hideyukiさんの、令和もみんなガンバってますね!笑み字も!Webにも愛と光を!

日々の楽しい話、成長の糧などを綴ります。
楽しさ、感動、知恵が学べる。
(^_^)私はとっても普通の人です。

ひとりっ子

2017-02-20 12:21:18 | お話
🍀🍀ひとりっ子🍀🍀


「ひとりっ子」という忘れられないコラムがあります。

書いたのは私が中学2年の時に担任だったM先生です。

M先生は体育教師でサッカー部の顧問もしており、とても厳しい先生でした。

私も掃除をサボって遊んでいたら殴られたことがあります。

そうかと思えば、私がやってしまったあることを正直に告白したところ、

「お前でもそんなことするんだなぁ、わっはっはっはっ」

と不問に付してくれたこともありました。

3年前、当時不良少年だった同級生に久しぶりに会いました。

その彼から初めて聞いたのですが、M先生は保護者の許可を取って時々

彼やその仲間を夜釣りに連れていっていたそうです。

そんなM先生が、私たちの卒業文集に寄せたのが、
「ひとりっ子」というコラムです。


「私はひとりっ子である。血を分けた兄弟がいない」

という文から始まるそのコラムは、15歳の私に感銘をもたらしました。


🌸🌸🌸


先生が小学生の時の出来事です。

給食で余ったパンをもらい、放課後それを友人の家で食べる約束をしました。

友人の家に行き、パンを焼いて砂糖をふりかけ、いざ食べようとした時でした。

友人の兄が現れ、パンを横取りしようとしたのです。

友人は泣きながら必死に抵抗しました。

ひとりっ子の先生には経験したことがない激しい兄弟喧嘩でした。

兄がついに諦めて去った後、友人は泣きながらも

にっこりと笑い、パンを渡してくれました。

見ると、友人の耳からは血が出ています。

先生は、涙が止まらなかったそうです。

そして、まだ幼いながらこう思いました。

「僕は甘えている」

その出来事を、きっかけに先生は厳しいスポーツの世界に入る決心をしたと書かれていました。


🌸🌸🌸


私は実家に帰る度に、卒業文集に書かれた先生の「ひとりっ子」を何度も読んでいました。

中学を卒業してからM先生には会っていませんでしたが、

1年前の冬、30年ぶりに再会しました。

先生は静かに眠っていました。

夜釣りに行った時に事故にあった先生は、

そのまま60年の短い生涯を閉じたそうです。

あの頃と変わらぬスポーツ刈りで、よく日に焼けたお顔でした。

先生は定年前に退職し農業をしていました。

きっと生命力に溢れたおいしい野菜を作っていたと思います。

遺影の中の優しい目が、

「お前は、まだまだ甘いぞ」

と言ってるようでした。

記憶の中で生き続ける、
私の素晴らしい恩師です。


(「みやざき中央新聞」H29.2.13 山本さんより)