに生き、サム同様に時間が止まってしまっていたチャーリーだが、“生身の人間”であるテスとの出会いによって、再びチャーリーの中で“時間”が動き始める。
かつて自分も打ち込んでいたヨットに、今も変わらず情熱を注いでいるテスに触発されるチャーリー。
ヨットが触媒となり、テスに対して恋愛感情という「化学反応」が生じた彼は、それが起爆剤となって再び生身の人間として呼吸し始めるのである。
そしてテスによって「未来」を取り戻したチャーリーではあるが、それはまたサムの行動によってももたらされたものでもあった…
「きみがくれた未来」を、チャーリーはこれから精一杯生きていくことだろう。
世界各国で高い評価を得て、15カ国語に翻訳されているベン・シャーウッド原作の小説「The Death and Life of Charlie St. Cloud」の映画化。
「ハイスクール・ミュージカル」や「ヘアスプレー」などの出演で、歌って踊れる陽気で元気なキャラクターのイメージが強いザック・エフロンだが、心に大きな傷を持つ若者の姿を繊細に演じ、少年から“オトナの階段”を上り始めたH2O映画(何やそれ!?)
アイドルから脱却し、いわゆる“性格俳優”として飛躍する転機となるであろう、心に響く佳作。
「きみがくれた未来」
2010年/アメリカ 監督:バー・スティアーズ
出演:ザック・エフロン、アマンダ・クルー、キム・ベイシンガー、レイ・リオッタ、チャーリー・ターハン