食の旅人

~ 食べることは生きること、生きることは旅すること、そうだ食べることは旅すること~
  野村洋文

じゃがいも

2009-10-08 08:45:58 | 日記
 「世界を変えた食材」 と題した本を仮に出版することになったとしよう。



 これに、いささかたりともタイトル負けしない、いや、最も相応しい食材の代表が、ジャガイモである。


 
 インカ帝国に侵入し、高地で宝探しに熱中していたスペイン人達が、偶然目にしてヨーロッパに持ち帰ったトリュフ似の食材は、以後、穀物に代わるデンプン食として、特にドイツをはじめとするヨーロッパ北部において、人々を慢性飢餓状態から解放した。 



 やがて、主食としての不動の地位を築くのである。



 19世紀初頭、アイルランドのジャガイモ畑が、伝染病により壊滅状態に陥った。


 これに端を発した大飢餓は、100万人もの国民を犠牲にする。


 この空前の惨事に対し、本国イギリスは、特に手をさしのべなかった。 


 結果、何百年と続くカトリック Vs プロテスタントの対立図式に加え、さらなる深い怨恨がアイルランド人に刻み込まれる。


 結果的に、アイルランド独立の流れをつくったのである。。。。。



 どの時代でも、新しい対象物に対しての反応は、一筋縄ではいかないようで、ジャガイモを食べるとハンセン病になる( おそらく、時間がたつと切り口が黒ずむことからの連想であろう )、 とか、催淫効果があるという勝手な理由から、食用を禁じる国もあった。




 ジャガイモにはそんな歴史があったのか、、、と畏敬の念を抱きながら、今日も僕はポテトチップスをバリバリとほおばる。