2011年8月6日(土)
今日も暑くなりそうです。J南高校映画部先輩F谷氏と淡路島を通って神戸に向かいます。車を市内の駐車場に置き三宮へ。ちょうどお昼になりました。まずは、腹ごしらえということで、三宮センター街地下のベトナム料理店、コム・ベトナムに入ります。
まずは前菜 エビの春巻き。エビのぷりぷり感と野菜のシャキシャキ感のハーモニー・・・。
チキンのフォー 暑くてもこれを食べねばベトナム料理を食った気がしません。
メインはチキンのカレー風煮込みをご飯にかけた逸品。
そして、料理の後にはベトナムコーヒー。暑くてもホットで頂きます。底にたまった練乳部分の甘みが最期に舌に到達します。苦かったコーヒーから一転してとろけるような(実際とろけています)練乳が舌にまとわりつき、しばしの幸福感に包まれます。
改良工事の進む阪神三宮駅から、電車に乗り込みます。梅田から地上に出て、西方向に歩きだすと同じ方向に進む大勢の人の群れの中に入ってしまいます。若い女性は浴衣が多く、お祭り気分が伝わってきます。今日は淀川花火大会!まだ陽は高いですが場所取りのため早くから会場に向かう様子です。途中で淀川河原に向かう列を離れてやって来たのが、ザ・シンフォニーホール!
本日は、コバケンこと小林研一郎が大フィルを指揮します。<3大交響曲の夕べ>と題して
①シューベルト:交響曲 第7番 ロ短調 「未完成」
②ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 「運命」
③ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 「新世界より」の3曲を演奏します。どの曲も聴きごたえのある交響曲です。
本日の席は1階後方右より(ステージに対して)です。1階は初めてですが、少しオケとの距離が縮まったかなと思います。時間が来ました。舞台の袖から コバケンが駆け足で指揮台に上がります。観客とオケに軽く頭を下げ、次の瞬間には指揮棒は上がっていました。ゆっくりとしたスピードで、重厚なメロディーを奏でながら 「未完成」がスタートし始めます。2楽章しかないのであっけなく、静かに終わります。いったん指揮者は退場。休憩とは云えない程の短い小休止(その間、管楽器等が増強されます)を経て、コバケンが再登場。ベートーヴェンの<運命は扉をたたく>の主題が始まり熱い時間が始まりました。第一楽章が嵐の様に去り、中盤の第三楽章にかかる頃、それは私にも分りました。指揮者が唄っています!いや、唸っているのです。ホールの後方にいる私ですらはっきり聴きとれます。が、この唸りは演奏を阻害しているのではなく、もはや一つの楽器の様に演奏に参加しているのです。私にはそう聴こえました。ただ残念なことが一つ。私の2列前の後期高齢者さんが、第三楽章に入ってから堂々と時計のアラームを流し続けていた事。ご本人さん、自分が犯人であるとなかなか気がつかなかったので、周囲の観客はホントに迷惑しました。なんか、この方にとっては高速道路を逆走している感覚と同じではないかと・・・・。
15分ぐらいの長めの休憩をとった後は、本日のトリのドヴォルザークの新世界交響曲がスタート。オケは詩情豊かに歌います。直後、何かが床に落ち、何かが散らばる音がします。しかし演奏は、こんな些細なアクシデントに関係なく進んでいきます。この演奏会、予測不能な事が続きます。第二楽章のラルゴでは家路のテーマが切なくピークを迎えるところで演奏が一瞬ストップします。私が今まで聞いた演奏でここまではっきりとめるのは記憶にありません。そして演奏は怒涛のフィナーレへ。終楽章、コバケンは指揮棒を前に、後ろに振り回し。最期の盛り上がりでは指揮棒を真上に上げたまま、指揮棒を動かしません。オケはもう自律的に演奏を続けます。気が付けば、最後の残響が消えてしまう前にもう「ブラボー」の声がホールに響いていました。炎の指揮者コバケンは何度も観客の声援に応え、オケに頭を下げ、そしてアンコールのダニーボーイを熱演して去って行きました。ものすごいものを見せられ、聴かされた気がします。聴衆は、お愛想無しの、本気で拍手していました。コバケンについては好き嫌いが分かれるかもしれません。とは言え、今日本でこの人の演奏を聴けることの幸せを私は感じています。またこの人の演奏を聴いてみたい。そう遠くないうちに・・・。
ホールを出ると、花火大会へ向かう人の群れにぶつかり、気が付けばJR福島駅のガード下に来てしまいました。今来た方向から、打ち上げ花火の破裂する音が響いて来ます。が、肝心の花火は高層ビルに阻まれ見えません。夏の音だけを楽しみながら、男2人、さらに街を流されて行きます・・・。