Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

さかなクンの記者会見

2010-12-25 | 水圏環境リテラシープログラム
さかなクンの記者会見が白鷹館で行われた。報道陣が多数出席し,学長の挨拶の後,さかなクンからクニマス発見の経緯が報告された。

発見はこの春だという。ちょうど,私も春先にクニマスの記事を読み,さかなクンにクニマスが見つかるといいねと,話したことがあった。

きっかけは,どうしても絵を描くには本物をぜひ見たいという気持ちがクニマス発見につながったという。

西湖で発見したクニマスを最初に描いたのは,館山市にある水圏環境教育研究フィールドセンターであるとのことであった。

さかなクンは,最後子供たちへのメッセージとして,「私は絵を書くのが好きです。絵を描くには本物に触れることが一番大事です。これから,私も子供たちと一緒になって自然の中で体験をしたい。たくさんの感動を味わって欲しいと願っています。」としめくくった。

体験活動はフランス,アメリカ,フィンランドでも重視している。しっかりとしたプログラムと仕組みがある。生きる力を養うには体験活動が重要であるというのは世界の常識である。日本の子供たちにも体験活動の機会を増やしたいものである。

t地域との協働による沿岸域管理モデル構築

2010-12-18 | 水圏環境リテラシープログラム
本日は上記のワークショップが東京で開催されるため、とんぼがえりであった。
沿岸域管理モデルと言ってもテーマは限定されていない。そもそも日本にはない言葉であり、定着には時間がかかるかもしれないが、大事な事であるので、研究が必要だ。

最後に沿岸域住民を代表して漁業者を含めた4人の方に登壇していただき、意見を伺った。その中で、印象に残っている事は、ファシリテーターとしての大学への期待だ。沿岸域管理に関連してESDが話題になった。日本で、最も成功している県は岡山県であるといい、その秘訣は、公民館にファシリテーターを常駐させた事であるという。最近は、地元大学が関わる様になりさらに充実したという。

この例の様に、地域に責任者を常駐させるというまさに、リテラシー部門が進めようとしている事であり、もっと推進すべき事であるというシグナルと受け止めた。

また、他大学と同じカリキュラムではなく、もっとオリジナルを生かした取り組みをして欲しい。との声もあった。


今後、こうした地域住民の声を無駄にしない大学の対応が期待される。

ボトムアップ型ガバナンスは必要でない?

2010-12-18 | 水圏環境リテラシープログラム
沿岸域管理に関する研究会がとある市町村で開催された。研究会は、県振興局、技術センター、市町村の課長、部長、漁協などである。

来賓から、統合的沿岸域管理に関する説明会が開催され、これまでの縦割りではなく、横串をさした形で統合的に沿岸域を管理できる仕組みがこれからの時代には必要であると説明があった。

それに対して、これまでもそうした対応はなされており、特にこれから必要であるという意見は出なかった。

おそらく、何らかの問題意識が存在してはじめて必要性が生まれてくるのであろう。今のところそうした必要性はないようである。

今回の説明会で感じた事は、すでに行政の体制が整った状態の中で、新たな枠組みを導入しようとするのは、大変なパワーが必要という事である。特にも、根本的部分である「ボトムアップ型ガバナンス」という考え方事態が今まで続いた120年の教育システムに真っ向から相対立しているのである。まず、この考え方から違いを説明し理解を広めていかなくてはいけない。


クニマスの発見の快挙

2010-12-16 | 水圏環境リテラシープログラム
驚いた。絶滅したと誰もが信じて疑わなかった。それががくつがえされた。しかも、それは良い意味で。この様な事は、今時あり得ないのではないか。

魚類を愛好する人間の一人としてこのうえない喜びである。
次は、生態調査が望まれる。どこで産卵しているのか、どの様な再生産を繰り返してきたのか。多魚種との競合関係はどうなっているのか。なぜ、交雑個体が見当たらないか。

悪者扱いされがちな人為的な行為が70年の歳月を経て評価された。

それはさておき、今回の大発見の立役者はたいしたものだ。もし、熱心に探索を続ける人物がいなければ、見出す事だできなかったであろう。そしてそのエネルギーとは、単なる研究者としての専門知識のみならず、専門分野をわかりやすく伝えようとする社会知識の両面を備えた両義的な精神。この両義的人間がこれからの時代を切り開く人物であるという確信を持った。

日本海洋政策研究会

2010-12-05 | 水圏環境リテラシープログラム
日本海洋政策研究会が東京海洋大学において開催された。海洋政策研究というテーマで様々な研究分野の方々が集まり,実に興味深い研究会であった。楽水会館善幸ホールは満員御礼出会った。

午前中のパネルディスカッションでの議論では,海洋政策の方向性に関する議論が行われた。海洋は我が国にとって重要であるにも関わらず,国民から重要視されていない。特に,船舶職員の減少,漁業者の減少などの問題に同対処すべきか。

これに対し,的を得た回答が法律の専門家からあった。現在の経済システムでは,消費財として緊急性の高いものが優先され,価値が付けられる。しかし,公共財のようなものに対しては値段がつかないのである。それが,市場経済の宿命である。このようなことを解決するのは,政府の役割だ。政府がどのようにして,公共財を守っていくのかが,問われる。

小さな政府の重要性が叫ばれるが,ある程度政府がしっかりと自分の役目を果たすことは大切だ。その役目とは,方向づけをすることだ。これからどのように,国民の生活を方向づけるのか,それが一番大切だ。市場経済に流されない,普遍的な価値付けを行ってほしい。と願う。

しかし,問題がある。その問題とは,政治家と政府の役人の問題だ。と語る政治学者もいた。将来の方向づけを優先的に行うことが出来る役人は皆無に等しいという。何故ならば,政府の役人は出世することが一番の価値であるからである。そして,政治家もいかに人気を得て票を集めるかが重要であり,そのような方向にいかざるを得ない状況にある。という。

それでは,何をすればいいのか,ある科学研究者は人材育成の必要性を語った。最後の結論は,人材育成なのである。しかし,その多くの議論が通常漠然としたものである。こう出来ればいい,という願いで終わる。


私たちが訴えていることは,具体的な人材育成の手法と方向性である。水圏環境教育の理念が多くの人々に理解されることを願う。

なお,来年1月から日本海洋政策学会が発足することが決まった。

ベネッセコーポレーション高校通信講座WEBサイト

2010-12-02 | 水圏環境リテラシープログラム
ベネッセコーポレーション高校通信講座の担当者様の訪問を受けた。ベネッセでは、CSR(企業社会貢献活動)の一環として環境教育に力を入れているが、この度WEBサイトにて、海洋に関する問題を取り上げる事になりそうだ。

詳細についてはこれから詰める事になるが、高校生向けのコンテンツとしてどの様な内容に仕上げて行くか検討を進めていきたい。

我が国において、現行では普通教育において海洋に関する学習内容が欠如しているため、系統的な学習がなされていない事は問題であると、これまでも何度も訴えてきた。しかし、近年学習素材として海洋が取り上げられる様になってきているのは、島国という風土を私たちは決して忘れていない証拠であろう。

より良い海洋の学習教材を全国の高校性に提供したいものである。

第4回閉伊川大学校わくわく自然塾が開催されました

2010-11-01 | 水圏環境リテラシープログラム
第4回閉伊川大学校わくわく自然塾が、閉伊川支流刈屋川上流の閉伊川漁業協同組合押角養魚場で開催されました。子供たちは、宮古市内の小学生20名他、保護者6名、閉伊川漁業協同組合からは6名、閉伊川大学校からは8名が参加しました。

今回のテーマは「ヤマメの採卵、サクラマスの不思議」。養魚場で飼育されているイワナ、ヤマメの見学で子供たちは、「こんなおおきなさかながいる!、すごい!」と大歓声をあげました。参加した大人たちも初めてみる数多くのヤマメ、イワナに興味を惹かれていました。

次は、自分たちで採卵のためのヤマメの親魚の選別です。子供たちは、はじめてヤマメを触り、成熟状態を調べ、採卵用と未熟魚を選別。

次に、イソジンで消毒後、一人一匹ずつヤマメが与えられ、搾出法でヤマメのメスから卵を絞り出します。ヤマメの人工受精を体験できる環境はなかなかあるものではありません。

その後は、ふか水槽の観察。サケと違って黄色の卵に子供たちは驚いていました。

一連の体験活動のあとに、今度は水圏環境リテラシーに基づいた森川海のつながりの講義。ヤマメがいるのは森があるからであり、森があることで、川が出来、ヤマメの住む川となる。このような川はとても貴重で大切にしましょうと話をしました。サクラマスが海で捕獲されるのも、島国であること、森のおかげであるだということも強調いたしました。

もちろん最後には、採卵後のヤマメを提供していただき、ヤマメのつみれ汁とヤマメのちゃんちゃん焼きに舌鼓を打ちました。

天候にも恵まれ、美しい紅葉の元で自然観察体験、野外でのリテラシー学習、食育と充実した自然塾となりました。この場をお借りして、参加いただいた小学生と保護者の皆様、体験学習をご提供いただいた閉伊川漁業協同組合の皆様、そして閉伊川大学校のスタッフの皆様に感謝申し上げます。

水産について考える会ー鉄イオンにかけた人生ーが開催されました

2010-10-23 | 水圏環境リテラシープログラム
山口県宇部市在住の「鉄イオン供給による環境改善」に取り組んでいる杉本幹生さんの講演が,水産について考える会で会員30名を対象に楽水会館で開催された。自己紹介の後,30年の取組として鉄イオンによる環境浄化の実践例を詳しく説明していただいた。

講演の中でもとりわけ印象的だったのは,「自分の利益のために取り組んでいるのではない,海洋がこの技術によって改善され多くの皆さんの利益につながることだ本望だ」とおっしゃったことだ。資本主義の原点である現在と自己の利益からは生まれない考え方であり,まさしく自然と人間が共存するための究極の考え方である。

鉄イオンは自然界にある物質である。このイオンのおかげで,多くの生物が生息できる。例えば,脊椎動物の赤血球,植物のクロロフィルのように動植物にとってなくてはならない物質だ。

その物質が様々な原因によって水圏環境で不足がちになっている。鉄イオンは多くの生物にとってなくてはならない物質だ。鉄イオンがなくなれば生息できなくなる生物が出てきてしまう。

海藻がその典型的な例であろう。場所によっても異なる。磯焼けの原因として食害が挙げられているが,おそらく2次的なものであり,食害以上に海藻絶対的な量が減っているのではないか。しかし,実証的な実験はこれからだ。

もちろん,鉄イオンが不足して困っている生物は海藻だけではない。これからの展開が楽しみな分野である。






日仏海洋教育情報交換会が開催されました。

2010-10-18 | 水圏環境リテラシープログラム
地中海大学の代表団をお招きして「日仏海洋教育情報交換会」が開催された。
まじまる前に,学長室において本シンポジウムでは両者がお互いに協調しながら,海洋教育を推進することが再確認された。

10年ほど前からICM(総合的な沿岸域管理)をマルセイユ市が実施しているが,地域住民の科学的認識を高めることがとても重要であるという。
マルセイユ市では定期的にステークホルダーに対して講習会を実施しているが,実施するたびに成果が出ている。ICMにとって教育は大切なものである。とりわけ,ボトムアップから発せられる管理になるように円卓会議を幾度となく開催しているが,この方式は住民の自主性を高める上でうまくいっているという。

ティボボタ博士は地中海大学の海洋研究センターに所属しているが,科学的な認識を高めることがとても必要であり,そのために努力している。これまでは,総合科学もが多かったが,専門性の高いカリキュラムを作っている。科学をコミュニケーションツールとして取り入れようととしている。

一方,日本からは我が国の海洋教育の特徴,本学の新しい取り組みである水圏環境リテラシー教育推進プログラムを紹介した。前半は,サイエンティフィックな取り組みの具体例を説明し,後半に海苔養殖と開発のコンフリクトについて説明したが,サイエンティフィックな教育内容よりも,海苔養殖など伝統的な産業や文化に興味深く聞き入っていた。

また,会場の海洋科学を専攻するPHDコースの学生らは,海洋管理に於ける科学者の役割に関するトークで特に興味を持ち聞き入っていた.

今回は,アウトリーチとしての海洋教育のあり方を情報交換したが,我々の取り組みの方が,学習者中心のプログラムに近いものであるようだ。

しかし,すでに総合的な沿岸域管理がマルセイユ市の部局においてスタートしている点は先方が先行している。

また,その時に大切なのは大学の役割であると語った。市町村がICMを推進する上で,大学との密接な関わりが重要のようだ。