食の旅人

~ 食べることは生きること、生きることは旅すること、そうだ食べることは旅すること~
  野村洋文

談話室滝沢

2009-11-21 07:46:25 | 日記
 今はもうなくなってしまったが、お茶の水に 「談話室滝沢」 という喫茶店があった。



 普通、僕らが出入りする喫茶店、カフェとは幾分、いやかなり違っていた。


 まず、コーヒー価格。   一杯 1000円。   学生、サラリーマンが普通に通える値段ではない。


 そして、何よりも驚かされるのは、ウエイトレスの接客態度。


 店内に、足を踏み入れるや否や、満面の笑顔で迎えられ、女性自衛官さながらの凛とした姿勢から、前屈 45 °、数秒後、JAL国際線客室乗務員様のしなやかな動作で、席に案内される。


 彼女らのコスチュームも、また独特で、北朝鮮国営カフェで働くメイドさながらの地味な制服だった。


 店内には、なんとも言えないゆったりとした時間が流れており、時折、かけいから滴る水音が、時間感覚のずれを修正してくれる。


 商談、お見合い、などに「談話室滝沢」は使用されていた。


 僕らは、一年に 4、5 回  定期試験の前日に、1000円も払ったんだから、死ぬ気で一夜づけしよう! という思いから、5~6時間の長居使用した。


  後日、調べたところ、彼女達は全員が正社員。入社後、社員寮で徹底的に接客技術をたたき込まれる、そうである。


  小沢一郎、新人研修さながらのスパルタ教育である。



 厳しすぎる社員教育が仇と出たのか、一杯、1000円のコーヒー価格が原因なのか、「談話室滝沢」はつぶれてしまった。



 Hanako や Oz magazine 掲載の「オープンテラス・カフェ」や「ニューヨーク・カフェ」特集には全く興味が湧かない。


  

   時間軸を少しだけ負の方向にずらして、「談話室滝沢」に入りたい。