こんばんは、白黒茶々です。
前回、道の駅もっくる新城のランチバイキングで腹ごしらえをした私は、波と狛を連れて、次の目的地となる田峯(だみね)観音に向かいました。 山道の国道257号線を車で30分ほど走っていったら………
そこから入っていく脇道に、観音様の案内看板が見えてきました。 国道のほうはスキーに行く時によく通るのですけど、ここから先は私にとっては未体験ゾーンとなります。
それにしても、国道から外れてからかなり登っていきましたよ。
田峯観音がある田峯地区は「天空の都市」、いや、「天空の集落」に思えてきました。
そして、ひと山越えた私たちは………
道路脇に立っていた整理員によって、田峯小学校に誘導されました。 田峯観音にはかなり広い駐車場があるのですけど、この日は………
奉納歌舞伎がおこなわれることもあって、そちらは満車となっているみたいです。 こちらの小学校が臨時駐車場にされる程なんて、かなり賑わっているということになりますね。
設楽町立田峯小学校は、2018年度の児童数は11人となっていました。木造平屋のレトロな校舎は昭和2年(1927年)に建てられたもので、現在国の登録有形文化財に指定されています。 それから、同じ年にアメリカから日米親善大使として贈られた青い目の人形「グレース」が大事に保存されていて、学校のマスコットとなっているそうです。
そこから坂道を上っていったら、田峯観音の大きな石碑とそこに続く階段が見えてきました。 田峯観音の正式名は谷高山高勝寺(やこうさんこうしょうじ)で、文明2年(1470年)に田峯城主の菅沼定信によって創設されました。
定信は田峯城の鎮護として、このお寺に十一面観音菩薩を勧進し、松芽観音菩薩と合祀しました。
ここまで登りが続いていてかなりヒザにきているのですけど、ここを上がりきればゴールできるハズ そのようにして、私たちが目にしたのは………
う~む……… 本来なら、真っ正面に本堂がどど~ん
と見えるところなのですけど、思いっきり仮設の構造物が視界を遮っていますね。この日は木造茅葺き屋根の奉納歌舞伎舞台に、竹の骨組みにビニールのシートをかぶせた芝居小屋が造られていました。
その中はたくさんの観衆が入っているみたいで、演目の合間にざわついている様子が外にも伝わってきました。
そいつを迂回するように設けられた参道には露店が出ていて、お祭りムードをより引き立ていました。 それらを脇目に見つつ………
私たちは本堂に行き着きました。 まずはこちらを参拝し……… そういえば、田峯観音ってお寺でしたっけ?私はお賽銭を投入したあとに、つい2礼2拍手1礼をしてしまいました。
ま、まあ、それはさておいて………
こちらには狛犬があったので「狛さんと狛犬」をやっておきましょう
そうしている間にも、波と狛はたくさんの方に撫でたり写真を撮ってもらったりなどして、可愛がっていただきました。 その中でも、私と同年代と思われるお兄さん、いや、オジちゃんは彼女らを愛でつつ「酒臭くてゴメンね、毎年これが楽しみでね」話の内容から、地元の方みたいでした。それと同時に、そこから地元への愛着も感じました。
それからしばらくして、芝居小屋の方から舞台の始まりを告げる拍子木の音が聞こえてきたので、ちょっと覗きに行ってみることにしました。
その内部は活気に満ちていました。 椅子席は満席で、後方の立ち見でなんとか観ることができました。
この田峯観音の奉納歌舞伎には、古い歴史があるのですよ。
今から376年前の正保元年(1644年)に………
同じ田峯地区にある、日光寺が焼失しました。村人たちはこのお寺を再建するために段戸山の木を切ったのですけど、あとになってそこが幕府直轄の天領だということが判明 さらにそのことを耳にした御油赤坂の代官の鳥山牛之助が検分に来るというのですから、一大事です
窮地に陥った村人たちは田峯観音に「助けてくれたら、村が三軒になるまで歌舞伎を奉納します」という願掛けと約束をしました。
旧暦の6月というので、今の7月ぐらいでしょうか?予告通りに代官たちが検分にやって来たら、真夏だというのに雪が降り積もり、切株が覆い隠されました。 そういうこともあって、彼らは引き返していき、村人たちは盗伐の重罪を免れることができたのでした。
彼らは約束を守り、それから毎年歌舞伎を奉納しました。
それは戦時中でも途絶えることはなく、現在も続いています。
ちなみに奉納歌舞伎は、田峯観音の大祭の2日目となる2月の第2日曜日におこなわれています。
その歌舞伎の魅力と奥深さを垣間見た私は………
そのついでに、田峯特産物直売所(通称・田峯直売所)で五平餅(税込320円)をいただきました。 五平餅は中部地方の山間部に伝わる郷土料理で、粒が残る程度に半搗きにした粳米(うるちまい)を串や棒状の板に巻き付け、秘伝の味噌などのタレをつけて焼いたものです。
大ヒット映画「君の名は。」では、奥寺先輩と司君が美味しそうに頬張っていましたね。さらにNHK連続テレビ小説「半分、青い。」のほうでは、主人公の楡野鈴愛(にれのすずめ、永野芽郁)が、人気少女漫画家の秋風羽織(あきかぜはおり、豊川悦司)に弟子入りを志願する際に、手みやげとして持っていきました。 秋風先生はその五平餅をいたく気に入り「これは……… 真実のたべものだ
」とまで称賛していました。
ちなみに彼の本名は、美濃権太(みのごんた)でした。
そういえば、私は五平餅は試食か何かで食べたような気がするだけなので、本格的に挑むのは今回が初めてとなります。 気になるそのお味は………
ふおっ 板に巻き付けられた粳米はやわらかいのですけど、ボロボロとこぼれ落ちることはありませんでした。
しかも、外はカリッと中はしっとりとしていて、さらにそれらを甘味のある味噌ダレが包み込み、あと引く美味しさです
これはまさに「真実のたべもの」と言っていいほどの逸品です。
素材の見極め、焼き加減、味付けの三拍子が揃わなければ、ここまではいかないでしょう。やはりお店での焼きたては五平餅の最も美味しい状態で、私はいきなりハードルを上げてしまいました。
田峯地区は交通の便が悪く、お店や娯楽施設のようなものがない静かな田舎なのですけど、人の温かさや優しさなど、私たちが普段いる環境にはないような豊かさがありました。 今回の訪問に際して、年間で田峯観音が最も混雑する大祭の奉納歌舞伎の日を避けることも考えたのですけど、地元の方とも触れ逢えるこの日にして本当によかったと思っています。
この後私たちは、田峯にとってはもう一つのシンボル的存在である田峯城に行ったのですけど、その様子については次回の日記でお伝えします。