食の旅人

~ 食べることは生きること、生きることは旅すること、そうだ食べることは旅すること~
  野村洋文

ゼロの焦点

2009-11-10 07:26:18 | 日記
 十数年前、池袋の文芸坐で、昭和33年公開久我美子主演「ゼロの焦点」を観た。



 犯人が誰で、その人があまねく負ってきた宿命が何たるか、も関知している。



 間もなく封切られる、広末涼子主演「ゼロの焦点」を楽しみにされている方々の為、内容にはあえてふれない。



 物語のラストシーンは、能登半島、寒風吹きすさぶ金剛の崖の上である。



 事件解決は崖の上で、、、という設定はこの作品に始まり、以後、二時間ドラマに採用されて、伝統化した。



 荒涼として雄大な能登の海、、、、、旅ごころを刺激する在来線の車内観、、、



 この映画は、昭和、戦後という時代の肌ざわりを、僕らに懐旧させてくれる。



 昭和という時代が内包した、弱く、危うい部分を生涯、描き続けた作家、松本清張。



 本格的な文壇デビューは、44才と遅かった。



 彼の才能を高く評価し、世に知らしめたのは、木々高太郎という直木賞作家。



 その名前はペンネームであり、本名「林髞 (はやしたかし)」という、慶応の医学部出身の医師、学者である。



 僕が、学位修得時、お世話いただいた日大歯学部生理学教室の初代教授でもあられた。



   昭和は、遠くにありて思うもの、、、、、か。