🍀🍀ひとりっ子🍀🍀
「ひとりっ子」という忘れられないコラムがあります。
書いたのは私が中学2年の時に担任だったM先生です。
M先生は体育教師でサッカー部の顧問もしており、とても厳しい先生でした。
私も掃除をサボって遊んでいたら殴られたことがあります。
そうかと思えば、私がやってしまったあることを正直に告白したところ、
「お前でもそんなことするんだなぁ、わっはっはっはっ」
と不問に付してくれたこともありました。
3年前、当時不良少年だった同級生に久しぶりに会いました。
その彼から初めて聞いたのですが、M先生は保護者の許可を取って時々
彼やその仲間を夜釣りに連れていっていたそうです。
そんなM先生が、私たちの卒業文集に寄せたのが、
「ひとりっ子」というコラムです。
「私はひとりっ子である。血を分けた兄弟がいない」
という文から始まるそのコラムは、15歳の私に感銘をもたらしました。
🌸🌸🌸
先生が小学生の時の出来事です。
給食で余ったパンをもらい、放課後それを友人の家で食べる約束をしました。
友人の家に行き、パンを焼いて砂糖をふりかけ、いざ食べようとした時でした。
友人の兄が現れ、パンを横取りしようとしたのです。
友人は泣きながら必死に抵抗しました。
ひとりっ子の先生には経験したことがない激しい兄弟喧嘩でした。
兄がついに諦めて去った後、友人は泣きながらも
にっこりと笑い、パンを渡してくれました。
見ると、友人の耳からは血が出ています。
先生は、涙が止まらなかったそうです。
そして、まだ幼いながらこう思いました。
「僕は甘えている」
その出来事を、きっかけに先生は厳しいスポーツの世界に入る決心をしたと書かれていました。
🌸🌸🌸
私は実家に帰る度に、卒業文集に書かれた先生の「ひとりっ子」を何度も読んでいました。
中学を卒業してからM先生には会っていませんでしたが、
1年前の冬、30年ぶりに再会しました。
先生は静かに眠っていました。
夜釣りに行った時に事故にあった先生は、
そのまま60年の短い生涯を閉じたそうです。
あの頃と変わらぬスポーツ刈りで、よく日に焼けたお顔でした。
先生は定年前に退職し農業をしていました。
きっと生命力に溢れたおいしい野菜を作っていたと思います。
遺影の中の優しい目が、
「お前は、まだまだ甘いぞ」
と言ってるようでした。
記憶の中で生き続ける、
私の素晴らしい恩師です。
(「みやざき中央新聞」H29.2.13 山本さんより)
「ひとりっ子」という忘れられないコラムがあります。
書いたのは私が中学2年の時に担任だったM先生です。
M先生は体育教師でサッカー部の顧問もしており、とても厳しい先生でした。
私も掃除をサボって遊んでいたら殴られたことがあります。
そうかと思えば、私がやってしまったあることを正直に告白したところ、
「お前でもそんなことするんだなぁ、わっはっはっはっ」
と不問に付してくれたこともありました。
3年前、当時不良少年だった同級生に久しぶりに会いました。
その彼から初めて聞いたのですが、M先生は保護者の許可を取って時々
彼やその仲間を夜釣りに連れていっていたそうです。
そんなM先生が、私たちの卒業文集に寄せたのが、
「ひとりっ子」というコラムです。
「私はひとりっ子である。血を分けた兄弟がいない」
という文から始まるそのコラムは、15歳の私に感銘をもたらしました。
🌸🌸🌸
先生が小学生の時の出来事です。
給食で余ったパンをもらい、放課後それを友人の家で食べる約束をしました。
友人の家に行き、パンを焼いて砂糖をふりかけ、いざ食べようとした時でした。
友人の兄が現れ、パンを横取りしようとしたのです。
友人は泣きながら必死に抵抗しました。
ひとりっ子の先生には経験したことがない激しい兄弟喧嘩でした。
兄がついに諦めて去った後、友人は泣きながらも
にっこりと笑い、パンを渡してくれました。
見ると、友人の耳からは血が出ています。
先生は、涙が止まらなかったそうです。
そして、まだ幼いながらこう思いました。
「僕は甘えている」
その出来事を、きっかけに先生は厳しいスポーツの世界に入る決心をしたと書かれていました。
🌸🌸🌸
私は実家に帰る度に、卒業文集に書かれた先生の「ひとりっ子」を何度も読んでいました。
中学を卒業してからM先生には会っていませんでしたが、
1年前の冬、30年ぶりに再会しました。
先生は静かに眠っていました。
夜釣りに行った時に事故にあった先生は、
そのまま60年の短い生涯を閉じたそうです。
あの頃と変わらぬスポーツ刈りで、よく日に焼けたお顔でした。
先生は定年前に退職し農業をしていました。
きっと生命力に溢れたおいしい野菜を作っていたと思います。
遺影の中の優しい目が、
「お前は、まだまだ甘いぞ」
と言ってるようでした。
記憶の中で生き続ける、
私の素晴らしい恩師です。
(「みやざき中央新聞」H29.2.13 山本さんより)