老残という言葉はあるが老惨は辞書にはない。
著者が思いついた造語でしょう。
著者とはかの石原慎太郎です。
辞書によれば「老残」とは年をとってむなしく生き
ながらえること。とあります。
最近発表された彼の著作によると本人の身代わりとも
思われる或る作家の年齢は85歳である。
彼が一番興味のあるのは死ぬこと。
「五年前にあの脳梗塞をやって以来体が完全には
いう事を聞かなくなって今じゃ全身汗をかくような
スポーツも出来なくなってしまった。そんな自分が
忌々しくって自分を持て余している心境だよ。
だから多分もう目の前の俺の『死』についてばかり
興味があるのさ」というのである。
そして、この作家が今一番知りたいことは
「俺はどういう死に方をするんだろうね」という
ことです。
これは作家でなくても誰もが思うことです。
わたしも思っていますから。(笑)
さらには「来世というものが本当にあるのかね」
などという疑問をなげかけている。
これほどまでに名をなした大作家でも考えることは
案外我々凡人と変わらないものなんだな、と思いました。
文学界七月号より
著者が思いついた造語でしょう。
著者とはかの石原慎太郎です。
辞書によれば「老残」とは年をとってむなしく生き
ながらえること。とあります。
最近発表された彼の著作によると本人の身代わりとも
思われる或る作家の年齢は85歳である。
彼が一番興味のあるのは死ぬこと。
「五年前にあの脳梗塞をやって以来体が完全には
いう事を聞かなくなって今じゃ全身汗をかくような
スポーツも出来なくなってしまった。そんな自分が
忌々しくって自分を持て余している心境だよ。
だから多分もう目の前の俺の『死』についてばかり
興味があるのさ」というのである。
そして、この作家が今一番知りたいことは
「俺はどういう死に方をするんだろうね」という
ことです。
これは作家でなくても誰もが思うことです。
わたしも思っていますから。(笑)
さらには「来世というものが本当にあるのかね」
などという疑問をなげかけている。
これほどまでに名をなした大作家でも考えることは
案外我々凡人と変わらないものなんだな、と思いました。
文学界七月号より