エーゲ海

　映画「日曜はだめよ」の舞台、ピレウス港を出航してから、無為な時間が流れている。


　はてしなく広がる紺碧の海に退屈し、デッキと船内との単調な往来を遊んでいる



　静かな青い空が輝く太陽を抱えてひろがっている。　時折、眩しい陽光に網膜を押さえられ、痛みがはしる。



　しばし、西方に連なる、「トロイの木馬」で有名なミケーネ文明発祥の地、ペロポネソス半島を目で追いつづけていた。



　映画「マンマミーア」のモデル島はどの辺りなんだろうか、何気なく、青いキャンパスの中、視線を泳がすと、デッキチェアーの先に、「ナバロンの要塞」のロケ地となったロドス島が、くっきりと浮かびあがっている。



　やがて、前方に白壁の三角帽子の風車が見えてきた。



　やっと着いたな。　石田純一が独り占めしたミコノス島に。。。。。



　僕の、妄想エーゲ海クルーズはここで終わる。



　科学雑誌、『 SCIENCE 』　に掲載された、韓国人研究者の論文によると、


　実際の景勝地で体感するリラックス度と、　その景勝地ビデオを室内で見終わった時に感じるリラックス度とに、差はないのだそうだ。



　旅行シリーズビデオは最高の気分転換になることが、科学的に証明された。