カンムリワシ、ワシは名ばかり、言うばかり

20年前探せばカンムリワシがいて、10年前そこにはカラスがいて、いま両方ともいません。よって最近ではそれ以外の話題に。

トルコの苦悩

2016年05月01日 07時43分53秒 | 海外

トルコは現在

アジアの「韓国」と同じように、外交で「苦悩」を見せています。わかりやすく言えば、二股外交ですね。まぁどこの国でも、三股くらいはやっていますが、トルコと韓国の場合、とてもわかりやすいと言うべきでしょうか。

トルコと韓国が、なぜ苦悩しているか、と言えば

きっと両国が、大きな壁と壁の間に位置するから、だと思われます。

外部から大国への牽制と見てほしいのでしょうが、本人だけが絶妙のバランス」だと自負しているようで、どちらにしても危なっかしい「瀬戸際外交」そのもの。

  • トルコ・・・・欧米と軍事同盟(NATO)に加盟、しかも上海協力機構へ接近
  • 韓国・・・・アメリカと米韓相互防衛条約米韓FTAを締結、そして中国と経済同盟(韓中FTA)を締結
  • ユーゴスラビアは、分裂してもう存在しませんが、社会主義国だったけれどもソ連圏とはいえソ連とは一線を画すという微妙な立場にあったようです。このユーゴの中のクロアチアが、紆余曲折の末に独立して限りなくヨーロッパに接近し、ついにはEU加盟に至りました。これはアメリカ圏とはいえアメリカとは一線を画しながら中国に接近しつつある現在の韓国を理解するのに、大いに役立つかも知れませんし、まったく何の役にも立たないかも知れません←一体どっちなんじゃ!

EUへの加盟

トルコよりもあとから加盟申請した旧ソ連圏の東欧諸国がどんどんEU〔1993- 〕に加盟したのに、トルコはまだ参加できないままです。

  • トルコは、EEC時代ではなく直後のEC時代〔1963-1992〕の1987年にEUへの加盟を申請しましたが、2015年現在、未加盟。全体主義的な傾向とイスラム教への回帰が交渉を困難にしていると思われますが、後述のように遅きに失したのが原因かも知れません。
  • クロアチアは、ユーゴスラビアの社会主義時代を経て独立し、2003年にEUへの加盟を申請し2013年に加盟決定。

しょせんEUは、キリスト教価値観で統一された組合のようなものなんでしょう。

トルコは、ただいま

ギリシャからトルコへ強制送還された難民を受け入れるのと引き替えにEUから①そのための資金、②EU加盟申請交渉を加速させる言質、を得たようです。

しかしあるフランス人は「トルコのEU加盟は遅すぎた」(末尾の引用を御覧下さい)とし、事実トルコはいらいらのあまり、すでに中国・ロシアが中心の「上海協力機構」参加への意志を表明しているようです。

この「上海協力機構」ですが

軍事同盟のようで軍事同盟でないベンベン」

ロシア・中国・インド・パキスタンなどが入っていて、トルコとしてはすでにイスラム教国が入っていることに親しみを感じるかもしれませんが、一癖も二癖もあるロシア・中国との危うい関係もあり、果たしてうまくいくかどうか。

どちらにしても、すでに「NATO」に加盟しているトルコが「上海協力機構」に加盟するとなると、ややこしくなってきますね。

中国が絡んでいることですから、例によって「上海協力機構」加盟は、「NATO」非加盟を条件とするよう画策しているのかも知れません。中国が国連に加盟した時の台湾追放工作を思い出せば納得できることです。

背景の事情は異なりますが、私には

トルコ韓国が難しい舵取りを迫られているように見えてくるのでした。ユーゴの場合は、国の分裂によって「一応の解決」は見られましたが、当時のチトー政権もその例から洩れませんでした。

ソ連・ユーゴに続いて中国も分裂する可能性があり、そのほうが自然でしょう。

分裂後も決して楽ではないでしょうが、ソ連やユーゴの場合も、「擬似統一」状態のほうが異常だった、と私は思います。

しかし、苦労してごまかして拡大してきた広大な国土が「崩壊」することだけは絶対に認めない中国。今の状態が「異常」であるにもかかわらず!

中国では年間暴動10万件とされ、すでに「統治能力」を失っていているのに「分離独立」を絶対に認めない点が世界中から警戒されております。さて、どうなってゆくのでしょう。 


最後に、フランスのミッテラン大統領特別顧問だったジャック・アタリ〔1943- 〕の言葉をご紹介しましょう。

ジャック・アタリが語る「混迷ヨーロッパはどうなるのか」NHKBS1 2016/02/27 

(記者)あなたは1999年にNHKとのインタビューでトルコがEUに加盟するだろうと予測しました。いまでもそう思われますか。

(アタリ)私は今でも、あの時点でトルコが加盟できていればよかったと思っています。もしトルコが加盟しなければイスラムの方に向かってしまう。まさに現実はその通りになりました。

(記者)現時点でトルコを受け入れるべきだとあなたは考えますか。

(アタリ)いいえ、今では遅いと思います。

(記者)なぜですか。

(アタリ)我々は「ノー」と言い続けトルコ国民をじらしすぎたのです。「受け入れてもらえないのなら、別のところへ行く」。男女の関係に似ていますね。どちらかが相手に「ノー」と言い続けたら2度と会うことができなくなります。いつかまたトルコが変化すれば、戻ることもあるでしょう。でもずっと先のことだと思います。

(記者)現時点ではトルコはEUに加盟しない方が良いと。

(アタリ)今は難しいのです。トルコはイスラム主義の方に向いてしまいました

(記者)けれどもEUは交渉を再開しますね。

(アタリ)その通りです。

(記者)それは間違いですか。

(アタリ)いいえ、それはいいことです。私たちがトルコの加盟条件を整え、トルコの変化を歓迎するのであればけれども現在のまま受け入れることはできません。トルコが近代化・民主化・言論の自由に取り組むなら歓迎します、と伝えていかなければなりません。


とにかく、トルコをみていると、韓国や中国など、近隣アジア諸国がよく見えてくると思われます。