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お泊まり

 子供を人の家に泊まらせることは、これも非常に大切なことです。最初はおじいちゃんやおばあちゃんの家に泊まることから始まるのでしょうが、最近は核家族化が進んでいますから、普段とは違った環境で生活させることはとても大切です。だんだん大きくなってきたら、親は泊まらずに子供だけで泊まらせるようにすると良いでしょう。そしてできれば、おじさんやおばさんの家に泊まらせてもらうともっと良い経験になると思います。おじいちゃん、おばあちゃんはどうしても孫のいうことを聞いてしまいがちです。ですから、もう少し厳しくしてくれる、おじさんやおばさんの家に泊まらせてもらえれば、子供たちはいろいろなことを経験できます。

 かわいい子には旅をさせよと昔の人はよく言いましたが、子供には社会にでるまでの間に、いろいろな苦労をさせた方がよいのです。当然、社会に出てからも苦労はするでしょうが、自分の思うとおりにならないのが、世の中の常ですから、それに対応できる力はつけておかなければなりません。

 この前テレビを見ていたら、子供がキレル原因のかなりの部分は幼少期にきちんとしたがまんをする練習をしていないことによると専門家の方がいっておられました。最近の子供たちは少子化に伴って、どんどんわがままになってきています。ほしいものは簡単に手に入ります。お誕生日もあるし、クリスマスもお正月もありますから、ほしいものを手にいれるチャンスは多いのです。ところが社会に出て行くと、そう簡単に自分のほしいものは手にはいりません。そのギャップに耐えられないと、本人はとても苦しくなります。

 子供にがまんを教えること、これは幼少期の教育の中で、とても大切なことです。私は塾で、受験学年になるとまず子供たちにがまんすることを説きました。遊びにも行きたいだろう、テレビゲームもやりたいだろう、しかし受験の準備もしなければならない。与えられた時間は決まっているのだから、優先順位を決めなければならない。その順番を考えることから始めます。

 当然受験学年ですから、受験準備を優先します。ここでがんばるしかないからです。子供たちにとって、あまり楽しくない話かもしれません。しかし、ここで消極的な気持ちにさせてしまうと、どうしてもつらくなります。つらいと感じる自分は、弱くなります。自分が消極的な態度でがまんしていると、多少つらいなと感じるときに、どうしても自分がかわいそうになってきます。そして、その原因を他人に求めてしまいがちです。

「お母さんがやれといったから、やったんだ。僕はかわいそうだ。」

こういう気持ちになっている子供は、なかなか努力できません。ですから、最初に子供に自覚させる必要があるのです。



「受験勉強をすれば、遊びもテレビゲームも我慢しなければいけない。しかしもし合格できたら、少なくとも6年間は受験がないだろう。その間に自分の好きな道をみつけることができる。でもここで受験しなければ、今は遊べるけれど、高校受験をすることになるので、3年おきに受験があることになる。それはどちらでもかまわないが、中学だけ募集して、高校は募集していない学校も多い。さて、どうする?」



 中学受験が最善の道ではありません。実際に精神年齢があまりにも幼ければ、受験を高校にまわす場合があります。本人がある程度、きちんとがまんできて、自分のやらなければならないことをこなすことができないからです。

せっかく塾にはいってもらったけれど、それができなくてやめてもらった子供もすくなくありません。



 子供が小学校の3年生か4年生になったら、どんどん外に出してあげるとよいでしょう。田舎のおじさんの家に泊めてもらうのもよいし、あるいは友達の家に泊めてもらうのもよいかもしれません。ボーイスカウトやスポーツクラブの合宿という手もあるでしょう。とにかく親がついていない状態で子供たちに生活させるのです。家と同じわけにいきませんから、当然子供たちにもストレスがあります。が,一方でそれを我慢することで、もう一回り大きく成長するのです。



 他人の家に預けてしまうのは、ある意味大変いい経験です。私は父が病気をしたので、高校1年の時、2ヶ月あまり、知り合いの家に預けられました。これは大変、自分の中の成長には役立ったと思います。下宿しているわけですから、預かってくださる家に迷惑はかけられません。でも大変心やさしい一家でしたから、いろいろと気を使ってくださいます。ですから、逆にこちらも気を使わなければいけなくなるわけで、そういう経験がひとつ、またひとつ状況に対応できる力がついてくるわけです。



 父は幸い、退院できましたが、あの生活が続くと私の考え方もまた幅が広がったのかもしれません。そこまで長い生活が無理でも、1泊や2泊のおとまりはどんどんさせてあげるといいでしょう。

 もちろん事情が許す限り、ほかの子供を預かってあげてください。これはこれで親は大変勉強になります。いかに自分の子供に親が甘えているのかということが、おわかりになると思います。


  
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