飛行機と桜と機関車を愛でた次に愛でるのは音楽です。赤坂はアークヒルズにやって来ました。ここサントリーホールは、初見参となります。大阪のザ・シンフォニーホールの大型版を予想していましたが、見事に裏切られました。建設された時代が少し新しく、かつバブル全盛期だった為か、凝っています。外見は上部を庭園にしている為ホールには見えません。屋上に植えられた満開の桜が都会の風景に色どりを与えています。ホール内部はザ・シンフォニーホール同様、舞台後方にも客席があるヴィンヤ ード型コンサートホールですが大阪よりも広々としている印象があります。私の席は二階のステージに対して九時の方向。ほぼ指揮者の真横を見下ろすポジションです。
本日のコンサートは<日本フィルハーモニー交響楽団第639回定期演奏会 >で指揮は、ピエタリ・インキネン 。曲目は、シベリウス:付随音楽「死(クオレマ)」 、マーラー:交響曲第5番の2曲。 1曲目のシベリウスのクオレマは本日演奏の4曲中<悲しきワルツ>以外は聴いた事無く、私には甘美すぎ、(前夜の睡眠1時間がこたえたのか)つい、うとうと・・・。聴衆の拍手でハタと我に返ります。ここで寝てしまえば何のために来たのかわかりません。休憩時間を利用してドリンクコーナーに走りこみ熱いコーヒーを啜ります。続いてホール内を観て回ります。舞台上は先ほどの小編成からマーラーの大曲に備え大編成に楽器を増強しつつあります。先ほど無かったハープやドラが運び込まれていますが、その場所は残念な事に私の席からはほぼ真下に当たる為、完全な死角になっています。<こんな時に限ってものすごい美人の奏者がハープを弾いたりして・・・。そうだったら悔しい・・・>と勝手な妄想を抱いたりしているうちに、時間となりました。私の席からは、ひょっとしたら美しいかもしれないハープ奏者は見えない代わりにイケメン顔の指揮者の顔は非常によく見えます。指揮者の顔を観るにはこの席はこの上なく良い場所です。その指揮者が指揮台に立ちしばしの沈黙の後、トランペットのファンファーレが唐突に始まります。ここで外れればすべてが台無しになります。観客と演者双方緊張を強いられるシーンです。演者の顔を真っ赤にした渾身のトランペット独唱が終わると、指揮者が指揮棒を上げてオーケストラ全体がマシンの様に唸り始めます。すばらしい滑り出しになりました。マーラーのシンフォニーらしく最初から見せ場の連続で、打楽器も管楽器も大活躍で聴いていても、観ていても飽きません。第四楽章アダージョはハープの調べに聴き惚れてしまいます。近くに居るはずの演者の姿が見えないのがこの上なく残念です。 最終楽章はオーケストラ全体が一丸となってフィナーレになだれ込みます。そして、割れんばかりの拍手が会場を包み込みコンサートは終わりました。東京のお客さんはクールだと思っていましたが、皆さん熱い反応でした。いつまでも拍手が鳴りやまない。来てよかったと心から思います。心も十二分にあったまり、少し寒い夕暮れの通りに出ます。
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