二鶴工芸のきままなブログ

京都で呉服に金箔を装飾する金彩工芸の職人です。
仕事のうんちくや商品説明等きままな事を更新していきます。

2013年08月03日 | アート・文化

二鶴工芸です。
久しぶりのうんちくです
金箔を装飾、加工するにしましても接着させないといけません。
この仕事は着物(布)に加工致します。
それには(接着剤)が必要です。
その昔は膠、ふ糊、でんぷん糊等、天然の素材の糊で接着させていました。
これは日本画の技法から用いられたと思います。
当時は単に接着すればよい時代でしたので風合い、柔らかさ等問題無かったと思われます。
時代は流れ研究、試験等繰り返され、現在は合成樹脂の接着剤が使用されています。
簡単に言えば木工用ボンドがありますね。
それに似ています。
エマルジョン化(乳化)したものです。
糊が濡れている間は白いですが、乾燥しますと透明になります。
乾燥させるまでは水性で乾燥後は油性になります。
ですので濡れている間に水洗いができます。
というか乾燥するまでに水洗いをしないといけません
糊は加工装飾します用途、技術で液体から固形まであります。
乾燥させてから接着させる糊は糊を塗って乾燥後タック(粘着)が残り、その上に金箔を貼る、或いは別加工します。
また糊を塗ってすぐに金箔を貼る、或いは別加工してから乾燥させる糊があります。
どちらも用途によって使い分けします。
ただ、乾燥後に接着させる糊はタックが残りますので、金箔を全面に貼る加工は大丈夫ですが、振り砂子のように隙間が残る加工になると加工後もネバネバが残りますので注意が必要です
反対に先に接着させてから乾燥する糊は乾燥が早いので乾くまでに作業をしないといけないので、技術が必要になります。
乾燥が早い糊は乾燥後はタックが無いのが特徴ですが、仕上がりがやや硬くなるのが難点です(ただし全ての糊ではありません、ややタックの残るものもあります)。
ですので乾燥後に接着させる糊にはタックがもともと少ない糊を混ぜて使ったりしています。
これは各職人さんによって使う糊の種類(タックの強弱)やメーカー、混ぜる配合が違いますし、正解がありません。
ただ共通していますのは布に貼りますので布のような風合い、柔らかさ、しかしながら堅牢度もあるという、ある意味矛盾なことを研鑚しているということです
この糊の取扱いが職人の優劣を決めるといっても過言ではありません。
当方はタック止める(無くす)ノウハウを持っていますので、強いタックの糊を使っても気にはなりません
現在はカルチャー教室などで素人さんにも使い安い糊が材料屋さんで販売されています。
後は糊をどう置く(塗布する)かの技術もありますが、それはおいおいとしましょう