ICUROK!!

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雑記

2020年04月27日 00時54分33秒 | 戯言

今取り留めなくおもうこと。

正直甘く見ていたよね;
個人的に3月下旬頃まで、人体のシステムはそんなにヤワなもんじゃあ無いし、よくある病と同等などと比較的楽観視していた。一種の正常性バイアスのようなものが働いてしまい、これほど深刻な状況になるとはおもわなかったというのが正直なところで、今となっては何かもうホントすんませんでしたという感じだ。志村師匠の死で一気に目を覚まさせられた部分もあり、何とも辛い話である。

専門家の話を聞こう;
巷には色んな人の言説が溢れている。このような状況だと殊更にビュルビュル溢れている。9年くらい前も経験したけれど、結局有事の際に傾聴に値する話、信頼できる情報というのは、その筋の専門家から発せられている。まずは専門家の情報から。そしてそれら情報を基に自分は何ができるか考えて行動するしかない。ただ、そうした中で情報過多は心の健康を害する恐れがあるのも事実。辛くなったら、ネットの情報から少し距離を置くことが大切じゃないかとおもう(誰も観ていないとはおもうがワイドショーなんぞはもってのほかだろう)。あとは、集団ヒステリーや自警団活動の片棒を担がないよう正気を保たねばならん。

想像力が大事だよね;
十分な補償も無いままでお店を閉めるに閉められない個人店で働く人、生活必需品や医薬品を扱うお店の人、各種インフラやプラントを支え続けている人、平時でも逼迫気味にある物流に携わっている人、そして何といっても現場に立ち会う医療従事者など…人間世界は様々な人たちがいて成り立っている。こうした人たちに心無い言葉を浴びせるような事例を見ると本当に心が苦しくなる。乱暴な自己責任論を振りかざして弱者を踏みにじるパターンももう沢山だ。更に、もはや誰が罹患してもおかしくない状況において、今まさに病床で苦しむ人にどうして罵詈雑言を向けられよう。もし自分がその人の立場だったら、もしかしたらその人は止むに止まれぬ特殊な事情があるのではないか等々…ほんの少しの想像力を持つだけで良い。自分の外の世界にも想いを巡らせてみよう。

どこかで見たぞこの光景;
足らぬ足らぬはおっぱいぱい、欲しがりませんちんぽっぽ。先述の自己責任論もそうだが、9年くらい前だったり、はたまた螺旋ですら無かった75年くらい前だったり、どこかで見たような光景が再び目の前で繰り広げられているような気がする今日この頃。近頃“はだゲン”が沁みるようになって来たってことは世の中どっか狂ってるってことだよ。一先ず江波のババアをクソ壺に落として落ち着け。

先ず憎むべきはコロちゃん也;
かかる状況下において案の定、他国間や世代間などでの憎悪や分断を煽る言動がツイッタランドをはじめ方々で繰り広げられている。無論、国のトップのポンコツっぷりや差別主義者に対してしかるべき声を上げる必要は大いにある。一方で憎悪の拡大や安易な二項対立に導きかねないセンセーショナルな言動や同調圧力には注意深くありたい。まあ、こんな道徳の教科書的なこと言いつつも、実際てめぇはどうなんだっていうと、いい歳してバカだし相変らず人間も出来ていないので、ムカつく奴は肛門括約筋が崩壊してクソごと内臓を垂れ流しソファーの染みとなって消滅して欲しいとか、しょっちゅうおもっているよ。でも、それはそのまま吐き出すべき内容なのか一呼吸置くように何とか努めているの…フンガー!!ちんぽ!!おっぱい!!セックス!!!ママーーーー!!!!

それでもクソバカトップどもは許せんよな;
時間ばかり浪費し、人を愚弄するかの如き方策の数々、質問にまともに答えられず何を言っているのか分からない、自分の言葉が一つもない、耳ざわりだけの謎のカタカナ語の連撃、ホームラン級ごまかし術、金魚の糞のお家芸、どっちが表か分からなくなるレベルの猛烈な掌返し…おかしいとおもったら誰もが自由に声を上げて良いよ。国民主権という言葉を改めて噛み締める日々。テレポリティクスに長けた偉大なる正義の詭弁屋たちの動向にも注意しておこう。次の選挙が楽しみだ。

健康が一番だよね;
あいや、ちょっと毒を吐いたので心が荒んでしまった。まあ、当たり前だけれど、やっぱり身体も心も健康が一番。何より基本に立ち返って、きちんと栄養・休養を取り、免疫力を高めることが大切。元々あたしゃ引きこもり気質なのでこの際全力でインドア趣味を楽しんでいくわよ。楽しいの大事。ってなわけで、もう趣味の買い物計画は万全なのだ!早く金寄越せ!減税しろ、オラッ!

苦難はいつか乗り越えられる;
さて、今は終息後の世界にとても興味がある。2010年代以降猛烈な勢いでライフスタイルや価値観のパラダイムシフトが起きている中、2020年代突入からこのような世界的一大事があり、働き方一つ取っても更なる劇的な変化を強いられるような状況だ。今回の事態で本邦だけが田吾作根性丸出しかとおもったら地球人そのものがシケた村人だったなどと捻くれたこと一つも言いたくなってしまう心境ではある。しかし、個人的にはどうしても最後は人間を信じたいとおもってしまう。過去の参照による古びたシステムが少しずつ解きほぐされ、リセットされ、より個人が生きやすい社会の到来を期待するのだ。正に誰かが言っていた、あなたがあなたでいられる世界により近づく。“そうだったらいいのにな”を口ずさむ児童のような蒙古斑丸出しの理想論かもしれないけれど。現実は世界構造のバランスが大きく変わりそうな気配もあるしね。でも、やはり私も一応一介の人間なので、苦難を乗り越えた後は明るい世界が待っていると期待したいんだよ。
まあ、これからどうなるかなんてバカ一人が博打めいたこと言っても仕方がない。取り敢えず今は早く馴染みの店に行って、しこたま飲み食いしてやりたいよ。いつかその日まで知恵と力を合わせよう。ちんぽ。


もっと賢く逃げていただく

2020年03月29日 22時29分07秒 | 音楽

去る3月13日~14日、宿と車中で勢い任せに書き散らしたものを貼り付けておく。

2020/3/13 会然TREK 2K20▲03
のっけからSPEED TUBEで本ライブへの気概を会場の隅々まで撃ち込むかのような平沢氏の力強い歌声と演奏&本日に至るまでの色々な想いが駆け巡りあっけなく泣いてしまった。二発目のルクトゥンから爆走しP曲の乱舞まで付いたえらいサービス満点の曲順。高音は相変わらず驚異の安定感で突き抜けていた。
今回はご本尊をしかと拝めるお立ち台付き。マントラ射出はお立ち台のお陰で後方の観客までしっかり射抜かれていた。見せ場づくりに最適かつ低身長馬骨や後方組も見やすいからお立ち台は今後も導入していただきたい。
舞台上に設置された会然TREKの▲背景とLEDビジョンはシンプルで引き締め効果を生む。チラ沢も見えてニンマリ。あの▲を鼻に見立ててLEDの両サイドに<●><●>映してヤイヤイしてくれないかな…などと妄想していたのは私だけだろうか。
あとは忘れちゃいけない、レさんの生ドラムくそカッコいい。既存曲に新たな息吹をもたらす強烈なパワー。橋大工や白く巨大でのようなスローテンポで力強くリズム刻む系の曲でも親和性バッチリだったとおもう。既存のリズムトラックを抜いているお陰か、楽曲のストリングス系の音なんか良く抜けて聞こえてきて新たな発見があったのも嬉しい。
あれこれ節操無く書き綴ってきたが、総括すると、盛り上げに徹した曲順も良かったし、ここ数年のライブで最高レベルじゃないかと…ってあんた毎度言ってるんじゃないか、それ……。まあ、世の中がこんなになってて、きっと我々が想像つかないくらい関係者の皆様も苦慮して決行してくれたこのライブ、本当に感謝しかない。のっけから泣かされて(一生付いていきます)と心に誓うことn回目。すべてよし。それでよし。

2020/3/14 会然TREK 2K20▲03
開幕一番におやすみDOG。ギターソロにしれっとのこりギリギリのリフぶち込んで止めを刺す仕様。お次の遮眼大師では勢い余っていつもより多くマントラを放ち色々な意味で殺傷力倍増という、二日目も飛ばしまくりのオープニングだった。
レさんの有機的なドラムがヒラサワ式シーケンスに乗っかるのは全く癖になる。MOTHERの前奏ドラムロールから展開される前のめりな疾走感は最高に気持ち良いし、HUMAN-LEで原曲の淡々としたリズムトラックを廃し隙無くオカズを挿入するアレンジは本楽曲のベストテイクなんじゃないかとすらおもえる。生ドラムのお陰で音像の隙間から抜けてくるコーラスやブラスセクションに本日も耳を傾けていた。
パラコザで遊んでからキリッとスイッチョンに切り替えるパターンは二日連続やっていただいて嬉しい。泣きの橋大工は声の伸びが抜群。そういや、初日の平沢さん物凄くイヤモニ聴き辛そうだったけど今日は調整が良かったのか耳に手をやることなく伸び伸びと歌ってたのが印象的だった。
あとは何といってもコヨーテ。しかもライブ初披露の第6フォルマントVerという。そりゃもう、ハイ!しますよハイ!これが聴けただけで何だか色々報われたような気分。いやはや生きてみるもんですよ奥さん。
白く巨大ではやはり生ドラムの相性の良さでしょう。あと、レーザーハープ→ギターソロ交互にやるの器用すぎ。
二日目終盤は曲順入れ替えによりLOOPING OPPOSITIONからのスピッチュー繋ぎだったけど、改めてサービスが過ぎるよ。LOOPING~で会人の方を向きながら(この曲がやりたかったんだろ~)って煽るようなヒラサワにチョハニクミエスン。
締めはアンコール三曲の太っ腹。幽霊飛行機はサービス曲と捉えてよろしいのか。トリプルEVOになって楽しそうに振り回す会人が可愛い。つーか、EVOベース遂に来たか!と。しれっと楽器フェア。ルクトゥンは最後とばかり思いっきり巻き舌で叫んで馬鹿騒ぎさせていただきましたよ。そういや、二日連続ラストのPLANET-HOMEは遠回しに「帰れーっ!」ってことなのかな。(違う)
というわけで、冷静さを失い双眸より落雷した初日と変わって、二日目はじっくり聴き込むことができた。振り替えれば先の宣言通りスタンディングライブに特化した停滞より前進を選ぶ怒涛の曲順。兎にも核にも無事に二度目のハイブリッドライブが開催出来て本当に良かったに尽きる。重ね重ね全方位に感謝しかない。あとはグッズ通販でガンガン金を落とすだけだ。終わりよければ、すべてよし。これでよし。


貴方糖分過多なんじゃありませんこと?

2019年12月28日 19時23分35秒 | 映画

2019年の私的映画10選など。例によりネタバレ関係なくいきまっせ。

『ガールズ&パンツァー最終章 第2話』
一昨年同様、これは映画なのかというのは置いておいて、結局、今年劇場で一番観た作品。散々待たせておいてどうなのかと蓋を開けてみれば、そら制作に時間掛かりますわなという期待を裏切らない濃厚かつ迫力の完成度だった。特に大洗VS知波単のジャングル戦は本当に良く出来ていたので早くBDで繰り返し再生したいもの。知波単アレンジのラバさんは名曲だ。
今回は既存&前作から登場したキャラクターの掘り下げが行われ、更に新たなライバル校のキャラクター登場と作品世界の可能性も押し拡げられており、シリーズの中で重要な位置付けとなった一本だったとおもう。夏の優勝校である大洗に他校が挑む構図が鮮明となり、ポンコツ知波単ズ大躍進という熱い展開から、次回もしやヒールとなった大洗が敗退するのではなどと色々妄想が捗ってしまう。この辺りの構成の上手さはさすが吉田玲子氏といったところだ。
と、まあ、ここから語りだすと非常に長くなること請け合いなので止めときます。間違いなく重要なターニングポイントとなるであろう第3話に期待大。完走するまで、否、我らがアンツィオのスピンオフシリーズが制作される日まで、生き抜かねば…ねば……。

『イップ・マン外伝マスターZ』
イップ・マン3で登場した張天志のスピンオフということでマックス・チャンの男前アクションが炸裂。
冒頭から高速かつ美しい身体捌きのアクションを見せつけてくれて全身が痺れるほどの衝撃。トリッキーな攻守の動きを見せるトニー・ジャー戦やミシェル・ヨーとのグラスを片手に謎の手技を仕掛けるシーンをはじめ、時折挟まれるユエン・ウーピンらしいユニークな遊び心感じさせる振り付けも楽しい。
物語全体において、唯の勧善懲悪だけでなく懸命に何かをやり直そうと葛藤する人々の姿を描いていて、人はいつでもやり直せるんだという力強いメッセージ性が感じられる点も好感が持てる。かつてイップ・マンに敗れた張天志が本作の最後に完全再起して‟詠春拳、張天志”と名乗り上げるシーンは鳥肌もの。音楽の入りも完璧で川井憲次さん作曲のテーマの素晴らしさに改めて気付く。腐敗権力と癒着した横暴な警察に民衆の正義が勝利する結末は今見直すと香港の現状を想起させる。現実世界でも民衆の勝利を願って止まない。
どうでもいいけど途中からシン・ユーが功夫のできるフジモンに、ケビン・チェンが綺麗な品川にしか見えなくなり、やや複雑なニヤケ面で観ていたのはここだけの話……。

『ジョン・ウィック:パラベラム』
犬を殺されてから1週間くらいしか経っていないのにこの大進展と言っては野暮ではあるが、消化不良気味だった2から大きく方向転換してアクションはシリーズ最高峰の完成度と相成った。
マーク・ダカスコス、タイガー・チェン、ザ・レイド組の起用、韓国映画『悪女』を意識したバイクチェイス、マトリックスのセルフオマージュ等々、全編を通して古今東西のアクション映画と武術へのリスペクトに溢れた作りとなっている。殺人技のデパートっぷりには更に磨きが掛かり、本フー、馬フー、ワンフーなど新鮮なアクション盛沢山で、アイデア次第でアクション映画は如何様にでも面白くなるんだぞという気概を感じさせる。ハル・ベリー姐さんはコンバットシューティングのトレーニング成果バッチリで、シェパード犬2匹との連携技による長回しアクションが滅茶苦茶カッコイイ。
しかしまあ、何だかんだ本作のNo.1はダカスコスの活躍に尽きる。今回出演を見送ったデューク真田は絶対に次回出て欲しいし、再度ザ・レイド組を交えて徹底的に殺り切っていただきたいとおもう。

『T-34レジェンド・オブ・ウォー』
予告の段階でどう見ても戦争映画というより戦車道映画だったのだが、劇場でそれは確信に至る。
映画序盤から現代的VFXを交えたフェティシズム満載の描写によるⅢ号戦車との熱い戦いを繰り広げ、捕虜収容所からの大脱走~パンター追撃~戦略大作戦を想起させる市街での最終決戦まで物語のテンポも抜群。全体的にエンターテインメントに寄せた作りで最後まで安心して観ることができる。
本作は現存する戦車は実車を使い、なんと役者にも操縦させる気合の入りよう。砲弾と砲弾がかち合ったり跳弾させたり等、フィクションだからこそやれることを思いっきり詰め込んだ実車版戦車道全開で終始ニヤニヤしっぱなし。主人公とナチス将校のライバル関係に最後の熱い一騎打ちなんて、まるで何かの試合じゃないの。そして絶好のタイミングで流れるパンツァーリートにエーリカよ。あんた絶対例のアニメ観てるだろ…と。しかしこの監督、インタビュー記事によれば未見だったというのだから全く驚きである。

『ハーツ・ビート・ラウドたびだちのうた』
長年営んできたレコードショップの閉店を決断した親父が気まぐれで娘とセッションした音源をSpotifyに上げたらヒットしてしまうところから物語が進んでいくのだが、まず以てとにかく音楽が素晴らしい。クライマックスの親父と娘のライブシーンでは思わず目からお汁だっくだく。本作のサントラはSpotifyやYoutubeで配信しているというのが作品世界とリンクしていて上手いとおもう。
親父と娘の宅録する姿は腐れDTMerの私に滅茶苦茶響いて、劇場でウンウン頷きニンマリしてしまった。また、医学部進学を目指す堅実な娘とは裏腹に曲がヒットして調子に乗った親父が、密かにバンドのロゴを考えてノートに書き込んだり、新しいギターを買い娘にはサンプラーを買い与えて叱られたりする姿が可愛らしくて仕方がない。
話の筋は至ってシンプルだが、宅録~ネットでヒットという現代的な要素が物語展開の契機となっている。また、娘のパートナーが女性であり、それをごく普通に受け入れる親父という進歩的な描写には大いに感心してしまった。というわけで本作は今年の百合映画大賞でもあります。(台無し)

『オーヴァーロード』
毎度のことながら色々書いてるとこの辺りでバテてくるな……。
さて、こちらは第二次大戦を舞台とした久々のナチス実験もの。冒頭からPTSDになりそうな激しい空中戦&残酷描写で掴みはバッチリ。ナチスの謎テクノロジーによる強化ゾンビ人間はとにかくパワフル。勢い重視の姿勢にグロテスクなシーンも思わず笑ってしまう。
クライマックスで崩壊する実験施設から長回しで一本締めするところは実に痛快だった。こういう思わぬ拾い物のような作品があるから映画は止められないのだなと、桃尻マイク水野晴郎ちゃん顔でしみじみおもうのだった。
この作品、重要な役どころをカート・ラッセルの息子さんワイアット・ラッセルが演じていたんだけど、親父さんそっくりで大変男前。今後の活躍に期待したい。あと、やっぱJ・Jエイブラムスは監督業よりプロデューサー専念のほうがいいんじゃあないの…などと例の三部作絡みで毒を吐きたい気持ちも沸いてくるがそれはまたどこか別の機会があれば……。

『ドクター・スリープ』
シャイニングの続編ということで、今回は“シャイニング”そのものに焦点を当てた内容。続編として大変完成度が高く、この作品により前作の株も上がるという奇跡的な作りだったとおもう。同じキング原作で今年公開されたITの続編よりも個人的にはこちらに軍配が上がる。
シャイニングがテーマ=超能力バトルという熱い展開が繰り広げられる。ダークサイドキャラであるローズに対し、大人になったダニーと非常に強いシャイニングを持つ少女アブラちゃんが連携して立ち向かうわけだが、とにかくアブラちゃんが格好良い。あの禍々しく呪われた場所での最終決戦に持っていくまで、前作を絡めた非常に丁寧な描写で盛り上げてくれる。ラストシーンはアブラちゃんの格好良さとユーモアが相まって最高にキマっていた。本作はアル中に苦しむダニーと永遠の命のために魂を貪るローズという依存症を抱えたキャラクターを対峙させ、依存症との闘いを描く側面もあったとおもう。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
ノレたのでOK。今回は怪獣の出し惜しみ一切無し。怪獣が主役だぞとばかり一枚絵のような美しいシーン満載だ。人間ドラマは正しく添え物程度で、感情移入などバカらしくなる狂人大進撃っぷりはもう笑って観ましょう。
個人的にラドン登場で人がたくさん死ぬところと、モスラちゃんとゴジラのラブラブオーラ全開っぷりが大好き。ラドンに関しては公開後にゴマすりクソバード呼ばわりされていて、それに反応してくれた監督のこちらのツイートがお気に入りだ。


芹沢博士こと渡辺謙は滅茶苦茶ながらも何だかんだ良い役だったよな。そうそう、渡辺謙といえば、遂にランボー4Kレストア版BDに金曜ロードショーの吹き替えが収録されるのよね!昔親父が録画したVHSを何度も観たので個人的にランボーで一番好きな吹き替えなのだ。来年のバレンタインデーに発売ってなわけで超楽しみだぜ!あれ、おかしいな、ゴジラの話をしていたはずなのにな!!

『ハンターキラー潜航せよ』
新しい21世紀の潜水艦映画として好例の一つになったとおもう。セットの作り込みや細かい描写にかなりのこだわりを感じる。今後の潜水艦映画を制作する際にはベンチマーク対象になるのではなかろうか。潜航するときは逆スムーズクリミナル体勢になるというのが一番勉強になった。あの潜航シーンはカメラを傾けるのではなくセットごと傾けて撮影しているというのだからまったく良い金の掛け方をしたものである。
とまあ、ここまで持ち上げておいて、真面目な人は怒り始める要素満載の内容ではある。個人的に好きなのはお決まりの米国VSロシアの構図を持ち出して散々USA!コール状態にしつつも、最後にウラー!状態へ持って行くところ。まじっすか!?となりながらも激熱っぷりに劇場で打ち震えた。フィクションだからこそできる友好の形の描き方ってのは良いものだ。

『ファイナル・スコア』
敢えてこの現代に、ダイ・ハード、暴走特急、サドンデス…古き良きアクション映画の要素をごった煮にして、上澄みの程よく美味しいところを頂かせてくれる、どこか憎めないそんな一本。
狭いエレベーター内での闘いやキッチンで人間フライを作るシーンなど模範解答が満載となっている。劇中で時折挟まれるギャグは一歩間違えればスベるか叱られるかといったギリギリのセンスで90年代の映画を観ているような気分に。先のハンターキラーといい、こういった作品をTV洋画劇場で流していただきたいものである。などと言って老害になっていくのだろうか……。
それにしても振り返れば本作品のほかエンドゲーム、マスターZ、大脱出3とデイヴ・バウティスタ大活躍の年だったのだな。


というわけで、今年を総括するに、どうにも大作系やエライ人絶賛系の作品がひたすらピンと来ない一年だったような気がする。って、まあ、昨年も似たようなもんか。いずれにせよ、上記でピックアップしたものをはじめ中規模の作品に良作が多かった印象。今回選外とはなったがSFサスペンスの佳作『アップグレード』などTV洋画劇場にもピッタリな作品に複数出会うことができた。

では、恒例の各種オマケ大賞をば。
まずは女優賞。ひたすら‟カッコツエエ”ババアを好演した『ターミネーター:ニュー・フェイト』よりリンダ・ハミルトン、『ハロウィン』よりジェイミー・リー・カーティスのお二方を。この二人は強い女性大好きなジェームズ・キャメロン繋がりでもあるわけで、同年に大活躍ってのがこれまた良いですよね。特にリンダ・ハミルトンの復活は本当に嬉しかった。
男優賞は『マスターZ』のマックス・チャン。これはもう今年ダントツ。併せて今年の名乗り部門大賞も差し上げます。
さあ、どんどんいきまっせ。ベストオブ決め台詞は『ターミネーター:ニュー・フェイト』でサラ・コナーが放った“Because we're not machines, you metal mother fucker!” に。『エンド・オブ・ステイツ』でボロ雑巾のような出で立ちから圧倒的存在感を見せつけたニック・ノルティには、ああ爆弾大賞を。嫌な死に方大賞は『ブライトバーン恐怖の拡散者』でハンドルに顎バコーン!なるやつ。百合映画大賞のアニメ部門には『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝』を。楽曲大賞は今年2回も劇場で流れた永遠の名曲、『Get Wild』。そうそう、忘れちゃいけない細野晴臣イヤーでもあった2019年、ドキュメンタリー映画大賞は『NO SMOKING』で決まり。次いでガンギマリハイカロリー作品大賞にはマイケル・ベイのキチガイアクション大作『6アンダーグラウンド』。護られたい二の腕大賞は2年連続マ・ドンソクへ。星が見事な夜です大賞は『大脱出3』の‟悪魔砦”。こちらは真面目にやっているのか不安になる抜群のネーミングセンスも含め納得の受賞だ。そして最後に、今年一番膝小僧に頬擦りしたい美形ショタ大賞は奇跡のCG出演ジョン・コナーに決定です。皆さんおめでとうございます!

来年は二丁拳銃のチョウ・ユンファ大復活『プロジェクト・グーテンベルグ』や、007の新作、『イップ・マン完結』とクソとションベンがいっぺんに出そうな作品が続々控えているので括約筋を鍛えて万全の態勢で臨もうとおもいます。というか、全身あちこちぶっ壊れてきており、摂生のうえ鍛え直さないとさすがにヤバくなってきたので先ずは健康第一とういうことで……。
それでは、皆様良い年をお迎えください。


神様だから仕方がない

2019年04月21日 23時51分05秒 | 音楽

Twitterのほうには到底書ききれないので4月19日Kraftwerk東京公演最終日の感想諸々書き残しておきます。


まずは物販ということで16:00頃に並びはじめるも異様な人気のサコッシュは買えず。しかしながらツアーパーカー&ずっと欲しかったアウトバーンロゴのTシャツに、2013年の赤坂で買えなかった本2冊を入手できたので良しとする。

ちなみに3D本は在庫最後のほうで若干ビニルが破れて表紙に汚れがついていたのだけれども、スタッフさん「カドのところ汚れありますけど大丈夫ですか?」あたい「OKです!」の即答で完売というギリギリセーフでありんした。お家で拭き拭きしたら直ぐに汚れも取れたので万事OK。


会場に入ってメカノの店長さんを見かけつつ、座席へ。ファルク寄りの13列目という、思いの外前のほうの席だったのでテンション爆上がり。
客入れの例の電子音が流れ始めてそわそわ。ドイツ人らしく(?)定刻に始まるのがKraftwerkの良さの一つってなわけで、客電が落とされ“Meine Damen und Herren~”で会場は一気にヒートアップ。毎度言っている気がするが個人的に“シュクジョ シンシノ ミナサマ”をもう一度やってくれないかなと……。

で、本編へ。以下印象に残ったことなどメモ。
ド定番のNumbers~Computer Worldでの入りはやっぱりKraftwerkのライブに来たぞー!って感じで(そらそうだろ)嬉しいよね。赤坂で初めて3D観たのがComputer Worldの日で、幕が下りると同時に数字がビショビショに降りかかってきたあの全身が痺れる衝撃と感動を思い出しつつ、サマソニから約5年ぶりの3D演出&生演奏に浸る。
Home Computerはよく間奏でやってるテーマとリズムトラックの掛け合いっぽい始まり方が意外でクール。続いてのComputer LoveはThe Catalogueに近いアレンジだけど若干ベースが跳ねてくれてニンマリする。しかし個人的にComputer Love好き好きマンとしては最近のバージョンだと2013年版が至高だったり……。
何だかんだオーチャードホール行ったのは初めてだったのだけれど音はバッチリだったとおもう。The Man-Machineなんか低音がビシビシ効いてて凄く気持ちよかった。高域から低音まで嫌味のない処理されてるなあなどと素人ながらおもうわけでPAさん良い仕事されていらっしゃるのね。
Spacelabは謎の円盤UFOがフジヤマ~東京タワーを巡りオーチャードホールへ軟着陸というサービスに喝采。
Autobahnは最初ロゴの3D処理が上手くいっていなかったっぽい?ずっと2重に見えてて疲れ目がこんなところで…?とおもって思わず3Dメガネを外してしまった。ラルフ御大がフィルターグリグリしまくりのブッ太いリードシンセで弾き倒してくれて、ラストスパートと言わんばかりラジオボコーダーでそのまま最後まで駆け抜けるの本当に格好良かった。欲を言えば全長版をまたやって欲しい。
Radioactivityはやはり色々想うところがあるよね……。ラルフ氏がわざわざこの国まで来て例の歌詞で歌ってくれている意味とか色々噛み締めつつ聴いてると堪らなくなってきて、ライブだと毎度目から汁が出てしまう。愚行はFUKUSHIMAで終わりにしないとな。
Electric Cafe改めTechno Pop好きとしては(この言い回し何度目だ)Electric Cafeやってくれたの滅茶苦茶嬉しかった。例のデッデ♪のベース音に体揺らしつつ、(そのままThe Telephone Call行っても良いのよ。カールおじさんいなくても歌っちゃって良いのよ。)などと目の前の4つの卓に念を送るなどしていた。
TEEはデュッセル戻ってイギー・ポップとボウイに会うぜのくだり歌ってくれたの嬉しかったなあ。あとMetal on Metalの音響、脳みそ揺れるんじゃねえかって衝撃だった。
The Robotsは4人がステージからはけた状態で始まって、このまま映像だけじゃないよなとおもったらバックスクリーンが下がってロボット登場に会場大盛り上がり。演出の都合上、2階席のほうから先に歓声が上がるのは面白かった。初日はロボットいなかったらしいけど、ずっと映像観させられるのはそれはそれでシュールで面白い気が。どうでもいいけど、スクリーンの真ん中あたりなんか汚れてなかったっけ……?終演後に近づいて見たけどなんか黒っぽいの付いてた気が。ちゃんとぞうきんがけしないとダメよ!
Aero Dynamikは今回の公演でかなりお気に入り。フィルターとピッチベンドを狂ったように弄り倒してて物凄い過激。チャリで隊列組むどころか横殴りの暴風雨で前進めんのかって感じで最高。
ご当地ソング電卓は今回大合唱にならず残念だったけど、合唱の代わりに大きな手拍子で神々をおもてなし。個人的に大合唱で迎えて神々に日本公演楽しかったな~また来たいな~っておもって頂きたかったけれども……。まあ、今回の公演はスタンディングじゃなくてじっくり聴くような雰囲気だったし、結構若いファンも増えてたみたいだからその辺は次回の来日公演でということで……。
“Boing!Boom!Tschak!”が始まると来たー!という思いと、これでお別れか…という複雑な心境になるのはいつものこと。やっぱりTechno Popのメロの旋律大好き。これも何度も言ってる気がするが、あれだけで10分くらいやって欲しい。最後のソロではヘニングが相変わらず本気出せば出すほどガニ股になり、それをお父さんのような優しい目で見つめるラルフ御大の御姿を見ることができてほっこり。ラルフ御大のソロが終わり“Good Night! Auf Wiedersehen! Sayonara! ”の締めで自然にスタンディングオベーションになったのは良かったなあ。今回も「ラルフありがとー!」と渾身の歓声を送った。演奏が終わって客電が点いてもずっと良い雰囲気のまま拍手が続いてて、これひょっとして奇跡のアンコールが…と若干期待しつつも終了。

さて、ここからが大変でして。例のサイン会ね。Twitterでサイン頂いている方々の情報がちらほら出ていたので、運が良ければ私もと公演に先立ち神楽坂の神社でお参りまでして出待ちしてたんだけど、まさか本当に頂いてしまうとは……!!
どうやらこれまでの情報から裏口で出待ちしている組と正面玄関組がいたっぽくて、私はよく分からなかったのでとりあえず正面玄関で待っていた。正面玄関にでかいワゴンのハイヤー2台が止まってて、どう考えてもこれに乗るだろ!って感じで皆さんそわそわ。そんな中、外国の方が「これデコイじゃね?」みたいなこと言ってておもわず笑ってしまった。
やがてスタッフさんが誘導を始めて、周囲がざわつきはじめる。スタッフさん「道側に寄って待っててください!慌てないで大丈夫です!皆さん順番になりますからね~!」って言ってくださって、もうこの時点でスタッフさんも神なわけですよ。公演直後に100名超の浮足立ったファンたちを上手く捌いてて、誰一人落とさない姿勢、本当にグッジョブで感謝しかない。
オーチャードホールの正面玄関にスタッフさんの神捌きで列が形成され、私も隊列に加わる。スタッフさんたちの無線連絡が激しくなり、そわそわスピードメガマックス!玄関奥のカーテンが開くと御神体が!!
列に並んでた周りの人たちと騒然。こんなことってあり得るのか。あのKraftwerkがサイン会!?約2時間の公演直後に無償でこんなファンサービスしてくれるなんてあり得るのか。列の順番が近づいてくるにつれドキドキが止まらない。「もっと金払わせてくれ!グッズならいくらでも買うよ!いやもう、なんなら各メンバーの前に賽銭箱置いてくれ!Kraftwerk神社造営しようぜ!!(懐かしい)」などと周囲の方々と異様なテンションで盛り上がりつつ、いよいよ自分の番へ……!!
ゴッドを目の前にドギマギしつつ、デタラメな英語でラルフ御大に16歳くらいの時からファンで~今宵は大変素晴らしいショーで~などと想いを伝えつつ…第二外国語の独語は全く役に立たねー!ダンケシェーン言い過ぎだバカ!そんな私の拙い言葉にもしっかり目を見て真摯な対応をしていただいて心臓バクバク&泣きそうに。
ファルクは直後言葉を失って“あー…あー……”ってなってる私に優しく笑いかけてくれて、一緒に“わーわーオーマイゴッド”みたいに盛り上がりながらサインしてくれてあまりの優しさに死にそうに。
フリッツはダンケシェーン言ったら深く頷いてくれて、こっちの目を見据えてくれて滅茶苦茶クールな対応。
最後のヘニングは半袖にメガネ姿が印象的。もうテンションがおかしくなっていたので、クールなメガネですね!それ3Dじゃないですよね!みたいな馬鹿なことをデタラメ英語で言ったら素敵スマイルを頂戴しました。申し訳ございませんでした。


そんなこんなで、一通りサインが終わり、周りの方々と言語を失い「あー…あー……」言いながら帰路へ。安直な言い方かもしれないけれども、ゴッド・オブ・テクノによるまさに“神対応”と言わざるを得ない。帰り道もしばらく心臓バクバクさせつつ、ずっと大好きで私の人生に影響を与えてくださった方々にあんな至近距離で会ってサインまで頂いてと、色んな思いが込み上げて目ウルウル状態のまま電車に乗った。Kraftwerkメンバー各位は勿論、改めてスタッフさんたちにも感謝。


あんれま、さくっとメモ書きするつもりが結局長くなってしまった……。
個人的に魔境での生活の都合上1日だけ参戦した今回の公演だったわけだけど、生まれてきて良かったとおもえる最高の体験ができて幸せでありました。今回はベストセレクション的な曲順に加え毎度のことながら進化を感じさせるアレンジを堪能できて大満足。ラルフ御大72歳だけれどもチャリのお陰かまだまだ元気。毎回つい今回が最後かな…などとおもってしまうけれど、是非とも来年も日本に来て頂きたいですよ。もう新譜は気が向いたときに作ってくれればいいから……!!


Marry her.

2018年12月28日 00時39分37秒 | 映画

2018年の私的映画10選など。

『ジオストーム』
ローランド・エメリッヒもドン引きするレベルの不真面目映画オブ・ザ・イヤー。地球規模の大災害を描いた唯のありふれたディザスタームービーかとおもいきや、ドラマ部分を含めノリと勢いだけで(はて、どこかで……)グイグイ推し進めていく超展開っぷりに度肝を抜かれ、劇場では終始心の中でサムズアップしていた作品。
とにかく物事が前のめりで進み展開が早い。重大な判断が必要な箇所はすべて即断即決。意思決定の際に、「吟味する」「他人を疑う」などという余地は一切無い。特に気象コントロール衛星技術者に転職したマイク・バニングの弟くんのフィアンセ(シークレットサービスである)が陰謀を阻止するために大統領拉致という懐かしのジャック・バウアーばりの超越した手段を即決するところは爆笑もの。そしてフィアンセのドンパチ賑やかな活躍を目にした大統領が弟くんに向けた一言“Marry her.”は今年一番の名台詞だとおもう。一々役者陣も真面目な顔して演技続けるの大変だったろうなと現場の苦労を勝手に想像してしまうのだった。
それはそうと、台風への対処法がシャークネードと同じ爆薬だったのだけど、台風被害の大きかった本年を振り返りつつ、本当に有効なら是非とも実現していただきたいものである。

『戦狼/ウルフ・オブ・ウォー』
スコット・アドキンスの中華服姿艶めかしい前作からガラリと雰囲気が変わり、安直な言い方だが何処を切り取ってもクライマックスという中華資本をぶち込みまくったアクション超大作。ウー・ジン自ら監督を務め三作目もやる気満々で物凄いシリーズに作り上げている。
話としては色々な方面から怒られそうで、某国営放送でもプロパガンダ映画扱いだったが、それで済ませてしまうには勿体ない壮絶なエネルギーに満ちたアクションの完成度に脱帽。個人的に呼吸困難に陥るレベルで大好きな場面といえば、戦車がドリフトして宙を飛ぶという戦車道行進曲が聞こえてきそうな戦車チェイスアクション。メイキングを見ると制作陣は戦車版ワイルドスピードを目指していたようだが、「バターになっちゃいますよ」的シーンを差し込むなど、これ絶対にガルパンファンいるだろ!とおもわざるを得ない仕上がり。しかもこの戦車道シーン、実際にウー・ジンが戦車操縦しているから大したもん。
ステイサムのサメ映画しかり、今後も潤沢な中華資本による作品が増えていく流れに対し色々物申す方々もいらっしゃるようだが、バンバン金使って面白い作品を作っていってもらえれば言うことなしだ。

『マンハント』
大人になって良かったなぁとおもえた作品。高校生くらいの時分に観ていたら物凄いこき下ろしていたんだろうなと……。
全体的に90年代くらいのアクション映画のノリで本当に緩くて穴だらけなんだけど何処か憎めない。一見するとダサいようで、一周回ってカッコイイという境地に辿り着く。ウー校長のファンとして、こんな時代になっても未だジョン・ウー美学は健在であり、監督悲願の企画を本邦で実現できて本当に良かったねと、唯々祝福するのみである。手錠を繋いだチャン・ハンユーと福山雅治のラブラブっぷりにチョウ・ユンファとダニー・リーの姿を重ねる。他にも冒頭から楓林閣のカチコミをおもわせるような銃撃戦をおっぱじめたり、福山氏がティ・ロンばりの日本刀さばきを見せつけたりするなど、セルフオマージュをあちこちに散りばめつつ、最後は青空の下“For a better tomorrow.”で締めるのも実にオツ。大阪舞台の割には殆ど関西弁が出てこない謎はさておき、國村準、池内博之、殺意の波動に目覚めた倉田保昭先生など脇を固める役者陣も大変素晴らしかった。

『イコライザー2』
冒頭から高速鉄道に揺られて世界最強のコックさん映画かなという、前作の闇の必殺仕置き人スタイルから今作は完全に歩く死亡フラグ寄りのスタイルに変貌を遂げたマッコールさん。マッコールさん自身のキャラクターを掘り下げつつ、ナメたらアカンお仕置きイコライジングアクションもパワーアップしており続編の在り方として正しかった。街のチンピラ集団に加わりそうになっていた近所の青年への説教や、例の「一度しか殺せないのが残念だ」の名台詞シーンをはじめ、マッコールさん前作以上に滅茶苦茶怖い。
ラジオ放送などでハリケーンが迫っているという伏線を張りつつ、人々が避難した無人の街を最後の戦いの舞台に持っていく展開がとても好き。冷静かつ着実に一人一人敵を屠っていくマッコールさんの姿にペイルライダーのイーストウッドの姿を重ねつつ、キャラの掘り下げも完了したところで是非とも三作目をお願いしたいところだ。

『レディ・プレイヤー1』
毎年のことながらあれこれ書いているとこの辺でバテてくるな……。
さて、“スピルバーグがまたやった”というべきこの作品。80年代に映画にポップカルチャーに…そういったものが大好きで本当に良かったとおもえる一本だ。小ネタが分からなかったとしても冒険映画として普通に面白い。
本作品はやはり何といっても最後に強大な力に対してオアシスの皆が立ち上がりハチャメチャになって戦う場面のあのテンション。レゴムービーのクライマックスにも似たあのゾクゾク来る感じが堪らなく好きで劇場でニヤニヤと鳥肌が止まらなかった。本作を観た後におもわずシャイニングを見返したんだけど、オマージュへの作り込みが物凄く細かくてひたすら感心。また、CG構成が主体の場面であろうとキメ画の構図が完璧でさすがはスピルバーグ様様だと改めて感服したのであった。
なお、この映画、主人公の描き方に注文付けたくなる場面もあったが、冷静に考えたら童貞オタクに彼女ができたらそうなるわなと妙に納得して自己解決してしまったのだった。

『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』
冥府魔道に生きるデル・トロの子連れ狼。前作よりアクション要素多めに入れつつ、陰惨な流れは相変わらず。
理不尽な仕事は空回りを続け、上層部の手のひら返しに翻弄されて、運命がすべて呪われたかような負のスパイラルに堕ちていく様は自身の境遇にも重ねてしまい冷静には見ていられなかった。今年亡くなってしまったヨハン・ヨハンソン作曲の劇伴、デェェェェウ…デェェェェウ…が精神にズビズビ効いてくる。完全に死んだかとおもったデル・トロがラストに死んだ目で新人採用面接に登場してくださったので三作目はいかほど陰鬱な作品になるのか期待大。
それはそうと、この作品といえば、やはりあの話題になったアディオスショットに尽きるだろう。仕事でクソみたいな連中と接するたびにあれをお見舞いしてやりたくなってしまうよね……。

『若おかみは小学生!』
大方の方々と同様、当初はキャラデザと文科省云々の宣伝文句にこれどうなのよ…とやや疑いの目で見送ろうかとおもっていたのだけれど思い切って観て良かった。
おっこちゃんの両親が事故で亡くなってしまうところが話の契機なので重い話にもなるのだけど、そういった悲しみ諸々背負いながら、同じように大切な何かを失った人たちと触れ合っていく中で、前を向いて生きていこうとするおっこちゃんの姿に最後はもう手前の汚れた目からも汁がドバドバになってしまった。吉田玲子さんの脚本にハズレなし。
キャラデザどうなのよと言いつつ、蓋を開けてみれば全体的に物凄く作画が良いし、季節の移り変わりなど美術、演出が物凄く細かいところまで丁寧に配慮されて作り込まれていて、異例のロングランになったのも頷ける完成度。

『ピーターラビット』
あの世界一有名なウサギの可愛らしい平和な作品かとおもったらとんでもねぇ。人間との血で血を洗う壮絶なバトルを繰り広げるバイオレンスコメディだった。
冒頭スズメたちが可愛らしく歌いながら登場したところを容赦なく撃墜するという出オチから勝負あった感。こんな悪い顔したウサギ見たことねぇ。人間を倒すためならアナフィラキシーショックからまさかの爆破までどんな手段も厭わないピーター兄貴に惚れ惚れ。これを観る前に実家で少しだけ原作を読んだのだが、こいつら葉っぱでもやってんのかというテンションかつ斜め上を行く掘り下げ方で殆ど意味がなかったというとんでもない作品だった。

『カメラを止めるな!』
ひたすらワンカットで撮ったゾンビ映画程度の情報で観に行ったらワンカット以後の第2部からが本番だったという構成の妙による勝利。映画作りを主軸に置いた作りということもあって、かつて黒歴史量産集団の片隅に在籍していた私個人的にも響く作品であった。
先に構成の妙と言ったように、あの伏線がここでこうなるのかという爆笑答え合わせが随所に散りばめられており、劇場内はドッカンドッカン大盛り上がりだった。上映後に自然発生的に拍手が起こる場に居合わせたのは久しぶりで、劇場の空気感含めて良い作品だったとおもう。

『映画 HUGっと!プリキュア・ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』
なっげぇタイトル!というわけで10作目は悩んだ末こちら。プリキュア15周年ということで、なんとまあ、恐ろしいことでしょうね奥さん。初代を観ていたあの頃あたいはまだまだ可憐な学徒であったわけで……。
プリキュアシリーズは正義の押し売り感を強く感じるようになってからうんざりして観るのを止めていたのだけれど(女児アニメを真剣に見るな)、現在放送中のハグプリは久しぶりにちゃんと観続けられている。時代に即した価値観を取り入れて先進的なものの見方をした作りで感心しきりなのだ。そんなこんなで初めて劇場でプリキュア映画を観たのだけど、とても温かい気持ちになったよね。個人的にやっぱり初代が好きだというのと、その他思い入れのあるキャラたちが出てくるとやはりこみ上げてくるものがあるね。15周年にふさわしい打ち上げ花火のような作品で、お兄さんもお姉さんも心の中でミラクルライト振っていたぞ。


さて、そんなこんなで、今年は昨年に続きというか昨年以上に決定打が無く非常に悩みまして、良い映画というよりは、個人的に楽しかった映画、何度も見たくなるような映画といった観点を重視して選別した結果であります。また、振り返ってみると、『SPL狼たちの処刑台』や『タクシー運転手約束は海を越えて』をはじめ、昨年同様アジア映画の当たりも多かった一年だったとおもいます。

では、例により各種オマケの大賞をば。まず女優賞は『万引き家族』より真夏の気怠い午後に汗だくになって一緒にそうめん食べたい女優No.1で現在朝ドラでも大活躍中の安藤サクラさんに決定。そして男優賞は『マッド・ダディ』『マンディ地獄のロード・ウォリアー』でガンギマリ演技&魅惑の顔芸でスクリーンを彩りつつ今後どこへ向かうのかさっぱり分からないキャリアを積み重ね続けているニコラス・ケイジに決定。
今年の銃撃戦大賞はハイウェイでマイケル・マン作品のような硬派なガンファイトを見せてくれた『ザ・アウトロー』。劇伴大賞は先述の『ボーダーライン』の陰鬱テーマや『マンディ地獄のロード・ウォリアー』でのトリップ映像との融和が見事だった故ヨハン・ヨハンソン氏へ。ベスト・オブ・説教は『イコライザー2』のマッコールさん。入浴シーン大賞は『ニンジャバットマン』のゴリラに。お家で飼いたい可愛い動物大賞は『ザ・プレデター』のプレデター犬。護られたい二の腕大賞は『犯罪都市』のマ・ドンソクへ。最後に、理性を狂わせるショタ大賞は『ペンギン・ハイウェイ』のウチダ君に決定です。皆さんおめでとうございます!

来年は年明け早々に『クリード炎の宿敵』『マイル22』をはじめ期待値爆上げのラインナップで始まり、ガルパン最終章第2話も待っているわけで、相変わらず句読点のように「辛い」「辛い」言っている毎日でありますが、おっこちゃんのように前を向いて生きねばなりませんな。作品を万全の態勢で楽しむために精神状態を健全に保つべく、来年も好きな事には全力で身も心も金もブッ込んでいく所存であります。
それでは、皆様良い年をお迎えください。