🌸🌸繁栄の法則🌸🌸②
▪️佐藤、鎌田さんは、もともと信託銀行に勤めていらっしゃったそうですね。
🔹鎌田、私は大学を出て日本の信託銀行に就職し、
その後外資系に籍を移して2008年に退職、
その年に私の退職金など創業メンバーで資本を出し合って『鎌倉投信』という、
それまでになかった新しい理念の投資信託を運用、販売する会社を鎌倉に立ち上げました。
信託銀行に入ったのは、何か社会に貢献したいといった気持ちがあったわけではありません。
大学のテニス部の先輩から
「信託銀行は仕事が楽な割には給料がいいから来ないか」
と、それだけの理由でした(笑)。
しかし、これは金融業界全般に通じるのですが、
自分たちが何をもって社会に貢献するかとか、
経営の理念はどうかといったことが社内で語られることはほとんどなくて、
私は次第に違和感を覚えるようになりました。
いろいろとジレンマを抱きながらも結局、外資系も含めて20年間、金融の世界で生きてきたんです。
もともとNGO、NPOに関心があったので、
そういう草の根的な仕事を始めようと思っていましたが、
いろいろな人と話をする中で
「頑張っている組織や会社があるのであれば、研究の枠組みをとおして応援する仕組みはできないか」
と考えました。
そうした想いをきっかけに、創業メンバーに声をかけ、議論を重ねながら鎌倉投信は誕生するわけですが、
設立の目的は、投資を通じて、いい会社を社会に増やすこと、
信頼に根ざしたお金の環境をつくることにあります。
▪️佐藤、お客様に信託を販売して儲けるという従来の発想とは大きく違うわけですね。
🔹鎌田、もちろん、運用して利益を出して投資をしたお客様に還元してこそ事業が成り立つわけです。
しかし、その前提としていい会社を選び、その会社がいい会社であり続けける限り、その株を持ち続けて発展成長を応援し、
同時に投資したお客様にも満足していただくことを目指しています。
私たちが考えるいい会社とは、本業をとして社会に貢献する会社です。
そして、
その会社に関わる人たちが喜び、幸せを感じる会社なんですね。
いくら利益を出していても社員がくたびれていたり、
取引先が辛い思いをしていたり、
何かの犠牲の上に利益を出しているような会社は、決していい会社とは言えませんし、
長続きしません。
🔺北川、鎌田さんは社会に貢献する会社を資金面で応援しようとすごいことをなされているわけですが、
それは「満月の会」の勉強会をとおして社会善の真理に目覚めた経営者を1人でも多く育てていきたいという私の想いとも重なる部分があります。
そういう心ある経営者が全国に増えれば、鎌田さんもそういう人たちを応援することができるし、
それが社会を良くしていくことに繋がっていくのではないでしょうか。
🔹鎌田、ぜひ、そういう流れをつくっていきたいと思っています。
▪️北川、鎌田さんが新しい理念の投資信託事業を軌道に乗せるまでには、いろいろなご苦労があったそうですね。
🔹鎌田、金融業は装置産業ですから、システムの導入や社員の雇用などで軌道に乗るまでは、
少なく見積もっても5億円くらいの資金が必要でした。
『鎌倉投信』のビジネスモデルはお客様の数や残高が積み上がって収益化するのに7 8年はかかりますから、
そこまでが辛抱だと覚悟はしていましたが、
最初の頃は、年間の売り上げが百万円、数百万円なのに費用は5,000万、6,000万と赤字が膨らんでいくわけです。
やっていることは間違いなく社会に必要とされることだし、
正しいことだという自信はありましたが、
正直、本当に事業として成り立つのかという不安で
押し潰されそうになることもありました。
まだ先生にお目にかかる前でしたが、
苦しい時は
「自分は何のためにこの会社を起こしたのか」
と日々、自問自答していたんです。
その時に、心に浮かんだ言葉が、北川先生もよくお話になる「祈り」でした。
売り上げ、利益といった数字を追うのではなく、
金融を通じて平和への祈りを捧げる仕事をするのが自分の使命である、と。
東日本大震災での金融市場の混乱の中、多くのお客様から応援メッセージを込めた投資をいただきました。
その命とも祈りともいえる資金をとおして、想いは一層強いものになりました。
もし、この事業が失敗するのであれば社会が必要としていないか、時期が合わなかったからだと、
腹を括(くく)ったんですね。
また、そう考えることでしか、赤字が次々に膨らむ中で事業を続けることはできなかったと思います。
▪️佐藤、北川先生はそのことを「動機の純粋性」という言葉で表現されていますが、
常に「祈り」を忘れずに苦しい時期を乗り越えてこられたのですね。
🔹鎌田、でも、そう心を定めると不思議なもので、出資など応援してくださる方々が次々に現れたり、
北川先生のような方ともご縁をいただいたりして、会社は次第に軌道に乗り始めました。
2010年に資産運用をスタートして間もなく7年が経過しますが、
昨年末の時点で248億円の純資産、16,500人以上の顧客を得て黒字化し、
お預かりした資産の運用実績も年率8%ほどになっています。
多くのお客様とも信頼関係を築くことができました。
🔺北川、正しい導き行って、…、すごい力があります。
🔹鎌田、投資の世界ですから、事業を始める前、昔の仲間によく
「いい会社に投資するという綺麗ごとだけで、本当にお客様の資産が増えるのか」
と聞かれたものです。
厳しい指摘は悔しくもあり、いい意味での刺激にもなったわけですが、
実際にそれを形にしてきたいま、
「明らかに時代は変わった。
競争社会で数字だけを求める会社は利益を出さなくなっているけど、
理念や社員など内なるものを大切にする会社は発展する」
という想いを強くしています。
▪️佐藤、まさに繁栄の法則を実践された上での実感ですね。
🔹鎌田、北川先生の『繁栄の法則』を聞くと、
「10%損をする」
とか
「拡大よりも充実を」
とか、いろいろな法則が出てきますが、
簡単なようで人間的にはどれもすごくレベルの高い話ばかりです。
会社としてそこまでもっていくには、
これから10年くらいかかるのではないかと思いますが、
そのために努力を続けていきたいと思っているところです。
(「致知」4月号 鎌田恭幸さん、北川八郎さん、佐藤俊之さん対談より)
▪️佐藤、鎌田さんは、もともと信託銀行に勤めていらっしゃったそうですね。
🔹鎌田、私は大学を出て日本の信託銀行に就職し、
その後外資系に籍を移して2008年に退職、
その年に私の退職金など創業メンバーで資本を出し合って『鎌倉投信』という、
それまでになかった新しい理念の投資信託を運用、販売する会社を鎌倉に立ち上げました。
信託銀行に入ったのは、何か社会に貢献したいといった気持ちがあったわけではありません。
大学のテニス部の先輩から
「信託銀行は仕事が楽な割には給料がいいから来ないか」
と、それだけの理由でした(笑)。
しかし、これは金融業界全般に通じるのですが、
自分たちが何をもって社会に貢献するかとか、
経営の理念はどうかといったことが社内で語られることはほとんどなくて、
私は次第に違和感を覚えるようになりました。
いろいろとジレンマを抱きながらも結局、外資系も含めて20年間、金融の世界で生きてきたんです。
もともとNGO、NPOに関心があったので、
そういう草の根的な仕事を始めようと思っていましたが、
いろいろな人と話をする中で
「頑張っている組織や会社があるのであれば、研究の枠組みをとおして応援する仕組みはできないか」
と考えました。
そうした想いをきっかけに、創業メンバーに声をかけ、議論を重ねながら鎌倉投信は誕生するわけですが、
設立の目的は、投資を通じて、いい会社を社会に増やすこと、
信頼に根ざしたお金の環境をつくることにあります。
▪️佐藤、お客様に信託を販売して儲けるという従来の発想とは大きく違うわけですね。
🔹鎌田、もちろん、運用して利益を出して投資をしたお客様に還元してこそ事業が成り立つわけです。
しかし、その前提としていい会社を選び、その会社がいい会社であり続けける限り、その株を持ち続けて発展成長を応援し、
同時に投資したお客様にも満足していただくことを目指しています。
私たちが考えるいい会社とは、本業をとして社会に貢献する会社です。
そして、
その会社に関わる人たちが喜び、幸せを感じる会社なんですね。
いくら利益を出していても社員がくたびれていたり、
取引先が辛い思いをしていたり、
何かの犠牲の上に利益を出しているような会社は、決していい会社とは言えませんし、
長続きしません。
🔺北川、鎌田さんは社会に貢献する会社を資金面で応援しようとすごいことをなされているわけですが、
それは「満月の会」の勉強会をとおして社会善の真理に目覚めた経営者を1人でも多く育てていきたいという私の想いとも重なる部分があります。
そういう心ある経営者が全国に増えれば、鎌田さんもそういう人たちを応援することができるし、
それが社会を良くしていくことに繋がっていくのではないでしょうか。
🔹鎌田、ぜひ、そういう流れをつくっていきたいと思っています。
▪️北川、鎌田さんが新しい理念の投資信託事業を軌道に乗せるまでには、いろいろなご苦労があったそうですね。
🔹鎌田、金融業は装置産業ですから、システムの導入や社員の雇用などで軌道に乗るまでは、
少なく見積もっても5億円くらいの資金が必要でした。
『鎌倉投信』のビジネスモデルはお客様の数や残高が積み上がって収益化するのに7 8年はかかりますから、
そこまでが辛抱だと覚悟はしていましたが、
最初の頃は、年間の売り上げが百万円、数百万円なのに費用は5,000万、6,000万と赤字が膨らんでいくわけです。
やっていることは間違いなく社会に必要とされることだし、
正しいことだという自信はありましたが、
正直、本当に事業として成り立つのかという不安で
押し潰されそうになることもありました。
まだ先生にお目にかかる前でしたが、
苦しい時は
「自分は何のためにこの会社を起こしたのか」
と日々、自問自答していたんです。
その時に、心に浮かんだ言葉が、北川先生もよくお話になる「祈り」でした。
売り上げ、利益といった数字を追うのではなく、
金融を通じて平和への祈りを捧げる仕事をするのが自分の使命である、と。
東日本大震災での金融市場の混乱の中、多くのお客様から応援メッセージを込めた投資をいただきました。
その命とも祈りともいえる資金をとおして、想いは一層強いものになりました。
もし、この事業が失敗するのであれば社会が必要としていないか、時期が合わなかったからだと、
腹を括(くく)ったんですね。
また、そう考えることでしか、赤字が次々に膨らむ中で事業を続けることはできなかったと思います。
▪️佐藤、北川先生はそのことを「動機の純粋性」という言葉で表現されていますが、
常に「祈り」を忘れずに苦しい時期を乗り越えてこられたのですね。
🔹鎌田、でも、そう心を定めると不思議なもので、出資など応援してくださる方々が次々に現れたり、
北川先生のような方ともご縁をいただいたりして、会社は次第に軌道に乗り始めました。
2010年に資産運用をスタートして間もなく7年が経過しますが、
昨年末の時点で248億円の純資産、16,500人以上の顧客を得て黒字化し、
お預かりした資産の運用実績も年率8%ほどになっています。
多くのお客様とも信頼関係を築くことができました。
🔺北川、正しい導き行って、…、すごい力があります。
🔹鎌田、投資の世界ですから、事業を始める前、昔の仲間によく
「いい会社に投資するという綺麗ごとだけで、本当にお客様の資産が増えるのか」
と聞かれたものです。
厳しい指摘は悔しくもあり、いい意味での刺激にもなったわけですが、
実際にそれを形にしてきたいま、
「明らかに時代は変わった。
競争社会で数字だけを求める会社は利益を出さなくなっているけど、
理念や社員など内なるものを大切にする会社は発展する」
という想いを強くしています。
▪️佐藤、まさに繁栄の法則を実践された上での実感ですね。
🔹鎌田、北川先生の『繁栄の法則』を聞くと、
「10%損をする」
とか
「拡大よりも充実を」
とか、いろいろな法則が出てきますが、
簡単なようで人間的にはどれもすごくレベルの高い話ばかりです。
会社としてそこまでもっていくには、
これから10年くらいかかるのではないかと思いますが、
そのために努力を続けていきたいと思っているところです。
(「致知」4月号 鎌田恭幸さん、北川八郎さん、佐藤俊之さん対談より)