ガリバー②
🔸村上、羽鳥さんはお母様の影響も強く受けられていますね。
🔹羽鳥、実はお袋に助けられたことがあって、倒産で背負った借金3億円を3年間で全部払い終わった半年後のことでした。
突然、国税局が入り込んでくると、根掘り葉掘り聞かれた上に、数億円の税金を取り立てると言ってきたんですよ。
🔸村上、3億円の借金を完済した上、さらに税金まで?
🔹羽鳥、当時はとにかく無我夢中になって働いて借金を払っていたのですが、
東京マイカーという独立した会社として仕事をしていたので、
本来、倒産した別会社の借金を払う必要はないわけですよ。
そこを国税局が突いて、これは東京マイカーからの贈与であると。
もう毎日のように、これはどうなった、この帳簿を見せろとか言われても、
こっちは納得できないじゃないですか。
やっとの思いで義理の兄の借金を全部払い終わってほっとしていたのに、
何でまた税金を何億円も払わなくちゃならないんだって。
そう思うとイライラして、彼らの言うことに逆らってばかりいたんです。
やっぱり、そういう感情って、顔に出るんですね。
ある晩、お袋が車に乗せて欲しいと言うので、
言われるままに運転すると、
着いたのは30キロくらい先にある山中のお寺さんでした。
すでに11時近くだったと思うのですが、
お袋がお坊さんを起こして、
「最近、息子がイラついて、おかしな状態になっているようだから祈祷してください」
とお願いするんですよ。
🔸村上、真夜中の祈祷ですか。
🔹羽鳥、ええ。自分も訳が分からなかったのですが、
しょうがないので黙って本堂について行くと、
すぐに護摩焚きが始まって、お坊さんが拝み始めました。
おそらく1時間以上続けたと思うのですが、
とにかく手を抜かないで一所懸命拝んでくれる。
そんなお坊さんの後ろ姿を見ているうちに、
この方は何が楽しみなんだろうか、
そもそも、人の幸せって何だろうかって、ずっと考えていました。
そうしたら、ふと、お金がすべてじゃないんだと気がついた。
それよりも、人に喜んでもらうために一所懸命やる。
それが生き甲斐になるんだって。
一方、自分はというと
借金を払った上に税金まで取られるのが嫌だから、
何でもかんでも逆らってばかりでした。
でも、もういっそのこと徴収されるだけ徴収されるのも、面白いじゃないかと。
また何億円払えと言われたって、返すのをゲームのように捉えて、
一日でも早く完済していくのも楽しいかもしれない、
ということに気づきました。
🔸村上、開き直ったわけですね。
🔹羽鳥、ですから次の日に国税局の方が来たときに、開口一番、
「何でも言ってください。何億円でも何十億でも言わるだけ払いますから」
と言った。
「もう覚悟を決めました」
って。
そしたら、その日の午後2時ごろに、
「状況は分かっていた。
でもあまりに逆らうから徹底的にやろうと思っていたけど、
今日で終わります。
あんたが心を開いてくれたんで、もういいですよ」
と言って、数億円かかるところを最終的には1千万円ちょっとくらいで解決してくれたんです。
こちらが心を開いてないと戦争になる。
でも開くと、サッと解決する。
そう気づかせてくれたのが、お袋であり、お坊さんの後ろ姿でした。
(「致知」3月号、村上和雄さん羽鳥兼市さん対談より)
🔸村上、羽鳥さんはお母様の影響も強く受けられていますね。
🔹羽鳥、実はお袋に助けられたことがあって、倒産で背負った借金3億円を3年間で全部払い終わった半年後のことでした。
突然、国税局が入り込んでくると、根掘り葉掘り聞かれた上に、数億円の税金を取り立てると言ってきたんですよ。
🔸村上、3億円の借金を完済した上、さらに税金まで?
🔹羽鳥、当時はとにかく無我夢中になって働いて借金を払っていたのですが、
東京マイカーという独立した会社として仕事をしていたので、
本来、倒産した別会社の借金を払う必要はないわけですよ。
そこを国税局が突いて、これは東京マイカーからの贈与であると。
もう毎日のように、これはどうなった、この帳簿を見せろとか言われても、
こっちは納得できないじゃないですか。
やっとの思いで義理の兄の借金を全部払い終わってほっとしていたのに、
何でまた税金を何億円も払わなくちゃならないんだって。
そう思うとイライラして、彼らの言うことに逆らってばかりいたんです。
やっぱり、そういう感情って、顔に出るんですね。
ある晩、お袋が車に乗せて欲しいと言うので、
言われるままに運転すると、
着いたのは30キロくらい先にある山中のお寺さんでした。
すでに11時近くだったと思うのですが、
お袋がお坊さんを起こして、
「最近、息子がイラついて、おかしな状態になっているようだから祈祷してください」
とお願いするんですよ。
🔸村上、真夜中の祈祷ですか。
🔹羽鳥、ええ。自分も訳が分からなかったのですが、
しょうがないので黙って本堂について行くと、
すぐに護摩焚きが始まって、お坊さんが拝み始めました。
おそらく1時間以上続けたと思うのですが、
とにかく手を抜かないで一所懸命拝んでくれる。
そんなお坊さんの後ろ姿を見ているうちに、
この方は何が楽しみなんだろうか、
そもそも、人の幸せって何だろうかって、ずっと考えていました。
そうしたら、ふと、お金がすべてじゃないんだと気がついた。
それよりも、人に喜んでもらうために一所懸命やる。
それが生き甲斐になるんだって。
一方、自分はというと
借金を払った上に税金まで取られるのが嫌だから、
何でもかんでも逆らってばかりでした。
でも、もういっそのこと徴収されるだけ徴収されるのも、面白いじゃないかと。
また何億円払えと言われたって、返すのをゲームのように捉えて、
一日でも早く完済していくのも楽しいかもしれない、
ということに気づきました。
🔸村上、開き直ったわけですね。
🔹羽鳥、ですから次の日に国税局の方が来たときに、開口一番、
「何でも言ってください。何億円でも何十億でも言わるだけ払いますから」
と言った。
「もう覚悟を決めました」
って。
そしたら、その日の午後2時ごろに、
「状況は分かっていた。
でもあまりに逆らうから徹底的にやろうと思っていたけど、
今日で終わります。
あんたが心を開いてくれたんで、もういいですよ」
と言って、数億円かかるところを最終的には1千万円ちょっとくらいで解決してくれたんです。
こちらが心を開いてないと戦争になる。
でも開くと、サッと解決する。
そう気づかせてくれたのが、お袋であり、お坊さんの後ろ姿でした。
(「致知」3月号、村上和雄さん羽鳥兼市さん対談より)