最高おススメ演技 その10 は、シニアデビューの2010年 のフリープログラムだった「ツィゴイネルワイゼン」です。
羽生選手が初めて4回転を入れてきたプログラムです。ショートの「白鳥の湖」の衝撃と併せて、まだ15歳の少年による、鮮烈なシニアデビューでした。
曲に合わせた独特のデザインの衣装が目を引いて、見た目だけだと中性的なイメージがまだある頃でしたが、一度演技を開始すると、しっかりと「男子シングル」の演技なのが羽生選手。
女子並みの柔軟性を発揮していながら、男子だからこその力強さ、独特のしなやかさ、スピンやジャンプにみる技術力の高さを併せ持ち、見るものをハッとさせる・・・ この持ち味こそが、当時の羽生選手の強烈な個性であり、過去にいなかった、まさに「天賦の才能」を感じさせる部分。
このプログラムでも、それは遺憾なく発揮されています。
男子シングルの「皇帝」と呼ばれ、技術・表現ともに男性として最高レベルに君臨していた「プルシェンコ選手」と、異色の女性らしさで時に悩ましい演技を披露、異彩を放っていた「ジョニー・ウィアー」選手という、ある意味では対極ともいえるこのお二人を、「足して2で割ったような選手」を目指したいと言っていた羽生選手。
それだけでももう普通じゃありませんが(笑)、それが一体どんな演技になっていくのか、言葉を聞いただけでは、ちょっと想像つきませんでした。
でも、その言葉通りの、”実に不思議な魅力の演技”が見られるのが、このプログラムです。
おススメは何と言っても、初出場でいきなり2位、銀メダルに輝いた、2011年2月の4大陸選手権の時のものです。
私は羽生選手の演技を初めて見た時に、「この選手は未来の五輪金メダリスト!」と、非常に強い直感を抱いたのですが、(あまりにも才能が凄かったので)、問題は、それがこの3年後のソチで実現出来そうなのか、それともそのさらに4年後の大会になりそうなのか・・・ というのが、当時の私のもっぱらの関心事でした。
このシーズンの集大成となるこの4大陸選手権大会を、私は個人的に、「羽生選手が3年後のソチ五輪で金メダルを取れるかどうか」を判断するための大会として、すごく注目していました。
注目していたポイントはやはり、4回転トゥループをこの大きな大会で、プレッシャーに負けずに美しく決められるかどうか、でした。
ここで決められたら、羽生選手はこの先、ソチで金が取れるところまで総合的な実力を必ず伸ばせるだろう、と予想していました。
この1年前のバンクーバー五輪では、4回転を跳ばなかった選手が金メダリストになってしまい、それが議論になりました。その問題提起をしたのは、羽生選手が尊敬し憧れてきたプルシェンコ選手。
ですから、羽生選手は、4回転を1度どころか、ソチ五輪シーズンまでには複数回入れる覚悟でいるだろうと思っていました。
結果は、見事に成功!この大会で4回転トゥループジャンプを成功させた唯一の存在として、羽生選手は16歳で、シニアの国際大会で堂々の銀メダリストになりました。
演技開始前の羽生選手の様子を見て、「これはいけそう・・・」と期待してドキドキしていた私が、冒頭の4回転のキレイな着氷を見て、上記の理由から、すごい興奮状態になったのは、言うまでもありません。(笑)
その他のジャンプにミスが出ましたが、ラストはバシッと決めてくれてスカッとしました。
ジュニア時代の実績と合わせて、「大舞台や肝心なところで、強さを発揮できる羽生結弦」のイメージが、この大会でより強化されました。
本当にソチ五輪の金メダリストになった今、改めて振り返ると、色々と感慨深い演技です。
もちろん、私の直感がどうであれ、それが実現するかどうかは、羽生選手次第なわけですが(笑)、当時、私と同じように思いながらワクワクと見ていた羽生ファンの方々は、きっと大勢いらしただろうと想像します。
また、この大会があったのは、東日本大震災が起きる、約1ヶ月前のことでした。
震災後の羽生選手は、アイスショーに次々と呼ばれ、その経験が羽生選手の実力をさらに上げていくことになりましたが、この時の「4大陸選手権 銀メダル」の実績は、ただ単に「羽生選手が震災で困っているから」というだけでなく、アイスショー主催者側が羽生選手を呼びたくなる大きな理由になったのではないかと思います。
まるで孫を見つめるかのような視点からの解説者の解説と話し方が、ちょっと笑えます。
下に載せたニコニコ動画は、2010年NHK杯の時のもの。 この時はまだ15歳ですが、シニアデビューでいきなり4回転トーループを決めてきて、多くの人を驚愕させました。(かつてプルシェンコ選手が初めて4回転Tを14歳で跳んだ天才っぷりに次ぐ衝撃度。)
後半かなりバテ気味ですが、ラストで頑張って少し盛り返してきます。 特にシットスピンの素晴らしさに思わず目を見張ります。
演技開始時の眼光の鋭さが、「タダ者じゃない」感を漂わせています。(笑)
(ニコニコ動画は、右下の吹き出しマークをクリックすると、画面上に表示される感想を消すことが出来ます。)
この独特の衣装は、見た瞬間に、元全米王者・ジョニー・ウィアーさんを連想させるようなデザインだったのですが、それもそのはず、
実際に、ジョニーさん本人が羽生選手のためにデザインしたものであり、そのことを羽生選手自らが、詳しく解説してくれているのが、下の動画です。(デザインにこだわったのは羽生選手側と言うより、やはりジョニーさんのようですが・・・)
薄いピンクが子供を表し、次第に色が濃い色へ変わっていくことで大人への変化、「ジュニアからシニアへの移行」を表しているんだとか・・・
こちらは、シニアデビューして、グランプリシリーズ初出場となった2010年のNHK杯 (この大会で初めて4回転を決めた) の後に応じたインタビュー番組。
しっかりとした口調で、涼しい顔をしていますが、強い決意と内に秘めた激しい闘志を感じさせるのは、この頃から同じですね。
普段、男性のお肌には興味のない私でも、この時の羽生選手の透き通るような白い美肌には、何度見ても驚かされます。
一番上の、記念すべき「4大陸選手権・銀メダル」の演技は、どうやら7月発売に延期になった羽生選手の初DVDにも、収録される予定のようです。 ↓
この演技を、「解説なし」で、演技そのものに集中しながら見られるであろう点は、私にはちょっと魅力であり、楽しみなところです。
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