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白寿

2017-03-02 07:26:29 | お話
⚪️白寿⚪️


99歳のお誕生日は「白寿」という特別な日です。

ところがその女性は、誕生日の2週間前に看取り介護の状態になってしまいました。

担当のケアワーカーさんが僕のところに来て

「〇〇さん、白寿までもつかしら」

と言われました。

僕は

「今の状態なら誕生日までは持つかもしれない。

でも意識レベルが低くなっているから、

その時は自分の誕生日を迎えていることがわからないかもしれないね」

と答えました。

するとケアワーカーさんが

「お誕生日って早くしたらダメなんですか?」

と聞いてきました。

僕は

「別に法律で決まってはいないから、早めても構わないんじゃないの?」

と言いました。

そこで、ご家族に相談すると、

「ぜひ早くやってください」

と言ってもらえました。

ということで、実際のお誕生日の10日前に家族全員に来ていただき、

みんなでお祝いをしました。

もちろん本人には自分が看取り介護されているとは思っておらず、

これが最後の誕生日になるなんてこともわかりません。

ご本人はとても喜んで笑っておられました。

その姿を見て、担当のケアワーカーさんは必死に涙をこらえていました。

本人に悟られてはいけないので泣いてはいけないと分かってはいるんですが、

目がウルウルしていました。

私も泣くのを耐えながらお祝いのプレゼントをお渡ししました。


この方は結局、本当の誕生日の10日後に亡くなったのですが、

その誕生日のときにはもう意思疎通ができない状態でした。

きっとプレゼントをもらっても喜ぶことはできなかったでしょう。

だから「お祝いを早めてよかった」と心から思いました。


お葬式の時、息子さんたちが

「僕たち家族が全員集まるのは母さんが死んだ時だと思っていたけど、

お母さんが元気なうちに集まれて、本当にいい思い出になった」

と、とても喜ばれていました。


後日あらためてご家族の方から施設にこんな手紙が送られてきました。

「お母さんにとって最高の人生の最期でした。

病院や家ではこんなに手厚い介護はできなかったと思います。

生きているうちに家族みんなにも会うことができて本当によかったです。

最期とても穏やかな顔で眠るように迎えるました。

ほんとに素晴らしい最期だったと思います。

ここは日本一です。

私たちも年をとったら、ここにお願いしたいです」

と。


(「みやざき中央新聞」H29.2.27 菊地さんより)