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出版不況は本当か?

2016-06-08 15:37:03 | お話
🍀🍀出版不況は本当か?🍀🍀


今、出版業界は不況と言われています。

街の書店がどんどんなくなっています。

本の売り上げも右肩下がりに毎年約3%ずつ落ちていますので、

この10年間で約30%落ちていることになります。

ただ、本が売れていないのは事実なのですが、「活字離れ」とはちょっと違うのかなと思っています。

というのは、書店で売れる本の部数は落ちているのですが、

図書館で借りられる本の冊数は右肩上がりに伸びているからです。

佐賀県の武雄市がTSUTAYAさんと一緒に運営する「武雄図書館」が話題になっていますが、

そこには年間100万人の方が来館されているそうです。

その他の図書館でも、サービスが向上していることもあって、本を借りる方は増えています。

つまり、
書店さんで売れている本の冊数と
図書館で借りられている本の冊数を足すと、

合計では、右肩あがりになっています。

ということは、

本は「読まれていない」のではなく

「買わるなくなっている」のです。

つまり「活字離れ」というよりは、

「お金を出してまで本を買わなくなっている」

というのが、どうやら現状のようです。


僕らはそんな中で編集者として

「お金を出して買いたい」と思っていただけるような本を

作って行かなきゃいけないと思い、

日々いろいろと試行錯誤しているところです。


昨年、出版業界に2つの大きなトピックスがありました。

1つは、お笑い芸人コンビ「ピース」の又吉直樹さんが書いた「火花」という本が芥川賞を取り、200万部の大ベストセラーとなったことです。

この本は、今まであまり本や小説を読んだことのない人たちにも読まれ、業界全体で喜んだ現象の1つでした。

もう一つは、松岡修造さんの
「まいにち、修造!心を元気にする本気の応援メッセージ」という

日めくりカレンダーが、100万部を超える大ヒットしたことです。

僕らの会社でも
「松岡修造の人生を強く生きる83の言葉」(アスコム)

という本を出していて、この本も20万部売れました。

松岡さんは、今やネットで

「日本の天気は松岡修造にかかっている」

と言われるほど大ブレイクしています。

たとえば、すごく寒い日があると「修造さんは今どこにいるの?」と話題になり、

その時に松岡さんは海外に行っていたりすると、

「修造さんがいないからこんなに寒いんだ」と言われます。

また11月6日が松岡さんのお誕生日なんですが、

その日が季節はずれに暑い日だったりすると、

「やっぱり修造さんの誕生日は暑い」みたいに言われるわけです。


松岡さんはテニスプレーヤーで、ウィンブルドン大会でベスト8になるほど活躍した選手でした。

そんな松岡さんが、なぜ今のような活動されているかというと、

伝えたいことをたくさんお持ちだからだと思います。

松岡さんがすごいなと思うのは、

伝えたいことを人の心に届くように面白く伝えているところです。

特に笑えるのは、ネガティブな言葉にあえてポジティブな言葉をくっつけている部分です。

「崖っぷち」という言葉に「ありがとう」をくっつけて「崖っぷち、ありがとう」とか、

「面倒くせえ」という言葉にプラスの言葉をつけて「よっしゃ、面倒くせえ」とか。

嫌なこととか面倒くさいことは、一見ネガティブに思いますが、

それらは自分の成長の糧になります。

結局自分にとってプラスなんですね。

そこであえて

「面倒くさいことこそ自分の成長させるポイントだ」

と発想を転換し、

「よっしゃ、面倒くせえ」

と表現するわけです。

崖っぷちも自分をギリギリまで追い込むけど、

そこを乗り越えれば自分がさらに成長できますから、

「 崖っぷち、ありがとう」

なんですね。


昨年の夏、この「松岡修造の人生を強く生きる83の言葉」に関して面白いエピソードがありました。

夏の甲子園で秋田商業高校が80年ぶりにベスト8に進出しました。

その原動力の1つがこの本だったと、スポーツ新聞に取り上げられていたのです。

そのチームのキャプテンが県大会の前にこの本を見つけて、

チームのみんなで回し読みをしたそうです。

その結果、県大会で優勝し、甲子園でもベスト8まで勝ち進んだのです。

もちろん、それだけが勝ち進んだ要因ではないと思います。

でもこの本を甲子園の宿舎に持ち込み、宿舎で朗読会を開いて、

みんなで気持ちを高めたり精神的な部分を鍛えたりしたことがプラスになったんじゃないかと思います。

また平本穏というプロゴルファーがいるのですが、

彼はメンタルの弱さがずっと課題で日本ランキングの80位くらいの選手だったそうです。

その平本選手が「フジサンケイクラシック」という大会を控えていたときに、

この本を、たまたまコンビニで見つけたそうです。

そして試合の前日に一生懸命読み、その結果、大会でなんと6位に入りました。

「この本のおかげで自信がついた」とスポーツ新に書かれていました。

そんなふうに、一冊の本との出会いが人の心にプラスの影響を与え、

人生を大きく変えてしまうことがあるのです。

「いい言葉を探そう」と思って読めば、

本は人生にそんな出会いをもたらしてくれる

素敵なメディアだと私は思っています。


(「みやざき中央新聞」柿内さんより)

大嫌いだった父親

2016-06-08 13:05:14 | お話
🍀🍀大嫌いだった父親🍀🍀


以前、松岡会長(タニサケ)が発行する小冊子をいただきました。

その中で紹介されていた、とび職の父親が大嫌いだった少年の話が強く印象に残っています。

休みの日には、焼酎を飲んでいるだけで、

母親に「掃除の邪魔」「粗大ゴミ」と言われても

ゲラゲラ笑い、

焼酎瓶片手に、フラフラしている父親。

少年はその父親を軽蔑していました。

友人の父親が立派に見えて羨ましく、

日曜日に家族で出かける近所の友人を見ると、

寂しいあまり泣けてきました。

「父親なんかいてもいなくても構わない」

とさえ思っていました。

そんな彼が、

ある日、

名古屋に出かけたとき、建設現場で仕事をしている父親の姿を見かけます。

そこは8階建ての高層ビルでした。

命綱をつけて懸命に作業する父親。

遠くに見える米粒のような父親の背中が仁王さんのように大きく見え、

彼は、その場に立ちすくみます。

「あの呑み助の親父が、

あんな危険なところで、必死に働いている。

体を張って、命をかけて

僕を育てて、くれていたんだ…」

父親を見つめる少年は、溢れる涙を止められず、

誰よりも男らしい父親を持っていることを誇りに思いながら生きていこうと思う、そんな話でした。

素晴らしい小冊子でした。


(「みやざき中央新聞」山本特派員より)