今は昔、竹取の翁といふものありけり。野山に混じりて竹を取りつゝ、萬づの事に使ひけり。名をば讃岐造麿(さぬきのみやつこ)となむいひけり。その竹の中に、本光る竹なむ一節ありけり。あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いと美しうてゐたり。
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こんばんは、白黒茶々です。
いきなり「竹取物語」の冒頭部分が出てきてしまいましたけど、なかにはこの下りを中学・高校時代に古典で暗唱させられた方もいると思います。そういう私もそのうちの一人で、しかもいまだに覚えているのですよ。
「竹取物語」は作者、成立年ともに不明なのですけど、平安時代初期の10世紀半ばまでには成立したとされています。とにかく、日本最古の物語なのですよ
昔話としても有名なこのお話がこのたび、スタジオジブリによって映画化されました。その製作期間は、なんと8年もかかったというのですよ
そういうこともあって、翁の声を担当した地井武男さんが、作品の完成を待たずに亡くなってしまうということもありました。さらに、原作が成立した頃までさかのぼると、一千年以上もかかったということになります。
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その「かぐや姫の物語」のPR活動が始まったのは、今年の夏前ぐらいだったと思います。
しかし、最初にポスターやチラシに描かれた絵はちょっと趣向が変わっていて、私は当初は「受け入れることができるだろうか?」と思ってしまいました。
さらに、映画の予告編などで映像が映し出されるようになったのですけど………
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劇画調というかオバケというか、なんか怖いですよ。
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しかも、姫がこんな形相になって……… こんな調子の映画だったら、子供が泣き出しそうです。私のほうも、最後まで耐えられるか、自信がありません。
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それでも、公開の時期が近付いた頃には、このようにやんわりとした絵も出るようになりました。かぐや姫、かわいいじゃん
あの悪魔の形相は、いったい何だったのでしょうか?
それからというもの、ありとあらゆる映画の前の予告編でアピールするだけではなく………
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漫画雑誌の広告にも、載るように。わかった、わかりました。
そこまで言うのでしたら、私はその作品を観に行くことにします。箔母さんやたつぴも観に行きたいですって?いいですよ、私に付いてきなさい。
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私たちが映画館に向かったのは、今月初旬の日曜日のこと。今回は、20時以降のレイトショーを狙って、久しぶりに浜松市浜北区にあるTOHOシネマズサンストリート浜北を利用することにしました。
それにしても、日曜日でも時間帯が遅いということもあって、空いていますね。そうしたら、選びたい放題の中からいい席を確保しますよ。
あと、ポップコーンと飲み物もお忘れなく
とかなんとかやっているうちに、公開前の映画の予告編が流れ、「ノーモア映画泥棒」を経て、いよいよ「かぐや姫の物語」の本編が始まりました。
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「今は昔、竹取の翁といふものありけり………」
こちらの冒頭も、原作の「竹取物語」を引用していましたよ。
とにかく、今となっては昔のことになりますけど、翁(声・地井武男)がいろんなものを作るために、竹藪に竹を取りに行ったのです。そうしたら、その竹のなかに、根元が光っている竹が一本ありました。
「おおっ、これは………」彼がそこに近付いていったら、なんと手前にタケノコがニョキッと生えてきて、その中に小さな人が……… このあたりは一般的な昔話とはちょっと違いますね。
翁はその子を大事そうに両手でつつんで、お持ち帰りしました。
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「何か捕まえたのですか?」家にいた媼(声・宮本信子)に、翁は「天から授かった」と。さらに媼がその小人を手にしたら、いきなりボヨン
と巨大化し、普通サイズの赤ちゃんとなったのです。その後もその赤ちゃんは尋常ではない早さで成長し続け、その様子を見ていた捨丸(高良健吾)や村(山?)の子供たちに「タケノコ」と呼ばれるまでに。タケノコは彼らと一緒になって、自然豊かな野山でのびのびと育ちました。そうそう、ここまでの場面で、特に翁が竹を斧でたたく音や、赤ん坊の笑い声が妙にリアルで、グッときますよ。
その後も、翁は竹藪で不思議な現象にあい、そのことを「これは、姫(タケノコ・朝倉あき)を都のいい環境で育てなければならないという、天からのお告げなのでは」と解釈しました。そうと決まったら、善は急げ
彼らは住み慣れた家を引き払い、都に引っ越しました。
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その都には、翁が用意した立派な屋敷や、教育係のロッテンマイヤーさん……… によく似た相模(高畑淳子)がいました。そのような環境で、姫は高貴な美女へと変貌していき、「かぐや姫」という名前も賜りました。このあたりでは、屋敷内を走り回るときの彼女の足音が、妙にリアル
やがて、かぐや姫の美貌は都じゅうに知れ渡り、殿方が次々と彼女に求婚するという事態に。
結婚する気がない彼女は、彼らに無理難題を要求し、諦めさせようとするのですけど………
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そのなかでも、車持皇子(くらもちのみこ・橋爪功)に突き付けられた、根が銀、茎が金、実が真珠の木の枝こと「蓬莱の玉の枝」の下りは、私も古典の授業でやりましたよ
彼は幻のそのお宝を、かぐや姫に届けるのですけど、そんな大事な場面に、請求書を持った業者が現れ、そいつが実は偽造品だったということがバレてしまいます。
それにしても、車持皇子の顔が橋爪さんにソックリですね。
それから、阿部右大臣(あべのうだいじん・伊集院光)が持ってきた、燃えることのないハズの「火鼠の裘(かわごろも)」が燃やされたりもしました。
やがて、かぐや姫のもとに月からのお迎えがやって来ました。それを阻止するために、屋敷を完全防備にし、男衆も徹底抗戦したのですけど、その抵抗もむなしく、彼女は連れていかれることに。
日本最古の昔話は、めでたくないラストで幕を閉じます。
………と、「かぐや姫の物語」はほぼ原作を踏襲しているのですけど、姫が幼少期に野山で過ごした様子や、彼女の心理描写などがうまい具合に付け加えられています。それに、この作品のテーマにもなっている「姫が犯した罪と罰」も、重要な要素となっていますし。
その、彼女が月にいるときにやらかしたこととは………
殺人、誘拐、窃盗、麻薬、……… 私はありとあらゆる重罪を思い浮かべてしまいましたけど、あんなにカワイイかぐやちゃんが、それらのようなことをするハズがありません。
いや、悪魔の形相バージョンのときなら、やっても不思議ではないような。
いやいや、ネタバレになってしまうのであまり詳しくは書けないのですけど、とにかくその罪は精神的なものでした。ちなみに罰のほうは、いうまでもなく地球への追放ですね。
それから、独特のやわらかい絵のタッチはどこか懐かしく、私たちをほわ~んとした気分にさせてくれます。
そうそう、当初流されたコワい顔のかぐや姫の映像は、彼女の心が乱れた様子を表しているそうです。さらに、主題歌の「いのちの記憶」だけではなく、劇中歌のわらべ唄も、心にしみましたし。
映画「かぐや姫の物語」は、日本人の心にグッと来る作品で、観ておいてソンはないと思います。気になる方がいるようでしたら、まだ間に合うので映画館にお向かいくださいませ。
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ロッテンマイヤーさんに教育してもらいたい方は、こちらに投票してやってください。
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こんばんは、白黒茶々です。
いきなり「竹取物語」の冒頭部分が出てきてしまいましたけど、なかにはこの下りを中学・高校時代に古典で暗唱させられた方もいると思います。そういう私もそのうちの一人で、しかもいまだに覚えているのですよ。
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その「かぐや姫の物語」のPR活動が始まったのは、今年の夏前ぐらいだったと思います。
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劇画調というかオバケというか、なんか怖いですよ。
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しかも、姫がこんな形相になって……… こんな調子の映画だったら、子供が泣き出しそうです。私のほうも、最後まで耐えられるか、自信がありません。
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それでも、公開の時期が近付いた頃には、このようにやんわりとした絵も出るようになりました。かぐや姫、かわいいじゃん
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漫画雑誌の広告にも、載るように。わかった、わかりました。
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私たちが映画館に向かったのは、今月初旬の日曜日のこと。今回は、20時以降のレイトショーを狙って、久しぶりに浜松市浜北区にあるTOHOシネマズサンストリート浜北を利用することにしました。
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とかなんとかやっているうちに、公開前の映画の予告編が流れ、「ノーモア映画泥棒」を経て、いよいよ「かぐや姫の物語」の本編が始まりました。
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「今は昔、竹取の翁といふものありけり………」
こちらの冒頭も、原作の「竹取物語」を引用していましたよ。
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「何か捕まえたのですか?」家にいた媼(声・宮本信子)に、翁は「天から授かった」と。さらに媼がその小人を手にしたら、いきなりボヨン
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その後も、翁は竹藪で不思議な現象にあい、そのことを「これは、姫(タケノコ・朝倉あき)を都のいい環境で育てなければならないという、天からのお告げなのでは」と解釈しました。そうと決まったら、善は急げ
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その都には、翁が用意した立派な屋敷や、教育係のロッテンマイヤーさん……… によく似た相模(高畑淳子)がいました。そのような環境で、姫は高貴な美女へと変貌していき、「かぐや姫」という名前も賜りました。このあたりでは、屋敷内を走り回るときの彼女の足音が、妙にリアル
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そのなかでも、車持皇子(くらもちのみこ・橋爪功)に突き付けられた、根が銀、茎が金、実が真珠の木の枝こと「蓬莱の玉の枝」の下りは、私も古典の授業でやりましたよ
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それから、阿部右大臣(あべのうだいじん・伊集院光)が持ってきた、燃えることのないハズの「火鼠の裘(かわごろも)」が燃やされたりもしました。
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やがて、かぐや姫のもとに月からのお迎えがやって来ました。それを阻止するために、屋敷を完全防備にし、男衆も徹底抗戦したのですけど、その抵抗もむなしく、彼女は連れていかれることに。
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………と、「かぐや姫の物語」はほぼ原作を踏襲しているのですけど、姫が幼少期に野山で過ごした様子や、彼女の心理描写などがうまい具合に付け加えられています。それに、この作品のテーマにもなっている「姫が犯した罪と罰」も、重要な要素となっていますし。
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殺人、誘拐、窃盗、麻薬、……… 私はありとあらゆる重罪を思い浮かべてしまいましたけど、あんなにカワイイかぐやちゃんが、それらのようなことをするハズがありません。
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それから、独特のやわらかい絵のタッチはどこか懐かしく、私たちをほわ~んとした気分にさせてくれます。
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映画「かぐや姫の物語」は、日本人の心にグッと来る作品で、観ておいてソンはないと思います。気になる方がいるようでしたら、まだ間に合うので映画館にお向かいくださいませ。
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