嘘の吐き方(うそのつきかた)

人はみんな嘘をついていると思います。僕もそうです。このページが嘘を吐き突き続ける人達のヒントになれば幸いです。

コーラの名前すらわからない

2004年11月18日 16時38分41秒 | 物語
日常の色んな事が
過去の辛い出来事を忘れさせてくれる──

忘れる?
忘れるものか。

俺は忘れない。
俺はアイツが俺にした仕打ちを絶対に忘れない
いつかきっと仕返ししてやる──

俺は昔いじめられていた。
よく殴られたり蹴られたりした。
頭からコーラをかけられた事もあったな。
具体的な事はどうだっていい。
忘れられないのは俺を虐めている時のアイツの目だ。
あの目つきがずっと焼き付いていて
俺を焦がしていく。
いつだって俺を焦がしていく。
いつかきっと復讐してやる──


十年ぶりの同窓会の日、アイツは来なかった。
風の噂では高校で女と遣って、膣中に出して
出来ちゃった結婚、
今はもう毎日必死で働いてるとか。

それを聞いた俺はアイツを許す事は出来なくても
なんだかすごく寂しかった。
アイツを哀れに思っている自分と
子供のために必死で働くアイツがなんだか目に浮かぶようで
もうアイツに復讐する事が
自分にとってほとんど意味を成さない事に気付いてしまった。

そして俺の身体の中にはポッカリと得体の知れない空洞ができ
それは俺の中にあった未来が一つ失われた事を意味していた。

決意はあった。色んな物を捨てる覚悟もあった。
俺は復讐を自分の胸に刻んだ。
だけどほんの小さな噂話が
もうこんなにも俺の中に浸透し
奇妙な確信と共に何かを奪っていった。

俺が失った物はなんだったろうか。
俺が失ったのは過去だろうか未来だろうか

きっと違う。
俺が失ったのは俺の意味と意欲だ。

なんのために、なんのために──

アイツは何かを手に入れたろうか
俺は何かを手に入れるだろうか

思い出さなければならない、小さかった頃の自分の名前を。
思い出さなければならない、小さかった頃のアイツの表情を。
「許さない、許さない」
小さな声だけが胸の中でこだましていた。
それは空洞を反射している響きだった。

もう声は届かない──
俺は道端の石ころを向こう側へ蹴ってくるりと向きを変えた。

向かい風が吹いていた。
寒さに身震いしながら夜の街を帰路につこうとして気付いた。

俺の家はどこにあるのだろうか。

脈打つ視界の中で

2004年11月18日 14時43分08秒 | 駄文(詩とは呼べない)
心臓が鼓動し脈打つ事で揺れている
視界が揺れる
地球が揺れる
なのに何故我々は何かを見続ける事が出来るのか

何故我々は同じ主体を規定した境界線を引くのか

我々は一度たりとも同じものを見た事も
見下ろした事も無いというのに

変化する現実から目をそらして
永遠を夢見るからこそ世界は同じで包まれる

永遠の言葉が無いように
変化もまたありはしない

起きて見る夢
眠った現実

真実はどちらに?

僕は願う。
どうか僕が、僕でいられますように‥、、。

誰か俺を止めてくれ

2004年11月18日 01時21分10秒 | 駄文(詩とは呼べない)
洪水のような言葉の渦はそれ自体が意味を成すわけではない
むしろ現象に近い物理的人間は
衝動に近い動物的人間と
仲良し過ぎて馴れ合い言葉になる。

例えて言うなら埴輪と人形は非常に仲良しの位置にあるが
決して水と油には例えられない。
これは直喩と暗喩の関係を持ち出すまでもなく
それ自身が言葉の意味空間から抜け出せず
謎の個性を叫びすぎているからである。

あちこちに発散される言葉の濁流は
ピークを超えた土石流と近いが
唯一マシなのは地球規模でも世界規模でもなくて
机上の空論と全く同じ位置に固定されている事である。

馬鹿を露呈するのはこれぐらいにして
「さっさと寝ろよ!」
という他者の言葉を求める俺は
非常に自虐的なマジックピエロだろうか。

あー、どうしようか。
眠くないが何かに疲れた。
そして言葉に憑かれた。

寓話の終わり

2004年11月18日 01時10分11秒 | 駄文(詩とは呼べない)
飽きる事によって埋め込まれた寓話から抜け出す私は
私自身を見つめる目を獲得したわけではない。
生きる事に飽きた僕を冷たく見下ろす私は決して客観にはなれない。
僕の寓話に登場する人は
人であるが故に人を超えられない。

飛行した寓話は着地出来ずにバラバラになって
あちこちに拡散していく。
終わりを求めた寓話は始まる事が出来ない。

僕は話に飽きる。
そしてこの話は、終わる。