11月8日 試合が終了したので、動画の追加と、加筆をしました。
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スケートカナダの羽生選手のSPが終了しました。
得点では、2つのジャンプのノーカウント(0点)により、まさかの70点台、順位も6位ということになってしまいましたが、チャン選手や村上選手らも痛いミスをしており、トップとの差はわずかに7点差で、フリーの行方がわかりにくい混戦状態で、得点が低かった割には、羽生選手にはむしろまだまだチャンスが大いに残されているという、大変にありがたい状況で済み、フリーへと突入していきました。
こちらは、練習と本番の演技の動画です。
こちらの動画では、練習から映っていますが、練習の羽生選手のスケーティングは非常に美しく軽やかでなめらかで、上半身の動きも柔らかく、余計な力も抜けており、観ているだけでため息が出そうなほどキレイでした。
ショート本番は、まずこの映像だと、音楽がはじまって目を瞑っている時の、アップになった羽生選手の横顔が、いつにも増して、とても澄んでいて美しかったです。
この映像だと、とてもよく音を聞いていて、集中しているように見えます。
前半はとてもとても美しかったし、特に表現面では、前回よりもものすごくよかったです。
前半だけで見れば、文句なしに今までで一番良かったように私は感じました。
柔らかさも余裕もあり、音にもピッタリとあっていて、音の表現も素晴らしく、美しさも際立っていました。
ショパンの曲の良さが、羽生選手の全身からとても上手く表現出来ているように、私は感じました。
観ていて、気持ちがよかったです。
後半に入る時に、ちょっとした異変が見られます。
ジャンプに向かっていくときに、音から微妙にずれたように見えました。
4回転ジャンプを跳ぶタイミングを今までと変えたのかと一瞬思いましたけど、踏み切りそびれて音からずれちゃったせいなのか…2回転になってしまいました。
その後のステップは、前半はまだ良かったけど、途中で何かが抜けたように見え、さらにその後タイミングがずれたように見えました。
途中で何か、力が入らなくなってしまったかのように見えましたけど、ショックからだったのでしょうか。
でも、ラストのスピンは、調子が戻ったかのように、とてもきれいで音にもあっていました。
4回転トーループが2回転トーループになり、その後の3回転ルッツ+3回転トーループが、後続ジャンプが2回転トーループになってしまったことで、同じ種類のジャンプの重複となり、規定により、両方のジャンプがなんと、コンビネーションジャンプまでまるごと、0点(ノーカウント)にされてしまった今回の羽生選手。
だけど、3つのうち、特に得点源になるはずの2つのジャンプが完全に0点になってしまったにも関わらず、合計で70点以上を出せているのは、ハッキリ言ってものすごく凄いです。それだけ他が良かったということで、それは観ている側にも伝わっています。
ひどい演技だったと羽生選手はコメントしたけれども、点数が出なかったというだけで、別に全然酷い演技ということはないと私は思うし、むしろ前半はとても素敵でした。
私の個人的な感想では、前半までは、何度でも繰り返し観たいほど美しかったです。 今までで一番、観ていて うっとりさせてくれる演技になっていたと思います。
ルールの規定で、ジャンプの得点が0にまでされてしまいましたけど、転倒もない演技でしたし、
表現面では着実に演技の進歩は見られていると感じました。
ノーカウントになるようなミスをして痛い目にあったのは、羽生選手はたぶん初めてだろうけど、これできっと羽生選手は今後、さらに優しい人になれると思うし、間違いなく、織田さんにもますます優しくなれると思います。(笑)
きっと将来、プラスになることでしょう!!
このプログラムについては、バトルさんがインタビューで、羽生選手には音をシャットアウトできる訓練も必要、というようなことを前に仰っていたのですが、
確かに、強さという意味では、「音楽を聴いたりシャットアウトしたり」が自由自在にできれば鬼に金棒なのだろうけれども、
かつて、男子シングル選手たちの「音に合わせない」演技やジャンプが沢山あったような時代を記憶している私としては、見る側としての、その感覚のつまらなさをも覚えていたりするので(笑)、
稀に見るほどに「音に敏感」で、「音の表現」が得意な羽生選手は、その素晴らしい才能を活かして、ジャンプのタイミングも一番良いポイントで、跳びやすいように、気持ちよく跳んでもらったらいいのにね… というような気がします。
入り方の難しさをひたすら上げるのも、きっとそれはそれで素晴らしいことなのだろうけど、見た目を美しく完璧に確実に跳べるほうが、羽生選手の演技の高評価になるような気がしますけど、どうなのでしょう。
やはり、羽生選手の演技の魅力の一つは、流れるような、ダイナミックで美しいジャンプのその、類稀な「流線形の美」にもあると、ファンのほとんどは思っていると思います。
ステップが、今のところ、音合わせにもやや苦戦しているようですが、後半の4回転ジャンプやコンビネーションジャンプが成功したら、きっと全然変わってくるのだろうから、頑張ってほしいですね。
前回書いた、羽生選手の「内側から溢れる表現を何かが阻害しているような感じ」は、なくなっていましたし、美しい音楽が内側から聞こえる印象にはなっていたので、
今回のような事態にも、あまり動揺せずに、一歩一歩着実に頑張ってほしいな、と思います!
羽生選手が、演技前に、氷の上で何かを拾って捨てているのを見たのですが、インタビューによると、どうも氷の上に「ハエ」がいて、それを拾って捨てていた、とのことだったので、
(氷の上にハエがいたっていうのにも、すごく驚くのですが(笑))
神経をあまりにも研ぎ澄ましすぎて、余計なものにまで敏感になりすぎていたのかな… なんて感じに、見えなくもなかったです。
(その分の良さは、前半には出ていたとは思うのですが。)
でも、個人的には、今後が、ものすご~く楽しみになってきたな…と思わせてくれる、そんな印象のショート「バラード第一番」でした!!
ショートでは、他の選手では、村上大介選手の演技の表現が、光っていました。
「レ・ミゼラブル」の中の有名な美しい曲「Bring Him Home」で、実にしっとりと魅せてくれたと思います。 → https://www.youtube.com/watch?v=qArfk_vbJgg
ショートつながりでいうなら、今週末の中国杯で披露された、フェルナンデス選手の演技プログラムは、今までの彼の演技の中では一番良かったように思いました。
→ https://www.youtube.com/watch?v=zjaM360nEdU
振付が今までになく、とても良かったですね。 さすがスペイン人だと思いました。似合っていましたね。
同じく中国杯での、中国のボーヤン選手は、なんと4回転ルッツ+3回転トーループのコンビネーションに加えて、後半の4回転まで決めてしまい、トンデモナイ シニアデビュー戦となりました。
→ https://www.youtube.com/watch?v=Rl6opoCTQGA
その見た目と衣装の模様のせいで、「本物の 孫悟空ですか?」って感じだったのに、
プルシェンコ選手のイメージ強烈な、代表的な「タンゴ・アモーレ」を使ってあって、でも、どこかひょうきんの様な笑えるプログラムで、何とも言えない、不思議な面白さがありました。
彼は羽生選手にあこがれているそうですが、(ああ、そうだろうなぁ…)って感じですね。
次のNHK杯で、ボーヤン選手も試合に出るので、羽生選手は色々と燃えているかもしれませんけれども、
あまり動じずに、むしろ試合を楽しむ勢いで、堂々と頑張ってほしいな、と思います!
技術面でのライバルも、表現面でのライバルも、どちらも登場してきた今シーズン、
羽生選手はいろいろ大変でしょうけれども、そのどちらもを極めるとずっと言い続けてきたくらいなので、
むしろこれは、羽生選手にとっても、凄く良い環境になっているでしょう!
羽生選手には、羽生選手にしか出せない魅力があることに、また誰よりも総合力が優れていることに、ぜひとも自信をもって、
堂々と闘い抜いてほしいと思います!!
体調を整えて、楽しいシーズンが送れますように…!!
心から応援しています!