映画日和みたいなもんってあるでしょ。そんなこんなで久々に映画館へ足を運びランボーとシューテムアップの2本を鑑賞。旬の映画なので極力ネタバレは避けます。頑張りますよ…。
まずランボーから。もうね、冒頭のイッツアロングロードで「おかえりランボー」ってこみ上げてきてしまいましてね、ちょっとウルキュ~ンときましたよ。
しっかし今回のランボーは何が凄いってな、暴力描写が容赦ねえ。まず冒頭でミャンマーにおける実際の暴動や殺戮の映像を流す。噂には聞いていたがしょっぱなから凄まじい。そしてイッツアロングロードでグッときたのもつかの間、軍隊が登場。水田に地雷を投げて罪の無い人々を走らせ、挙句はAKで蜂の巣に。飛び散る肉片!弾着増量1000%!うぎゃー!
一方、我らがジョン・ランボーは一人タイでスローライフ中。そこへキリスト教系人権団体がやってくる。なんでも迫害される人々を救うだのうんたらかんたらで、ランボーさんのボートでミャンマー入りさせてくれませんかと。「やーだ」と、ランボーは言う。
さて、話がここまで進んだときである。アクションシーンでもないのに私の背後から爆音が聞こえる。5.1サラウンドではない。なんとイビキである。そう、昼間っから映画館に入り浸っている(特にB級映画の時に多い)浮浪者ってやつですよ。安らかに寝てやがる。雷のシーンもなんのその。負けずに高イビキ。物語の中核を成すシーンが台無しに。近くの人間もおそらく相手はへべれけだろうから誰も注意しない。アクションシーンで大爆発の連続になっても起きないときはさすがに呆れた。
こんな時、ランボーが人権団体に向かって言った良い台詞がある。人権団体の女が、「全ての命が尊い」みたいな事をいうのだが、ランボーはピシャリと「そうじゃない奴もいる」と言う。まさにこいつだよ!「そうじゃない奴」!後ろで迫撃砲みたいなイビキかきやがって!本当に死んで欲しい!スクリーンからランボーにヘッドショットしてもらいたいね!
というわけで、しばしイビキが続く。ランボーは渋々人権団体をミャンマー入りさせるのだが、人権団体は軍につかまってしまう。ここからランボーの救出劇が始まるわけだ。まあしかし、節目節目にアクションシーンの多いこと!下手したら10分に一回は戦っている。理想的なアクション映画だ。
この辺でようやくクソッタレのイビキも収束。よかったよかった…。一方、残酷描写はどんどんヒートアップ!お得意の弓での串刺しはほんの小手調べ。軍の攻撃で子供が死にまくるわ、手足飛び散るわ、火炎放射器でバーベキューになるわ、ヘッドショットで頭吹っ飛ぶわで大忙し。挙句は沈黙の戦艦以来(私の知る限りでは…)の喉笛引きちぎりアクションときたもんだ!堪忍してつかあさい!クレイモアなんか火薬量1000倍くらいの大爆発!そんな馬鹿な!そして極め付けがラストの機銃撃ちまくりシーン!首ポーン!飛び散る肉片!車両ごと人体ミンチ!陰腹から内臓ドボー!ここまでなったらもう笑うしかない。久々にこりゃお腹一杯だわ…。
ラストは呼応するかのようにイッツアロングロードが。「おかえりランボー」「ただいま」しかし、それもつかの間。イビキ再び。もう、死んでくれ本当に。そして劇場が明るくなったら凄いんだ。前の席にもたれかかって寝てやがる!(下図参照)
こんな感じ…。
直接注意できない駄目な大人の一人である私は、劇場側にどうにかせんかいと言って立ち去った…。
というわけで、一人の死んでも一向に構わん奴のせいで作品の良さが3割は損なわれる結果に。ザンネンムネン。作品自体は、テーマは明確で、アクションてんこもり、スタローン爺さんの気合が十分垣間見れて良かったと思う。ただし、バトルフィールドが「はい、ここでやってね」的な雰囲気だったのが残念。また、当然のごとく誇張された「悪人」の描き方は本当にこれでいいのか?と思わずにはいられない。
さて、お次はシューテムアップだ。ランボーで熱く語りすぎてしまったかな…。これはあまり注目していなかったので、かなりの拾い物。なかなか秀逸な作品なので、ランボーよりおすすめします。
本作品、まあ、見事な銃撃戦よ。よくぞこんな下らないこと考えましたなって。銃弾で回転式遊具回したりなんて、もうツッコミどころ満載なんだけどさ、許しちゃうよそんなの。この監督は呉宇森先生を観て育ったのだろうか。銃撃戦の構成の良さに加え、ユーモアがたっぷり詰まっている。本当に素晴らしくくっだらねえ!冒頭の銃撃戦からつかみはOK。呉宇森仕込み?の滑り込み撃ちは基本中の基本。クライブ・オーウェンの拳銃の操作もなかなか軽やか。ネオンサインの文字を撃ちあって「FUCK YOU」にしたあたりで、もうこの映画の虜になった。ポール・ジアマッティの悪役もまた良い味出してるんだ。
そんで一番やばかったのがモニカ・ベルッチ姐さんよ!ベルベルベルッチビッチッチ!まあ見事なぱいおつよ!この映画で私が一番気に入ったシーンはクライブ・オーウェンとベルッチ姐さんのカラミシーンなんだ!それが普通のカラミシーンじゃねえの!なんと駅弁のまま銃撃戦よ!奥手な呉宇森なんか絶対出来ないね、こんなシーン!チョコボールおじさんだってやらねえよ!
また、この作品も結構暴力描写頑張っているんだな。その中にまたちょっとユーモアが隠れていたりするのも魅力。主人公は常に何故かニンジンをかじっているんだがそいつを敵の脳漿に突き刺しちまうシーンなんか大爆笑。
そんなこんなで、気合の入ったアクション映画2本を観てきたが、ここで一つ思うことがある。マトリックス以降のアクション映画の廃れようといったら酷いもので、私は勝手にアクション映画氷河期に突入したと解釈してきた。しかし最近のこうした気骨のあるアクション映画をみるにつけ、経済屋さんっぽい言い方をすれば、「緩やかに回復」してきているように思える。こうした傾向は本当に喜ばしきことでございます。この勢いでこれからももっと素晴らしいアクション映画が観られるよう期待しておきましょう。
ほんとマナー悪い人間を見るとランボーみたいにはじけたくなりますよ。
私もランボーを見てきましたが、ここまでやりまくると逆に気持ちの良い、快作だなと思います。
本当に仰る通りで。今回のランボーはやれることやりきった感が良いですね。