日野良一「そして僕は途方に暮れる」PV
どんどんどんどん
「宅急便です。アマゾンさんからのお届けものです」
最近は人が来ても、たいてい、新聞の勧誘か、NHKか、光回線の案内か、宗教系なので
出ないことにしている
そういえば、アマゾンプライムで「淡麗 極上生 24本」を注文していたのだった
24個の缶ビールを順番に飲み干しながらふと気が付いて呟いた
「この脳病院で寝ている間に、もう7月になってしまった、1年の半分が過ぎてしまった」
「ジジイ・スターダストという作品を作る予定をすっかり忘れていた」
小説にしろ、映画にしろ、音楽にしろ、アートらしきものというのは
なんとなく過ぎ行く日常を、なんとか人生にとって意味有るものにしようという努力である
そのためにその人が孤独で貧乏で不幸になろうとそんなの関係無いのである
風が無いところには一生懸命うちわで風を起こせばいいのである
そうすれば少しは風通しが良くなるだろう
そうして僕はまた途方に暮れた
梅雨の湿気で僕の脳みそには円形をした青緑色のカビが生えだしていた
どんどんどんどん
今度はドアをたたく音ではない
僕の中には頭の内側から頭蓋骨をたたく者が居た
2015念梅雨時 八田四郎夜話
「宅急便です。アマゾンさんからのお届けものです」
最近は人が来ても、たいてい、新聞の勧誘か、NHKか、光回線の案内か、宗教系なので
出ないことにしている
そういえば、アマゾンプライムで「淡麗 極上生 24本」を注文していたのだった
24個の缶ビールを順番に飲み干しながらふと気が付いて呟いた
「この脳病院で寝ている間に、もう7月になってしまった、1年の半分が過ぎてしまった」
「ジジイ・スターダストという作品を作る予定をすっかり忘れていた」
小説にしろ、映画にしろ、音楽にしろ、アートらしきものというのは
なんとなく過ぎ行く日常を、なんとか人生にとって意味有るものにしようという努力である
そのためにその人が孤独で貧乏で不幸になろうとそんなの関係無いのである
風が無いところには一生懸命うちわで風を起こせばいいのである
そうすれば少しは風通しが良くなるだろう
そうして僕はまた途方に暮れた
梅雨の湿気で僕の脳みそには円形をした青緑色のカビが生えだしていた
どんどんどんどん
今度はドアをたたく音ではない
僕の中には頭の内側から頭蓋骨をたたく者が居た
2015念梅雨時 八田四郎夜話