急遽休暇をいただく事になりました。情けない事に、準備が出来ないまま休みに突入・・・。来年にでも取ろうと思っていたのですが、諸事情でこの時期に取ることになりました。初めの2日ほどは、どこにも行かず引きこもり状態。さすがに勿体ないと思い、休みを利用して旅に出ることにしました。
2011年11月16日(水)
日付が変ったのを見計らい、夜逃げの様にこっそりと自宅を出ます。鳴門ICから浜田ICまでの長いドライブの始まりです。瀬戸大橋を渡り、山陽道に出ると快調だったドライブが一転、苦難の道に。みるみるスピードが落ちてしまいます。走行車線も追い越し車線もトラックで溢れていて、いつの間にか3方向大型トレーラーに挟まれ、押しつぶされそうな気持で運転を続けます。PAに入ろうとしても、駐車場は仮眠をとるトラックで一杯。中には本線の路側帯にまではみ出て駐車しているのも・・・・。この状態が延々続きます。物流のほとんどをトラックが占めている事は頭では分っていましたが、この時ばかりは思い知りました。想像以上でした。ところが広島から一転中国道に入ると、状況は一転。車が走っていない・・・・。最終行程の浜田自動車道では、対向車もほとんどなく、気が付けば日本海側に着いてしまいました。
国道9号線を西に走り、益田市内に入る頃、ようやくあたりは明るくなります。益田駅裏で、お目当ての列車を待ちます。やがて昇ってきた朝日に照らされ、朱色に塗られた機関車2台に牽かれたタンク車の列がゆっくりと構内に入ってきます。この光景を目にして<ここに来てよかった>と心底思いました。長時間のドライブ疲れも一瞬、忘れてしまいます。20年、いや10年位前は結構方々で見られた、国鉄色のDD51の牽く車扱貨物ですが、今では本当に少なくなりました。
しばし、重連貨物の威容に見とれていましたが、益田駅での長時間停車の間に先行し、日本海の見えるポイントで待ちうける事にします。 今年のJR貨物カレンダー6月分に採用された、海をバックに走るこの貨物列車の美しい姿に魅せられ、自分も同じ場所に立ってみたいとずっと思っていました。この夢をかなえるため、写真と同じ場所を探して、車を東に走らせます。鎌手~岡見にあるその場所は、およその見当はついていますが、肝心の徒歩で海に向かっていく小道の入口がよくわかりません。
何度か、道を間違えながらも、ようやく見つけました。<我、ジャブローの進入路、見つけたり>の気分です。 舗装道路から<けもの道>といっても良い、細い道に分け入るとすぐに、紺碧の日本海とその入江を渡る小さな鉄橋が目に飛び込んできます。素晴らしいロケーションです。但し、足を滑らすとそのまま崖下の海に真っ逆さまに・・・。高所恐怖症の人でなくとも、後ずさりしてしまいます。入口の周りにはたくさんの駐車があり、てっきり同業者密集を予想しましたが撮影の先客は一人のみ。撮影ポイントよりさらに下った場所に、釣り人が多数いる様子。こちらの方は密集状態の様です。
来た頃は、線路全体が影になっていました。が、貨物列車が来るころには鉄橋の半分まで陽が当たる様になり、困惑・・・。このまま全体にこれではまだら模様になってしまう・・・・。そして、その懸念は現実のものになってしまいました・・・。どうやらごく限られた季節のみ、陽があたる様です。ここでも事前のリサーチ不足が露呈してしまいました(ショボン・・・)。
気持ちを切り替え、先ほどの貨物が到着した発電所の方に偵察に出かけます。すでに、機関車は切り離され、益田駅に回送させるのを待っています。先ほどのポイントに戻り、重連回送を狙います。
光線状態は先ほどより良くなりましたが、やはり影が差しています。もっと根本的な問題として、この短い鉄橋にDD51×2台は長過ぎて、はみ出てしまう・・・。いろいろな迷いはありましたが波と風の音しか聴こえない、崖の上で、碧い海を眺めていると些細なことは気にならなくなってきました。旅客列車を2本見送った後、回送機関車は突然姿を現し、視界を横切って行きました。紺碧の中に赤い矢の様な残像を残して・・・・。