住民基本台帳カードはどうなるのかな? 2017年には個人用のインターネットサイト「マイ・ポータル」が稼働する。高齢者は何を媒体に利用できるのかな?
来年開始のマイナンバーは超危険?個人情報流出懸念、全従業員の番号把握で大混乱か
「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/2月14日号)は『税務署が来る』という特集を組んでいる。「相続増税であなたも税務調査と無縁ではいられない。企業に対する調査も大きく変化。『税務署』を丸裸にしよう」という特集だ。確定申告もあって、税への関心が高まる時期だ。
今回、注目したいのは『隠し資産はマイナンバーが暴く!?』という記事だ。マイナンバーとは、国民一人ひとりに付与される12ケタの番号だ。社会保障給付や納税、災害対策の手続きのために利用され、行政事務の簡素化が期待できる。このマイナンバー制度の運用は来年1月。今年10月から住民票に登録されている住所に順次、マイナンバーの記載された紙製の通知カードが発送される。来年1月以降、希望者はその通知カードを「個人番号カード」と引き換えるのだ。
2017年には個人用のインターネットサイト「マイ・ポータル」が稼働する。行政機関によるマイナンバーの利用履歴がわかるほか、確定申告する際に必要な情報が取得できるようになる予定だ。税務署にとっては「二重扶養」問題の解消が期待できる。
「二重扶養は、1人の扶養親族に対して複数人が所得控除を申請している状態を指し、当局も意外と取りこぼしが多いといわれる。こうした是正が1つずつ進めば税収増につながるかもしれない」(同記事より)
預貯金の隠し資産の把握も期待したいところだが、そう簡単ではないようだ。
「ただ、国内に8億あるといわれる金融口座すべてとマイナンバーをひもづけるには、預金者からの申し出が必要になる。(略)マイナンバーを国内金融機関の預貯金口座とひもづけたとしても、目下問題視されている海外資産の把握はできない。(略)個人情報の流出やなりすましといったプライバシー侵害のリスクを指摘する声が上がっている」(同記事より)
また、マイナンバーは今後、医療や自動車登録といった幅広い分野での活用が検討されている。
●企業は負担増?
企業にとってはマイナンバーが大きなリスクになりかねないと「日経ビジネス」(日経BP社/2月16日号)の記事『企業も、あなたも他人事ではない マイナンバーに潜む危機』は指摘する。
「企業の採用や就職の現場も混乱しそうだ。現在、企業が人を雇う際には免許証などで本人確認をしている。だが、2016年以降、採用や転職などさまざまな場面で、マイナンバーの提示が求められるようになる。対象は正社員だけではない。アルバイトやパートなど直接雇用する従業員全員の番号を、企業は把握する必要がある」
さらに、こうしたマイナンバーの情報を従業員が不正に漏えいした場合、雇用した企業も罰せられるのだ(罰金刑)。罰金刑を受けた場合、その企業は公共事業の入札などで指名停止措置を受けかねず、死活問題となる。「米国ではマイナンバーによく似た『社会保障番号』制度があるが、なりすましによる年金の不正受給などが横行し、年3兆円ほどの悪用被害が出ている」(同記事より)といい、不正利用に対する罰則が厳しくなっている。
マイナンバーの管理に当たっては、社員教育の徹底とセキュリティ体制の刷新も課題になってくるだろう。
「サッポログループはマイナンバー対応に、数億円のコストがかかると想定する。専任者の人件費や外注の費用が発生するという」(同記事より)
マイナンバー関連業務の負担増に耐えかねて、アルバイトの入れ替わりが激しいコンビニエンスストアなどでは、派遣社員の活用の動きも加速しそうだ。