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塾の選び方

 今から15年前(注、著作は2001年)は、中学受験の塾がほとんどなかった時代だったので、私の塾にもずいぶん遠くから生徒が通っていました。遠い子になると、広島や郡山から来ていました。週末東京に来て、塾で勉強し、日曜の夜、帰っていくのです。今から思うと大変な時代でした。でも今は違います。今、電車にのって塾に通う子供は少なくなったのではないでしょうか。とにかくたくさん塾がありますから、わざわざ電車にのって通わなくてもよくなったのは大変良いことです。

 私は中央線の荻窪に住んでいますが、この前、ふと思って荻窪にいくつ塾があるか数えてみました。私が確認できただけで10軒。もしかするとまだ、あるかもしれません。これだけ塾が増えると、生徒の確保も大変ですが、親の立場からするとどう選んでいいか、迷ってしまいますね。

 塾は今、価格競争をしています。だから、月謝もずいぶん昔に比べたら安くなりました。この分野は確実にデフレですね。でも、安いというのはまた困ったものでもあるのです。
ちょっと考えてみてください。塾側のコストは何でしょうか。一番かかるのが人件費、先生の費用です。で、コストを下げるためには人件費を下げる必要があります。私が塾に勤め始めたころは、中学受験の経験者はあまりいませんでした。ですから、中学受験を教える先生を確保するのも大変だったのです。しかし今は、第二次ベビーブームの子供たちが受験を経験して、社会人になっていますし、たくさんの学生が中学受験を経験していますから、教える人材も以前に比べてかなり多くなっています。ただ、これらの人は、集団で教える経験はあまり、ありません。だから個別指導をするケースが多いのです。個別指導で学生を使うのはあたりまえです。最近では、マッチング(先生と生徒を合わせる)作業をするのも学生にさせている場合もあるそうです。で、そうなると確かに安いが、預けて大丈夫かな?という問題になってきます。

 ところが、いい学生ももちろん、いるのです。プロの先生にならっていたら、だめだったけど、個別で学生に習ったらとてもよかったという例もたくさんあります。だから、高いから品質が良いというわけでもないし、安いからといって悪いとも限らないのです。価格が品質をあらわさないから、今はとても面倒になってきました。

 でも親としては安くていいものを求めたいですね。ですから、いろいろと組み合わせればよいのです。ひとつの塾にこだわる必要はありません。それぞれ、いろいろな特徴を持っていますから、子供の現状に合わせて、必要なものだけを組み合わせるという考え方でよいのです。

 こういう親の選択に対して、何でもセットでもってきたがる塾はあまり、良い塾とはいえません。ひとつの駅に、これだけたくさんの塾があるのですから、いいとこどりをしましょう。

 まず、必要なのはテストです。不思議に思われるかもしれませんが、子供のデータ-を客観的に捕らえる必要があります。テスト塾でも、いくつかありますが、なるべくならセットにならないところを選びましょう。授業とセットになっていると、先生が問題を教えてしまう可能性がでてくるからです。多少自信にはなるでしょうが、本当の実力をはかることはできません。そしてカリキュラムがはっきりしていて、進度が明確になるテスト塾を選んでください。

 偏差値は、客観的にみてよいデータ-です。ただし、これに絶対性がないことも知っておいてください。子供のすることですから、偏差値が10くらいすぐ変わってしまうのです。だいたい、プラスマイナス5ぐらいの範囲で追っていけばよいでしょう。

 その上で、そのテストを吟味してくれるプロが近くにいると心強いですね。これはやはり、塾の先生になるでしょう。テストのカリキュラムにしたがって、授業を進めてくれる集合塾をホームにします。

 ここでの選び方は、とにかくだれが自分の子供の面倒を見てくれるのか、はっきりしていることです。学校の情報ももっているし、子供に対する対応もしっかりしている人がいる塾を選んでください。
 区別するポイントは面接。親が申し込めば、すぐ面接に応じてくれるところにしましょう。最近はあたりまえのはずですが、学生ばかりになってくると、ここで崩れるはずです。
ここで支払う月謝は4万円以内が目安です。週2回から3回の通塾で、4万円以内に抑えられればいいでしょう。

 個別指導の塾をホームにする際は、やはり進学指導の面でだれが指導するのかを明確にしてもらいましょう。ただ個別の場合は集合授業にくらべて、費用がかかります。予算に限りがある場合は、ホームは集合授業にした方が賢明です。というのも、集合授業も最近は、1クラスの人数が10人未満があたりまえになっています。3人から5人で教えてもらえる塾も少なくありません。

 後は、テストの結果をみながら、最低3ヶ月に一度は塾の先生と相談して、勉強の状況や目標の決め方を話し合っていきましょう。もちろん、塾にまかせっぱなしというのはよくありません。塾は、親が積極的になれば、それなりに対応してくれますが、まかせっぱなしにしていると、あまり面倒をみてくれないということがあるから気をつけてください。

 目標が決まったら学校別対策が必要になります。最近は学校によって出題傾向がはっきりし、その内容を塾がきちんと把握していますから、その指導を利用します。ホームになければ、他塾で探しましょう。そのとき、ホームの先生に遠慮してはいけません。今はどの塾でも、分散化されていますので、ある層に特化した授業はやりにくいのです。ですからホームに学校別指導がないケースも多いはずです。それを個別で対応する塾が増えてきました。ホームの先生に
「個別でどうですか?」
と薦められたら、カリキュラムと教材の一部を見せてもらってください。これがきちんとしていないと、単にOBを家庭教師につけるだけになってしまう可能性が高くなります。
もちろん、親がその学校の入試の傾向くらい、抑えておかなければいけないのは当然のことですが。

 良心的な塾は、いろいろと相談に乗ってくれます。そして他塾を紹介してくれる場合もあるでしょう。私は、いろいろな塾の先生から紹介を受けたことがあります。別にホームをやめるわけではないのですから、きちんと求めるべきことは求めてください。
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