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なぜ優秀な人が脱落するのか?①

2017-02-03 15:22:29 | お話
🍀🍀なぜ優秀な人が脱落するのか?🍀🍀


米国陸軍士官学校(ウエストポイント)への入学を許可されるのは、

並外れた努力のたまものにほかならない。

その入学審査の厳格間さは、最難関大学にひけを取らず、大学進学適性試験で高得点を獲得し、

なおかつ高校の成績も抜群に優秀でなければならない。

しかも、ウエストポイントを目指すには、高校2年生のうちからを志願する必要があり、

連邦議会議員や上院議員、もしくは米国副大統領の推薦状が不可欠だ。

もちろん、ランニングや腕立て伏せ、腹筋、懸垂など、体力測定の各項目で高得点を上げる必要があるのは言うまでもない。

これならハーバード大学に入るほうがラクにさえ思えるほどだ。

毎年、全米の1万4,000名以上もの高校2年生が、ウエストポイントへの入学を志願する。

この大勢の志願者が、まずは入学要件である推薦状獲得できたかどうかで、4,000名に絞られる。

その後、学力、体力、ともにウエストポイントの厳格な審査基準をクリアできるのは、半数をやや上回る2,500名。

そのうち、最終的に入学を許可されるのは1,200名だ。

こうして、みどとに入学を果たす生徒たちは、

男女ともにほぼ例外なく、各高校を代表するスポーツ選手であり、大半はチームのキャプテンを務めている。


ところが士官候補生の5人に1人は、卒業を待たずに中退してしまう。

さらに注目すべき点は、昔から中途退学者の大半は、

夏の入学直後に行われる7週間の厳しい基礎訓練に耐え切れずに辞めてしまうということ。

この訓練は「ビースト・バラックス」(獣舎)というすさまじい名称で、

略して「ビースト」と呼ばれている。


入学を目指して2年間も必死に努力を重ねてきたのに、

最初の2ヶ月で辞めてしまうとは、どういうことなのだろうか?

とはいえ言っておくが、ただの2ヶ月ではない。

ウエストポイントに入学した士官候補生に配布されるハンドブックには、「ビースト」についてこう書かれている。

「ウェストポイントでの4年間で、肉体的、精神的にもっとも過酷な訓練であり、

諸君が士官候補生から兵士と変身を遂げるためにおおいに役立つ」

毎朝、午前5時に起床。

5時30分、星条旗が掲揚されるなか、士官候補生は直立不動で整列。

ただちにランニングや柔軟体操などのワークアウトを開始。

その後も、整列行進、武器訓練、運動競技、授業と、訓練は1日中続く。

やがて消灯ラッパの哀愁ただようメロディーが響き、22時に消灯。

翌日もまた同じ1日が始まる。

週末の休みもなければ、食事時間以外の休憩もなし。

家族や友人を含め、外部との接触はいっさい許されない。

ある士官候補生は「ビースト」についてこう語っている。

「とにかく、あらゆる面で、これでもかというほど試練が与えられます。

訓練は想像を絶する過酷さで、家族とすら連絡は取れません。

そんな中で精神的にも肉体的にも、ギリギリの状態に追い込まれます。

そうすると弱点がさらけだされる。

そこがポイントです。ウェストポイントは鍛錬の場なのです」


では、どんな人なら「ビースト」の過酷な訓練を耐え抜けるのか?

私がその問いをテーマに研究を始めたのは、2004年、ペンシルベニア大学の大学院過程(心理学)2年目のことだった。

しかし、米国陸軍はすでに何十年も前からその答えを探し続けていた。

1955年、私が研究を開始する半世紀も前に、ジェローム・カガンとう若手の心理学者が陸軍に召集され、研究を命じられた。

その課題とは、ウエストポイントの新入生を対象に試問を行い、

誰が厳しい訓練を耐え抜けるか、

あるいは脱落するかを予想し、その結果をウエストポイントの上層部に報告することだった。

カガンはこの研究に最初に取り組んだ心理学者であるだけでなく、奇しくも私がハーバード大学で最初に教えを受けた心理学者でもあった(その辺で、私は彼の研究すでに年間、パートタイムの女子を務めた)。

カガンの話によれば、厳しい訓練を耐え抜ける士官候補生を見きわめるべく、さっそく現地で研究を開始したが、

当初の試みは、どれもひどい失敗に終わったという。

その一つに、何百時間もかけて実施したテストがあった。

士官候補生に写真がプリントされた数枚のカードを見せ、

自分を主人公にしたストーリーを即興で語らせるというものだ。

このテストの目的は、士官候補生が心のうちに無意識に抱いている動機を探り当てることにあった。

つまり、即興で作ったストーリーのなかで立派な行いをした者や、

勇敢に務めを果たした者は、士官学校を中退せずに卒業するはずだという想定にもとづいている。


ところが、

理論的にはいかにも正しそうな考えが、

実際には、そのとおりに行かないのはよくあることで、

この考え方も、実際のケースにはほとんど当てはまらなかった。

士官候補生たちのストーリーは、どれも意欲的で面白かったが、

彼らが重要な場面で実際にどのような決断を下すかとは、無関係だった。

以来、数十年にわたって、何人もの心理学者がウエストポイントの中退問題の研究に取り組んできたが、

なぜ、もっとも有望な士官候補生に限って、訓練が始まったとたんに辞めてしまうのか、

その理由を確実に突きとめた者はいなかった。


(つづく)

(「GRIT やり抜く力」アンジェラ・ダックワーズさんより)