細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●「シリアナ」迫真のポリティカル・サスペンス。

2005年12月20日 | Weblog
●12月20日(火)13-00 日比谷<ワーナー試写室>
M-174 「シリアナ」Syriana (2005)warner brothers 米
監督・スティーブン・ギャガン 主演・ジョージ・クルーニー ★★★★
スティーブン・ソダーバーグとジョージ・クルーニーのプロデュースだが「オーシャンズ・12」とはがらりと違った政治サスペンスの力作だ。
中東の某国とアメリカの石油利権をめぐる陰謀を暴いたサスペンスで、娯楽映画ではないが、サスペンスは緊迫している。
「トラフィック」のシナリオでオスカーに輝いたギャガンの初監督だが、アラン・J・パクラ監督の再来を思わせる上質な展開は、現在の世界をめぐる石油戦争の真相と謎の部分を巧妙に分析して見せる。
「世界の人口の5%のアメリカが、世界の50%の武器を所有しているのは、明らかに犯罪だ」と言い切るアラブの指導者も、アメリカ私道の戦略に抹殺されてしまうクライマックスは鳥肌が立つ。
素晴らしいキャスティングで語られる男達の哀しいドラマ。
悲壮感を漂わすジョージ・クルーニーの、かつてない好演が印象的だ。
ことしのアメリカ映画で、正面から現ブッシュ政権を批判した勇気のサスペンスに拍手したい。